ベヘントリモニウムメトサルフェートとは…成分効果と毒性を解説



・ベヘントリモニウムメトサルフェート
ナタネ油由来の4級アンモニウム塩で、カチオン界面活性剤(ヘアケア帯電防止剤)です。
代表的なカチオン界面活性剤のひとつで塩違いであるベヘントリモニウムクロリドと比べて、刺激性および安全性が向上しており、またクシ通り性が高くコンディショニング効果に優れ、さらに乳化性能にも優れており、高濃度シリコーンの乳化も可能です。
ナタネ油由来(植物由来)であっても合成品であっても安全性に代わりはないのですが、植物由来と表現できるため、オーガニック系製品にはよく使用される傾向にあります。
化粧品に配合される場合は、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、シャンプーなどに幅広く使用されています。
実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
ベヘントリモニウムメトサルフェートの安全性(刺激性・アレルギー)について
ただし、試験データが少ないため、濃度が上がると刺激が起こる可能性も考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。
∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、
- [ヒト試験] 212人の被検者に0.125%セトリモニウムクロリド、0.5%ベヘントリモニウムクロリドおよび0.125%ベヘントリモニウムメトサルフェートを含むヘアトリートメントを反復パッチ適用(HRIPT)したところ、誘導期間において1人の被検者に軽度の反応が観察されたが、チャレンジ期間においては反応は観察されなかった(Product Investigations Inc.,2009)
と記載されています。
試験結果はひとつで、他のカチオン界面活性剤との混合試験ですが、化学構造的に既存の4級カチオン界面活性剤よりも低刺激で安全性は高く、またほとんど皮膚刺激も報告されておらず、感作反応の報告もないため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
試験データがみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。
化粧品毒性判定事典による毒性判定について
化粧品成分名 | 判定 |
---|---|
ベヘントリモニウムメトサルフェート | ■■ |
参考までに化粧品毒性判定事典によると、ベヘントリモニウムメトサルフェートは■■(∗2)となっていますが、これは合成界面活性剤の共通判定であり、化学構造および試験データをみるかぎりでは安全性に問題はないと考えられます。
∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。
∗∗∗
ベヘントリモニウムメトサルフェートは界面活性剤にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:界面活性剤
∗∗∗
文献一覧:
- “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581812467378> 2018年4月27日アクセス.
スポンサーリンク