スルホコハク酸ラウレス2Naとは…成分効果と毒性を解説

洗浄 起泡
スルホコハク酸ラウレス2Na
[化粧品成分表示名称]
・スルホコハク酸ラウレス2Na

[医薬部外品表示名称]
・ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム液

化学構造的にエトキシル化したラウリルアルコールとスルホコハク酸のエステルの二ナトリウム塩であり、アルキルスルホコハク酸塩(Alkyl Sulfosuccinate)に分類される陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)です。

アルキルスルホコハク酸塩にはモノエステル型とジエステル型(∗1)があり、モノエステル型は起泡力に優れた低刺激の洗浄剤として使用されています(文献2:2006)

∗1 モノエステルとは1基のエステル結合であり、通常は「モノ」が省略され「エステル結合」や「エステル」とだけ記載されます。ジエステルとは、分子内に2基のエステル結合を持つエステルのことです。ここではモノエステルとジエステルの違いを解説する理由から「エステル」をあえて「モノエステル」と記載しています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、シャンプー製品、洗顔料、ボディソープ製品などに使用されています。

起泡・洗浄

起泡・洗浄に関しては、低刺激性の洗浄剤であり、オキシエチレンの付加モル数にもよりますが、一般的に優れた起泡力を示すことが知られています(文献3:1987)

また、ラウリル硫酸Naなどのアルキル硫酸塩と併用するとそれらの皮膚刺激性を低下させるという特徴を有しています(文献2:2006;文献3:1987)

2006年にインドのハーコートバトラー工科大学によって報告されたスルホコハク酸塩モノエステルの起泡力検証によると、

スルホコハク酸塩モノエステル 起泡力:泡の高さ(mm)
直後 5分後
スルホコハク酸ラウリル2Na 170 160
スルホコハク酸ラウレス2Na 170 160

このような傾向が明らかにされており(文献4:2006)、ラウリルアルコールのスルホコハク酸塩モノエステルは起泡力に有意差はなく、一般的に起泡力が認められています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

スルホコハク酸ラウレス2Naの配合製品数と配合量の調査結果(2011年)

スポンサーリンク

スルホコハク酸ラウレス2Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

スルホコハク酸ラウレス2Naの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1930年代からの使用実績
  • 皮膚一次刺激性:10%濃度以下においてほとんどなし-軽度
  • 皮膚一次刺激性(皮膚炎を有する場合):10%濃度以下においてほとんどなし-軽度
  • 皮膚累積刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 皮膚感作性(皮膚炎を有する場合):ほとんどなし

このような結果となっており、洗浄製品のような短時間の非連続使用として皮膚から完全に洗い流すように設計された製品において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 12人の被検者に10%スルホコハク酸ラウレス2Naを含む製剤(pH6)50μLを対象に48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚への影響を観察したところ、パッチ除去1日目に軽度の紅斑がみられた(E Barany et al,1999)
  • [ヒト試験] 40人の被検者に5%または10%スルホコハク酸ラウレス2Na水溶液を17μLを対象に48時間パッチ適用し、パッチ除去1時間後に皮膚反応を評価したところ、いずれの被検者も有害な影響はみられなかった(B Santucci et al,2003)
  • [ヒト試験] 28人の被検者に0.168%スルホコハク酸ラウレス2Na水溶液100μLを対象に累積刺激性試験を実施した。試験は試験製剤100μLを繰り返し適用することで臨床刺激グレード2に至るまでの連続曝露日数によって測定し、陽性対象として1%SLSも同様に適用した。この試験の結果、臨床刺激グレード2を生じた試験物質の連続曝露平均日数は9.86日であり、陽性対象は3.93日であった。また累積刺激スコアは試験物質で163、陽性対象で346であり、試験物質は通常使用において軽度の刺激物質として分類される可能性がある(Stephens & Associates Inc,1996)
  • [ヒト試験] 51人の被検者に1.68%スルホコハク酸ラウレス2Na水溶液0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において1人の被検者にほとんど知覚できないレベルの紅斑が観察され、3人の被検者にほとんど最小限-中程度の累積刺激が観察されたが、チャレンジ期間に皮膚反応は観察されず、この試験物質は臨床的に重要な皮膚刺激およびアレルギー性接触性皮膚炎を誘発しないと結論付けられた(Essex Testing Clinic Inc,1989)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作なしと報告されており、また皮膚一次刺激および皮膚累積刺激は非刺激-軽度と報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられますが、皮膚一次刺激性および皮膚累積刺激性は非刺激-軽度の刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

– 皮膚炎を有する場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 皮膚炎を有する480人の患者(アトピー性皮膚炎40人、乾癬57人、湿疹124人、蕁麻疹79人、掻痒症40人など)に5%または10%スルホコハク酸ラウレス2Na水溶液を17μLを対象に48時間パッチ適用し、パッチ除去1時間後に皮膚反応を評価したところ、5%および10%濃度においていずれの患者も有害な影響はみられなかった(B Santucci et al,2003)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚炎を有する場合において皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に1.68%スルホコハク酸ラウレス2Na混合物(陰イオン界面活性剤の混合物)0.1mLを点眼し、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、すべてのウサギに眼刺激性がみられ、この混合物は眼刺激剤に分類された(Food and Drug Research Laboratories,1989)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性が報告されていますが、これは他の陰イオン界面活性剤との混合物での評価であり、スルホコハク酸ラウレス2Na単体での試験データはみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

スルホコハク酸ラウレス2Naは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Alkyl PEG Sulfosuccinates as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(2),70S-83S.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「アルキルスルホコハク酸塩」新化粧品原料ハンドブックⅠ,188-189.
  3. 中村 好伸(1987)「界面活性剤の新しい機能」色材協会誌(60)(2),111-116.
  4. Deepika, et al(2006)「Sulfosuccinates as Mild Surfactants」Journal of Oleo Science(55)(9),429-439.

スポンサーリンク

TOPへ