ベヘントリモニウムメトサルフェートとは…成分効果と毒性を解説

帯電防止
ベヘントリモニウムメトサルフェート
[化粧品成分表示名称]
・ベヘントリモニウムメトサルフェート

化学構造的に炭素数22のアルキル基をもつメチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウムであり、第四級アンモニウム塩型のモノアルキル型四級アンモニウム塩に分類される分子量479.8の陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)です(文献3:2019)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でヘアコンディショナー、ヘアトリートメントなどに使用されています。

帯電防止

帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。

水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、

陽イオン界面活性剤の構造図

親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。

そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります(文献4:1990;文献5:2010)

一般的にヘアコンディショニング剤として普及している第四級アンモニウム型はベヘントリモニウムクロリドなどいわゆるクロリド系ですが、クロリド系と比較してメトサルフェート系の一種であるベヘントリモニウムメトサルフェートは、櫛通り性をはじめとするコンディショニング効果がより高く、高濃度のシリコーンなども乳化できる乳化性能を有しており、さらにクロリド系より低刺激性という特徴があり(文献6:2015)、炭素数16-18の高級アルコールであるセタノールまたはセテアリルアルコールと併用して使用されています。

高級アルコールは、陽イオン界面活性剤ととの組み合わせによりゲル構造を形成し、効率よく毛髪に吸着し、塗布からすすぎにかけての毛髪のからみを効果的に除去し、滑らかさを増す役割を果たします(文献5:2010)

一般的に陽イオン界面活性剤と高級アルコールの配合比率は1:3から1:10の範囲であることから、成分表示名称一覧には高級アルコールが先に、陽イオン界面活性剤が後に記載されます。

混合原料としてのベヘントリモニウムメトサルフェート

ベヘントリモニウムメトサルフェートは、高級アルコールをはじめほかの油性成分と混合することで相乗的なコンディショニング効果を発揮することが知られており、ベヘントリモニウムメトサルフェートと以下の成分が併用されている場合は、混合系原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 CUTISSENTIAL BEHENYL 18-MEA
構成成分 ベヘントリモニウムメトサルフェート、イソアルキル(C10-40)アミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、セタノール
特徴・主な用途 高い毛髪吸着性があり、毛髪の脂質表面を補充することで、滑らかさと輝きを付与し、キューティクルの損傷を修復するヘアコンディショニング剤

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ベヘントリモニウムメトサルフェートの配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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ベヘントリモニウムメトサルフェートの安全性(刺激性・アレルギー)について

ベヘントリモニウムメトサルフェートの現時点での安全性は、

  • 2000年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 212人の被検者に0.125%セトリモニウムクロリド、0.5%ベヘントリモニウムクロリドおよび0.125%ベヘントリモニウムメトサルフェートを含むヘアトリートメントを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において1人の被検者に軽度の皮膚反応が観察されたが、チャレンジ期間においていずれの被検者も皮膚感作反応を示さなかった(Product Investigations Inc,2009)

CRODAの安全性データ(文献2:2016)によると、

  • [ヒト試験] 被検者(人数不明)に約12.5%ベヘントリモニウムメトサルフェートを含む溶液をパッチテストしたところ、この試験物質は皮膚感作を示さなかった
  • [動物試験] ウサギの皮膚に約12.5%ベヘントリモニウムメトサルフェートを含む溶液を24時間パッチ適用したところ、わずかな刺激を示した

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作なしと報告されており、皮膚刺激性は非刺激-軽度の刺激が報告されていることから、化粧品配合量および通常使用下において、皮膚感作性はほとんどなく、また皮膚刺激性は非刺激-軽度の皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

ただし、ベヘントリモニウムメトサルフェートはヘアケア製品のみに配合されることから、化粧品配合量およびヘアケア製品としての通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

眼刺激性について

CRODAの安全性データ(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に約12.5%ベヘントリモニウムメトサルフェートを含む溶液を点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、この試験物質は非刺激剤に分類された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、約12.5%濃度で眼刺激なしと報告されているため、化粧品配合量および通常使用下において、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

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ベヘントリモニウムメトサルフェートは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2012)「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(31)(6 Suppl),296S-341S.
  2. CRODA(2016)「SP INCROQUAT BEHENYL TMS-50 MBAL」Safety Data Sheet.
  3. “Pubchem”(2019)「Behentrimonium methosulfate」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Behentrimonium-methosulfate> 2019年12月13日アクセス.
  4. 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
  5. 鐵 真希男(2010)「コンディショナーの配合成分と製剤」化学と教育(58)(11),536-537.
  6. CRODA(2015)「iQUAT TMS 50」Technical Data Sheet.

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