ベヘントリモニウムクロリドとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤 帯電防止
ベヘントリモニウムクロリド
[化粧品成分表示名称]
・ベヘントリモニウムクロリド

[医薬部外品表示名称]
・塩化アルキルトリメチルアンモニウム液

4級アンモニウム塩で、炭素数20~22のアルキル基をもつカチオン界面活性剤(ヘアケア帯電防止剤)です。

帯電防止効果、毛髪柔軟効果があるので、化粧品に配合される場合は、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、シャンプーなどに幅広く使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ベヘントリモニウムクロリドの配合製品数の調査結果(2010年)

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ベヘントリモニウムクロリドの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ベヘントリモニウムクロリドの現時点での安全性は、皮膚刺激は非刺激性またはごくまれに一過性の軽度の刺激が起こる可能性があり、眼刺激性は3%濃度以下では一過性の軽度の眼刺激が起こる可能性があり、3%以上では濃度依存的に眼刺激性が増すものの、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなく、ヘアケア製品の配合範囲において、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、3%濃度以上の場合、注意が必要な成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 212人の被検者に0.125%セトリモニウムクロリドおよび0.5%ベヘントリモニウムクロリドを含むヘアトリートメントを反復パッチ適用(HRIPT)したところ、誘導期間において1人の被検者に軽度の反応が観察されたが、チャレンジ期間においては反応は観察されなかった(Product Investigations Inc.,2009)
  • [ヒト試験] 105人の被検者に0.625%セトリモニウムクロリドおよび0.48%ベヘントリモニウムクロリドを含む水溶液を反復パッチ適用(HRIPT)したところ、誘導期間において12人の被検者に軽度の紅斑反応が観察されたが、チャレンジ期間においては感作反応は観察されなかった(IS Consultancy Limited,2002a)
  • [ヒト試験] 102人の被検者に0.648%セトリモニウムクロリドおよび0.48%ベヘントリモニウムクロリドを含む水溶液を反復パッチ適用(HRIPT)したところ、誘導期間において12人の被検者に軽度の紅斑反応が観察されたが、チャレンジ期間においては感作の兆候はなかった(IS Consultancy Limited,2002b)
  • [ヒト試験] 104人の被検者に3.4%ベヘントリモニウムクロリドを含む洗浄剤0.2gを反復パッチ適用(HRIPT)したところ、1人の被検者は最初の誘導パッチ後に紅斑および浮腫を示したが、チャレンジ期間においては感作の兆候はなかった(Scientific Committee on Cosmetic Products,2006)
  • [ヒト試験] 101人の被検者に5%ベヘントリモニウムクロリドを含むヘアコンディショニング製品の10%希釈液を反復パッチ適用(HRIPT)したところ、誘導期間およびチャレンジ期間において刺激および感作の兆候はなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、まれに一過性の軽度の紅斑反応が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激またはまれに一過性の軽度の刺激が起こる可能性があると考えられます。

また、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなしと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの眼に10%ベヘントリモニウムクロリド水溶液0.1mLを点眼し、30秒後にすすぎ、眼を検査したところ、24および48時間で1匹のウサギに中等の角膜混濁が観察され、22日目には軽度であった。また別の1匹のウサギは点眼後1時間から7日目まで軽度の虹彩炎が認められた。また1~72時間の間に軽度~重度の腫脹がすべてのウサギにみられ、それぞれ5,9および22日目まで持続した。10%ベヘントリモニウムクロリド水溶液は不可逆的な目の損傷を引き起こすと結論付けられた(Scientific Committee on Cosmetic Products,2006)
  • [動物試験] 3匹のウサギに6.25%ベヘントリモニウムクロリド水溶液0.1mLを点眼し、30秒後にすすぎ、目を検査したところ、24時間ですべてのウサギに角膜混濁がみられ、また1匹のウサギでは24時間から72時間まで虹彩炎がみられ、すべてのウサギで1時間から72時間まで結膜発赤がみられたが、それぞれ7,7および15日後に鎮静した。6.25%ベヘントリモニウムクロリド水溶液は結膜刺激を引き起こすと結論付けられた(Scientific Committee on Cosmetic Products,2006)
  • [動物試験] 3匹のウサギに3%ベヘントリモニウムクロリド水溶液0.1mLを点眼し、30秒後にすすぎ、目を検査したところ、1時間ですべてのウサギに結膜刺激が観察されたが、24時間で2匹に、48時間では1匹のみ観察された。3%ベヘントリモニウムクロリド水溶液は一過性の結膜刺激を引き起こすと結論付けられた(Scientific Committee on Cosmetic Products,2006)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、濃度依存的に眼刺激が増しているため、濃度依存的に眼刺激性が増す(3%で一過性、6.25%で軽度、10%で中等~重度)と考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ベヘントリモニウムクロリド ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ベヘントリモニウムクロリドは■■(∗2)となっていますが、これは合成界面活性剤の共通判定であり、試験結果をみるかぎりでは洗浄製品の配合範囲において総合的に安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ベヘントリモニウムクロリドは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581812467378
    > 2018年4月26日アクセス.

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