ステアリン酸PEG類とは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
ステアリン酸PEG類
[化粧品成分表示名称]
・ステアリン酸PEG-2、ステアリン酸PEG-3、ステアリン酸PEG-4、ステアリン酸PEG-5、ステアリン酸PEG-6、ステアリン酸PEG-7、ステアリン酸PEG-8、ステアリン酸PEG-9、ステアリン酸PEG-10、ステアリン酸PEG-12、ステアリン酸PEG-14、ステアリン酸PEG-15、ステアリン酸PEG-18、ステアリン酸PEG-20、ステアリン酸PEG-23、ステアリン酸PEG-25、ステアリン酸PEG-30、ステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-35、ステアリン酸PEG-36、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-45、ステアリン酸PEG-50、ステアリン酸PEG-55、ステアリン酸PEG-75、ステアリン酸PEG-80、ステアリン酸PEG-90、ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸PEG-120、ステアリン酸PEG-150

[医薬部外品表示名称]
・モノステアリン酸ポリエチレングリコール

油性成分(高級脂肪酸)のステアリン酸に水性のポリエチレングリコール(PEG)をつなぎ合わせた非イオン界面活性剤です。

泡立ちは乏しいですが、水と油の間に入って水と油を混ざった状態にしておくことができる優れた乳化剤として乳液やクリームなどによく使用されます。

モル数(∗1)が少ないものはW/O型乳化剤、多いものはo/W型乳化剤となります。

∗1 モル数とは分子量のことでPEG-100の「100」の部分です。

実際にステアリン酸PEG類がどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ステアリン酸PEG-2の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-6の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-8の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-10の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-12の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-20の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-30の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-32の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-40の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-50の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-55の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-75の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-100の配合製品数と配合量の調査(2002年)

ステアリン酸PEG-150の配合製品数と配合量の調査(2002年)

スポンサーリンク

ステアリン酸PEG類の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ステアリン酸PEG類の現時点での安全性は、モル数にかかわらず、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of PEG-2,-6, -8, -12, -20, -32, -40,-50, -100, and -150 Stearates」(文献1:1983)によると、

– ステアリン酸PEG-2 –

  • [ヒト試験] 168人の被検者(男性53人、女性115人)に25%ステアリン酸PEG-2水溶液0.1mLの反復鎮痛パッチ試験(RIPT)を実施した。各被検者の背中に48時間間隔で週3回3週間にわたって試験物質を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に蒸留水で洗浄し、試験部位を評価した後パッチを再適用した。3週間の休止期間の後、同じ試験部位および未処置部位に同じ手順でチャレンジパッチを適用し、パッチ除去24,48および72時間後に評価したところ、一時的な反応のみが観察され、ステアリン酸PEG-2は刺激剤でも増感剤でもないと結論づけた

– ステアリン酸PEG-6 –

  • [ヒト試験] 48人の被検者を用いて1.5%ステアリン酸PEG-6を含むヘアクリームの刺激性および感作性を評価した。誘導期間において1週間あたり4つの閉塞パッチを2週間にわたって18~24時間適用し、各パッチ除去後に試験部位を0~8nスケールでスコアリングした。最後のパッチの2周間後に腕の未処置部位にチャレンジパッチを適用し、24および48時間後にスコアリングしたところ、すべての刺激スコアは最初の5回のパッチ適用で0であった。6,7および8回目のパッチはそれぞれ1,4および7の反応が観察された。すべてのチャレンジパッチのスコアは0であった

– ステアリン酸PEG-8 –

  • [ヒト試験] 48人の男性被検者を用いて15%ステアリン酸PEG-8を含むヘアクリーム製剤の刺激性および感作性を評価した。誘導期間において試験物質0.5mLを含むパッチを1~4日および6~9日に同じ部位に適用し、反応は2~5日および7~10日にスコアリングした。2週間の無処置期間の後、チャレンジパッチを適用し、反応を24,72および96時間で評価したところ、誘導期間およびチャレンジ期間においてすべての被検者のスコアは0であった
  • [ヒト試験] 168人の被検者(男性53人、女性115人)に25%ステアリン酸PEG-8水溶液0.1mLの反復鎮痛パッチ試験(RIPT)を実施した。各被検者の背中に48時間間隔で週3回3週間にわたって試験物質を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に蒸留水で洗浄し、試験部位を評価した後パッチを再適用した。3週間の休止期間の後、同じ試験部位および未処置部位に同じ手順でチャレンジパッチを適用し、パッチ除去24,48および72時間後に評価したところ、一時的な反応のみが観察され、ステアリン酸PEG-8は刺激剤でも増感剤でもないと結論づけた

