テトラオレイン酸ソルベス-30とは…成分効果と毒性を解説

乳化
テトラオレイン酸ソルベス-30
[化粧品成分表示名称]
・テトラオレイン酸ソルベス-30

[医薬部外品表示名称]
・テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット

化学構造的に炭素数18の高級脂肪酸であるオレイン酸と、ソルビトールに酸化エチレン(平均モル数30)を結合したソルベス-30を結合して得られるテトラエステル(∗1)であり、酸化エチレン縮合型のポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルに分類される非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です。

∗1 「テトラ(tetra)」はギリシャ語で「4」を意味し、テトラエステルとは、4基のエステル結合のことをいいます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でクレンジング製品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディケア製品などに使用されています。

乳化

乳化に関しては、まず前提知識として乳化とエマルションについて解説します。

乳化とは、1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献2:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献2:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

また、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標としてはHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)が用いられることが多く、以下の図のように、

界面活性剤のHLB値とその作用、分散・溶解の挙動

HLB値は、0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなり、また界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が要求されることが知られており、HLB値だけで一義的に界面活性剤の性質が定まるわけではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(文献3:2015)

テトラオレイン酸ソルベス-30の特性は、

HLB 作用 分散・溶解性
11.5 O/W型乳化 透明分散物

このように報告されており(文献4:-)、O/W型乳化剤(親水性界面活性剤)として主にクレンジングオイル、ファンデーション、フェイスクリーム、乳液、ボディクリームなどに使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2014-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

テトラオレイン酸ソルベス-30の配合製品数と配合量の調査結果(2014-2015年)

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テトラオレイン酸ソルベス-30の安全性(刺激性・アレルギー)について

テトラオレイン酸ソルベス-30の現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

日光ケミカルズの安全データシート(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 11人の被検者に15%テトラオレイン酸ソルベス-30を含むパラフィン溶液を48時間半閉塞パッチ適用したところ、いずれの被検者も皮膚刺激を示さなかった
  • [ヒト試験] 57人の被検者にテトラオレイン酸ソルベス-30を対象に皮膚感作性試験(Maibach法)を実施したところ、いずれの被検者も陰性であった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

テトラオレイン酸ソルベス-30は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ株式会社(2018)「NIKKOL GO-430NV」安全データシート.
  2. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  3. 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.
  4. 日光ケミカルズ株式会社(-)「NIKKOL GO-430NV」技術資料.

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