セトリモニウムクロリドとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤 帯電防止
セトリモニウムクロリド
[化粧品成分表示名称]
・セトリモニウムクロリド

[医薬部外品表示名称]
・塩化セチルトリメチルアンモニウム

+の電気を持ったカチオン界面活性剤(ヘアケア帯電防止剤)です。

静電気(-)を帯びた毛髪に吸着することで帯電防止し、絡まりにくく柔軟でしなやかな仕上がり効果を有します。

化粧品に配合される場合は、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアミストに幅広く使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2009-2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

セトリモニウムクロリドの配合製品数の調査結果(2009-2010年)

スポンサーリンク

セトリモニウムクロリドの安全性(刺激性・アレルギー)について

セトリモニウムクロリドの現時点での安全性は、皮膚刺激は一過性の軽度の刺激が起こる可能性があり、眼刺激性は1.0%濃度以下では一過性の軽度の眼刺激が起こる可能性があり、1.0%以上では濃度依存的に眼刺激性が増すものの、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなく、ヘアケア製品の配合範囲において、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、1.0%濃度以上の場合、注意が必要な成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cetrimonium Chloride, Cetrimonium Bromide, and Steartrimonium Chroride」(文献1:1997)によると、

  • [ヒト試験] 114人の被検者の上腕に0.25%セトリモニウムクロリド(100%活性)0.3mLを誘導期間において週3回3週間にわたって24時間閉塞パッチ適用し、最後の誘導パッチ適用の17日後に未処置部位に0.25%セトリモニウムクロリド(100%活性)のチャレンジパッチを適用した。誘導期間において何人かの被検者で軽度の刺激が観察されたが、感作は観察されなかった(Hill Top Research, Inc.,1983)
  • [ヒト試験] 106人の被検者に2%セトリモニウムクロリド(25%活性)を含むヘアコンディショニングの20%水溶液を誘導期間において週3回3週間にわたって24時間閉塞パッチ適用し、最後の誘導パッチ適用の17日後に未処置部位にチャレンジパッチを適用したところ、誘導期間において何人かの被検者で軽度~中等の紅斑が観察され、チャレンジ期間において6人の被検者が軽度の紅斑反応を示した。これらの被検者のうち5人の反応は一過性であり、原発性炎症に起因するものであった。残りの1人は0.25%溶液で再試験したところ、陰性であった(Hill Top Research, Inc.,1984)
  • [ヒト試験] 101人の被検者を用いて1.6%セトリモニウムクロリド(25%活性)を含むヘアコンディショニングの10%水溶液で皮膚刺激および感作試験を実施したところ、1人の被検者のみチャレンジパッチに軽度かつ一時的な紅斑反応を示した。3人の被検者は誘導期間において丘疹または浮腫を伴った軽度の紅斑が観察されたが、これらの反応は迅速に消失し、チャレンジパッチ時には反応しなかった(Hill Top Research, Inc.,1983b)
  • [ヒト試験] 107人の被検者を用いて1.6%セトリモニウムクロリド(25%活性)を含むヘアコンディショニングの10%水溶液で皮膚刺激および感作試験を実施したところ、いずれの被検者もチャレンジパッチ反応を示さず、誘導期間においてわずか1人のみが軽度の紅斑を示した(Hill Top Research, Inc.,1984b)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、まれに一過性の軽度の紅斑または炎症が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激またはまれに一過性の軽度の刺激が起こる可能性があると考えられます。

また、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなしと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cetrimonium Chloride, Cetrimonium Bromide, and Steartrimonium Chroride」(文献1:1997)によると、

    [動物試験] 6匹のウサギを用いて0.1%,0.5%,1.2%および2.5%セトリモニウムクロリドの眼刺激性を評価した。各ウサギの右眼の結膜嚢に試験物質0.1mLを点眼し、左眼は未処置対照とし、24時間後に眼を検査した。次にすべての眼を0.9%塩化ナトリウムですすぎ、48時間および72時間後に検査したところ、0.1%濃度の角膜刺激は最大スコア4.00のうち24,48および72時間でそれぞれ0.00,0.00および0.00で、虹彩刺激は最大スコア2.00のうち24,48および72時間でそれぞれ0.00,0.00および0.00で、ケモ-シスは最大スコア4.00のうち24,48および72時間でそれぞれ1.00,0.05および0.00で、結膜発赤は最大スコア3.00のうち24,48および72時間でそれぞれ0.50,0.00および0.00であった。0.5%濃度の角膜刺激は最大スコア4.00のうち24,48および72時間でそれぞれ0.05,0.00および0.00で、虹彩刺激は最大スコア2.00のうち24,48および72時間でそれぞれ0.25,0.00および0.00で、ケモ-シスは最大スコア4.00のうち24,48および72時間でそれぞれ1.50,1.25および0.00で、結膜発赤は最大スコア3.00のうち24,48および72時間でそれぞれ1.25,0.50および0.00であった。1.2%濃度の角膜刺激は最大スコア4.00のうち24,48および72時間でそれぞれ1.25,0.75および0.00で、虹彩刺激は最大スコア2.00のうち24,48および72時間でそれぞれ1.50,1.00および0.50で、ケモ-シスは最大スコア4.00のうち24,48および72時間でそれぞれ2.75,1.75および1.25で、結膜発赤は最大スコア3.00のうち24,48および72時間でそれぞれ1.00,0.75および0.25であった。2.5%濃度の角膜刺激は最大スコア4.00のうち24,48および72時間でそれぞれ2.75,1.50および0.75で、虹彩刺激は最大スコア2.00のうち24,48および72時間でそれぞれ2.25,1.25および1.00で、ケモ-シスは最大スコア4.00のうち24,48および72時間でそれぞれ4.00,2.75および1.75で、結膜発赤は最大スコア3.00のうち24,48および72時間でそれぞれ3.50,2.25および1.75であった(Source. Danochemo,1983)

    セトリモニウムクロリドの平均眼刺激スコア

    [動物試験] 2匹のウサギの片眼の結膜嚢に1%および10%セトリモニウムクロリド0.2mLを点眼し、1,24および48時間後に観察したところ、1%および10%セトリモニウムクロリドの総合スコアは、最大スコア110のうちそれぞれ3.6および47.5であった(Armour Industrial Chemicals Company,1967)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、0.1%,0.5%および1.0%濃度では一過性の最小限~軽度の眼刺激が起こる可能性があり、1.2%濃度以上では濃度依存的に強い眼刺激が起こるため、1.0%濃度以下では一過性の軽度の眼刺激性が起こる可能性があり、1.0%以上は濃度依存的に軽度~重度の眼刺激が起こると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
セトリモニウムクロリド ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、セトリモニウムクロリドは■■(∗2)となっていますが、これは合成界面活性剤の共通判定であり、試験結果をみるかぎりでは洗浄製品の配合範囲において総合的に安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

セトリモニウムクロリドは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1997)「Final Report on the Safety Assessment of Cetrimonium Chloride, Cetrimonium Bromide, and Steartrimonium Chroride」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/109158197227152> 2018年4月26日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581812467378
    > 2018年4月26日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