ポリソルベート80とは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
ポリソルベート80
[化粧品成分表示名称]
・ポリソルベート80

[医薬部外品表示名称]
・モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)

高級脂肪酸のオレイン酸(油性成分)にソルビタン(水性成分)、ポリエチレングリコール(水性成分)をつなぎ合わせた非イオン界面活性剤です。

水と油が混ざった状態にできる乳化剤として安定した乳化物が容易につくれるために幅広い化粧品に使用されています。

また、親水性が大きく液状であるために、水に溶けない香料や色素、薬品類の可溶化剤として用いられます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ポリソルベート80の配合製品数と配合量の調査結果(1981年)

ポリソルベート80の配合製品数と配合量の調査結果

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ポリソルベート80の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ポリソルベート80の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、まれにわずかな眼刺激が起こる可能性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)や光感作性もほとんどないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polysorbates 20, 21, 40, 60, 61, 65, 80, 81, and 85」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に100%ポリソルベート80を72時間単一パッチテストしたところ、皮膚刺激および皮膚感作はなかった
  • [ヒト試験] 10人の被検者に100%ポリソルベート80を48時間単一パッチテストしたところ、皮膚刺激および皮膚感作はなかった
  • [ヒト試験] 10人の被検者に30%ポリソルベート80水溶液を48時間単一パッチテストしたところ、皮膚刺激および皮膚感作はなかった
  • [ヒト試験] 20人の被検者に100%ポリソルベート80を24時間単一パッチテストしたところ、皮膚刺激はなかった

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚刺激がなく、食品添加物やオロナイン軟膏などの医薬品にも配合されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polysorbates 20, 21, 40, 60, 61, 65, 80, 81, and 85」(文献1:1984)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギに100%ポリソルベート80を点眼し、6匹は眼をすすがず、3匹は2秒後に眼をすすいで1,2,3,4および7日目に観察したところ、それぞれの眼刺激スコアは最大110のうち0,0,0,0,0となっており、眼刺激性はなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギに100%ポリソルベート80を点眼し、1,2,3,4および7日目に観察したところ、それぞれの眼刺激スコアは最大110のうち2.0,1.0,0,0,0となっており、この条件下ではわずかな眼刺激ありと結論付けられた
  • [動物試験] 9匹のウサギに30%ポリソルベート80水溶液を点眼し、6匹はすすがず、3匹は2秒後に水ですすいで1,2,3,4および7日目に観察したところ、それぞれの眼刺激スコアは最大110のうち0,0,0,0,0となっており、眼刺激性はなかった

と記載されています。

試験ではわずかな眼刺激性ありまたは眼刺激性なしとの結果がでているため、わずかな眼刺激が起こる可能性がありますが、総合的に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polysorbates 20, 21, 40, 60, 61, 65, 80, 81, and 85」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 197人の被検者に0.6%ポリソルベート80を含むシェービング製剤をSchwartz-Peckの皮膚感作試験法に基づいて開放パッチおよび閉塞パッチ下で48時間適用し、2週間後に再び48時間適用したところ、皮膚刺激および皮膚感作はなかった
  • [ヒト試験] 100人の被検者に誘導期間として2.5%ポリソルベート80を含むシェービングフォームを48時間閉塞パッチ下で4週間毎日適用し、チャレンジ期間に改めて48時間閉塞パッチを適用したところ、いずれの被検者も感作反応はなかった
  • [ヒト試験] 82人の被検者に誘導期間として2.5%ポリソルベート80を含むシェービングフォームを48時間閉塞パッチ下で4週間毎日適用し、チャレンジ期間に改めて48時間閉塞パッチを適用したところ、最初のパッチで6人にわずかな刺激がみられたが、チャレンジパッチでの皮膚反応はなく、感作の兆候はみられなかった

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚感作がなく、食品添加物やオロナイン軟膏などの医薬品にも配合されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polysorbates 20, 21, 40, 60, 61, 65, 80, 81, and 85」(文献1:1984)によると、

  • 0.6%ポリソルベート80を含む製品はUV暴露後に数回の刺激を生じたが、光増感性は生じなかった

と記載されています。

試験の詳細が不明のため、根拠としては弱いですが、実際に化粧品や皮膚外用薬として広く使用されているにもかかわらず、光感作の報告はみあたらないため、現時点では光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ポリソルベート80 ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ポリソルベート80は■■(∗2)となっており、毒性・刺激があるという判定になっていますが、化粧品毒性判定事典は合成界面活性剤はすべて■■の極端な判定になっています。

すでに述べたように、化粧品に配合されている市販品の範囲において、ポリソルベート80に毒性や皮膚刺激の懸念はほとんどないと考えます。

食品安全委員会の添加物専門調査会が公開しているポリソルベート類の評価書(文献1:2007)の安全性試験結果でも、皮膚塗布での刺激性はみられなかったことが明らかになっています。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ポリソルベート80は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Polysorbates 20, 21, 40, 60, 61, 65, 80, 81, and 85」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818409021272> 2017年11月7日アクセス.

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