ステアレス-21とは…成分効果と毒性を解説

乳化
ステアレス-21
[化粧品成分表示名称]
・ステアレス-21

[医薬部外品表示名称]
・ポリオキシエチレンステアリルエーテル

化学構造的に炭素数18の高級アルコールであるステアリルアルコールに酸化エチレン(約21モル)をエーテル結合して得られるエーテルであり、酸化エチレン縮合型のポリオキシエチレンアルキルエーテルに分類される分子量1195.6の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です(文献1:2012)

一般的に化粧品によく使用されているポリオキシエチレンステアリルエーテルは、

種類 平均酸化エチレン付加モル数 HLB(∗1)
ステアレス-2 2 親油性


親水性
ステアレス-4 4
ステアレス-20 20
ステアレス-21 21

∗1 詳しくは後述しますが、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)は、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標であり、HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなります。同じ付加モル数であっても実際のHLB値は原料会社によって異なるため、ここでは付加モル数による親油・親水性の傾向のみを記載しています。

これらの種類があり、酸化エチレンの付加モル数が多いほど親水性が高くなるため(文献3:1990)、原料や製品の特性に合わせて最適なモル数のポリオキシエチレンステアリルエーテルが配合されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でスキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品などに使用されています。

乳化

乳化に関しては、まず前提知識として乳化とエマルションについて解説します。

乳化とは、1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献4:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献4:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

また、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標としてはHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)が用いられることが多く、以下の図のように、

界面活性剤のHLB値とその作用、分散・溶解の挙動

HLB値は、0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなり、また界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が要求されることが知られており、HLB値だけで一義的に界面活性剤の性質が定まるわけではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(文献5:2015)

ステアレス-21の特性は、

HLB 作用 分散・溶解性
15.5 O/W型乳化 , 可溶化 透明溶液

このように報告されており(文献6:-)、O/W型乳化剤(親水性界面活性剤)として主に乳化系スキンケア化粧品、クリームファンデーション、ボディクリーム、ハンドクリームなどに使用されています。

混合乳化剤としてのステアレス-21

ステアレス-21は、他の乳化剤と混合することで混合系の特徴を有した原料として配合されることがあり、ステアレス-21と以下の成分が併用されている場合は、混合系乳化剤として配合されている可能性が考えられます。

原料名 BRIJ S2/BRIJ S721/ARLAMOL PS15E HLB
構成成分 ステアレス-2ステアレス-21、PPG-15ステアリル
特徴・主な用途 水中において油滴の周囲に多重層ラメラ液晶構造を形成するオレオゾーム(∗2)であり、保湿効果、使用感に優れ、塩に強い乳化剤であることから、主に乳液、クリームに配合

∗2 オレオゾーム中に油溶性および水溶性の活性成分の内包・配合が可能であることから、活性成分の併用の可能性が考えられます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ステアレス-21の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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ステアレス-21の安全性(刺激性・アレルギー)について

ステアレス-21の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1960年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者の健常な皮膚およびバリア機能を低下させた皮膚に5%ステアレス-2、ステアレス-10およびステアレス-21混合物を含むミネラルオイル溶液を48時間適用し、パッチ除去24時間後に試験部位の皮膚刺激性を評価したところ、健常な試験部位およびバリア機能を低下させた試験部位は皮膚刺激を示さなかった(E Barany et al,2000)

CRODAの安全性データ(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギの皮膚にステアレス-21を対象に皮膚刺激性試験を実施し、Draize法に基づいて皮膚刺激性を評価したところ、刺激剤ではなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

CRODAの安全性データ(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギの片眼にステアレス-21を適用し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、わずかな刺激剤であった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-わずかな眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

CRODAの安全性データ(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] モルモットにステアレス-21を対象にMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、いずれのモルモットも皮膚感作を示さなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ステアレス-21は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2012)「Safety Assessment of Alkyl PEG Ethers as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(31)(5),169S-244S.
  2. CRODA(2016)「SP BRIJ S721 MBAL」Safety Data Sheet.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「高級アルコール酸化エチレン縮合物」香粧品科学 理論と実際 第4版,143-144.
  4. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  5. 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.
  6. CRODA(-)「SP BRIJ S721 MBAL」技術資料.

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