ポリクオタニウム-10とは…成分効果と毒性を解説

帯電防止
ポリクオタニウム-10
[化粧品成分表示名称]
・ポリクオタニウム-10

[医薬部外品表示名称]
・塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース

ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られるチッ素含有セルロースエーテルで、カチオン性ポリマーです。

カチオン性なので+の電気を有しており、静電気(-)の発生を防ぐことで毛髪のクシ通りをよくするなどの帯電防止剤として、また透明でベトつかない皮膜を形成して毛髪などを保護するコンディショニング剤として主にヘアケア製品に配合されます。

また、薄い被膜を形成する保護効果は皮膚にも適しているため、クリーム、ローションおよび石鹸などにも配合されることがあります。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1981年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ポリクオタニウム-10の配合製品数と配合量の調査結果(1981年)

また、1981年と2002年および2005年の比較調査が以下に報告されています。

ポリクオタニウム-10の配合製品数と配合量の比較調査結果

調査結果をみると、2002年では配合製品数が2倍以上に増えており、シャンプーを筆頭にヘアコンディショナーや入浴石鹸など洗浄製品への配合が中心となっているのがわかります。

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ポリクオタニウム-10の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ポリクオタニウム-10の現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Poiyquaternium-10」(文献1:1988)によると、

  • [ヒト試験] 106人の被検者に5%ポリクオタニウム-10水溶液を48時間閉塞パッチ下で適用したところ、適用後48時間および72時間で皮膚刺激は観察されなかった
  • [ヒト試験] 27人の被検者に5%ポリクオタニウム-10溶液を21日間閉塞パッチ下で毎日適用したところ、刺激は観察されなかった
  • [ヒト試験] 50人の被検者に3つの異なるメーカーの2%ポリクオタニウム-10溶液を24時間閉塞パッチ下で適用し、24時間で刺激スコアを評価した。24時間の無処置期間をおいてさらにパッチ適用するという繰り返しを15回続けた後、2週間の無書痴期間を経て、試験部位を再パッチ適用し、24時間および48時間後に評価したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激および感作は観察されなかった
  • [ヒト試験] 100人の被検者に0.5%ポリクオタニウム-10溶液を含むシャンプーを閉塞パッチ適用したところ、いずれも反応は観察されなかった
  • [ヒト試験] 46人の被検者の背中または前腕の手のひら側に誘導期間として1%ポリクオタニウム-10を含むコンディショナー0.2mLを月水金の週3回合計10回パッチ適用し、10~20日の無処置期間を経て2つのチャレンジパッチを1つは誘導期間と同じ部位に、もうひとつは未処置の部位に適用したところ、1人の被検者は誘導期間に最小の紅斑を示し、もうひとりは刺激反応を示しました。また、2人の被検者がチャレンジ期間に反応を示したため、反応を示した被検者に改めてチャレンジ試験を行ったところ、これらの被検者は反応を示さなかったため、このコンディショナーは刺激剤ではなかった
  • [ヒト試験] 83人の被検者に0.5%ポリクオタニウム-10を含むシャンプーを4週間毎日使用してもらい、各被検者の頭皮、顔および毛髪の刺激性を調査したところ、この試験条件下でシャンプーは非刺激性であった

と記載されています。

試験結果が多く、共通して皮膚刺激性はなかったと結論づけているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Poiyquaternium-10」(文献1:1988)によると、

  • [動物試験] 5匹の動物に3つのメーカーのポリクオタニウム-10を乾燥粉末または水溶液として適用したところ、水溶液はそれぞれのメーカーのものを5,10,20%濃度適用で、10%濃度で刺激の痕跡が観察されたものの、粉末および水溶液で刺激は生じなかったと結論づけた
  • [動物試験] 12匹のウサギの両眼に0.5%ポリクオタニウム-10を含むシャンプーをを最初のみ原液で点滴し、2回目は5%にうすめて点滴し、滴下後は片眼のみすすいだところ、どのウサギにも刺激は認められなかったため、このシャンプーは眼刺激物ではなかった

と記載されています。

試験結果では共通して眼刺激性がなかったため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Poiyquaternium-10」(文献1:1988)によると、

  • [ヒト試験] 46人の被検者の背中または前腕の手のひら側に誘導期間として1%ポリクオタニウム-10を含むコンディショナー0.2mLを月水金の週3回合計10回パッチ適用し、10~20日の無処置期間を経て2つのチャレンジパッチを1つは誘導期間と同じ部位に、もうひとつは未処置の部位に適用したところ、1人の被検者は誘導期間に最小の紅斑を示し、もうひとりは刺激反応を示しました。また、2人の被検者がチャレンジ期間に反応を示したため、反応を示した被検者に改めてチャレンジ試験を行ったところ、これらの被検者は反応を示さなかったため、このコンディショナーは皮膚感作剤ではなかった

と記載されています。

単一の試験結果は少ないですが、非感作性となっており、刺激試験や光感作試験などにも共通して感作性なしと結論付けられており、国内でも重大なアレルギーの報告はないため、アレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Poiyquaternium-10」(文献1:1988)によると、

  • [ヒト試験] 100人の被検者に0.5%ポリクオタニウム-10溶液を含むシャンプーを誘導期間およびチャレンジ期間に適用し、チャレンジ段階の間に部位をUVライトに曝露したところ、光増感剤ではなかった
  • [ヒト試験] 25人の被検者にShelanskiの手順に従って0.5%ポリクオタニウム-10を含むシャンプーを反復パッチテストし、誘導期間の間にUVライトを照射したところ、試験物質は非刺激性、非感作性、非光感作性であった

と記載されています。

試験結果は共通して光感作性ではなかったと結論づけているため、光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ポリクオタニウム-10 ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ポリクオタニウム-10は■■(∗2)となっており、毒性・刺激があるという判定になっていますが、試験結果をみるかぎりでは毒性や刺激性はほとんどないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ポリクオタニウム-10は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1988)「Final Report on the Safety Assessment of Poiyquaternium-10」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818809023135> 2017年10月22日アクセス.

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