– ステアリン酸PEG-40 –

  • [ヒト試験] それぞれ50人および10人の被検者を用いて60%および30%ステアリン酸PEG-40の皮膚刺激性および皮膚感作性を評価した。試験は72時間閉塞パッチ適用、試験部位のスコアリング、7日間の無処置期間、同じ部位への2回目の72時間パッチ適用および再評価で構成されており、両方の濃度での適用後の被検者の反応はなく、ステアリン酸PEG-40はヒト皮膚に対する主要な刺激物質でも感作物質でもないと結論づけられた
  • [ヒト試験] 60人の被検者に10%ステアリン酸PEG-40水溶液を単一閉塞パッチ試験にて評価したところ、すべての被検者の皮膚刺激スコアは0であった

– ステアリン酸PEG-50 –

  • [ヒト試験] 50人の被検者に50%ステアリン酸PEG-50のSchwartz皮膚刺激性パッチ試験を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作はなかった
  • [ヒト試験] 10人の被検者に30%ステアリン酸PEG-50溶液を48時間パッチ適用したところ、皮膚刺激および皮膚感作はなかった

– ステアリン酸PEG-100 –

  • [ヒト試験] 10人の被検者に希釈されていないステアリン酸PEG-100を1週間で2回48時間パッチ適用したところ、反応はなかった
  • [ヒト試験] 188人の被検者に1%-3%ステアリン酸PEG-100を含むスキンコンディショナーの反復鎮痛パッチ試験(RIPT)を実施し、誘導期間の後に24時間チャレンジパッチを適用したところ、すべての被検者でチャレンジパッチに対する反応はなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、またステアリン酸PEG類はステアリン酸とPEGで構成されていることから、本質的に非刺激性であり、皮膚感作も報告されていないため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of PEG-2,-6, -8, -12, -20, -32, -40,-50, -100, and -150 Stearates」(文献1:1983)によると、

– ステアリン酸PEG-2 –

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼にステアリン酸PEG-2を100mg注入し、Draize法に従って24,48および72時間後に評価したところ、眼刺激スコアは最大110のうちそれぞれ6.3,1.5および0.0であり、最小限の眼刺激性であった

– ステアリン酸PEG-6 –

  • [動物試験] それぞれ5匹のウサギの2つのグループに1.5%ステアリン酸PEG-6を含むヘアクリーム製剤を注入した後洗眼したグループと非洗眼グループに分けた。非洗眼グループのDraizeスコアはそれぞれ1,24および48時間後で19.2,9.8および2.6であり、その後は0であった。洗眼グループのDraizeスコアはそれぞれ1および24時間後で13.0および3.8であり、その後は0であった

– ステアリン酸PEG-12 –

  • [動物試験] Draize法に従った眼刺激性試験を用いて希釈されていないステアリン酸PEG-12のウサギの眼への影響を評価したところ、すべてのDraizeスコアは0であり、ステアリン酸PEG-12は眼刺激性がないと考えられた

– ステアリン酸PEG-20 –

  • [動物試験] Draize法に従った眼刺激性試験を用いて希釈されていないステアリン酸PEG-20のウサギの眼への影響を評価したところ、眼刺激スコアは最大110のうち洗眼で2.0、非洗眼で0.0であり、角膜刺激は認められなかった。再び同様の試験を実施したところ、すべての眼刺激スコアは0であった

– ステアリン酸PEG-32 –

  • [動物試験] Draize法に従った眼刺激性試験を用いて希釈されていないステアリン酸PEG-32のウサギの眼への影響を評価したところ、眼刺激スコアは最大110のうち2.0であり、角膜に影響はなかった

– ステアリン酸PEG-40 –

  • [動物試験] Draize法に従った眼刺激性試験を用いて希釈されていないステアリン酸PEG-40のウサギの眼への影響を評価したところ、非洗眼の眼刺激スコアは最大110のうち2回の試験でそれぞれ2.7および1.33であった。洗眼の眼刺激スコアは両方の試験で0.0であった

– ステアリン酸PEG-50 –

  • [動物試験] Draize法に従った眼刺激性試験を用いて50%ステアリン酸PEG-50水溶液のウサギの眼への影響を評価したところ、注入1および24時間後で眼刺激スコアは最大110のうち0.67および0.33であり、それ以後は0であった。注入から2秒後に眼を洗浄した場合はすべての眼刺激スコアは0であった

– ステアリン酸PEG-150 –

  • [動物試験] Draize法に従った眼刺激性試験を用いて希釈されていないステアリン酸PEG-150のウサギの眼への影響を評価したところ、非洗眼において眼刺激スコアは最大110のうち2.0が報告された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、ステアリン酸PEG類はモル数によらず、非洗眼の場合最小限の眼刺激性があり、洗眼の場合は無刺激とほうこくされているため、眼刺激性は非洗眼で最小限の眼刺激が起こる可能性がありますが、洗眼では眼刺激はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of PEG-2,-6, -8, -12, -20, -32, -40,-50, -100, and -150 Stearates」(文献1:1983)によると、

– ステアリン酸PEG-2 –

  • [ヒト試験] 刺激および感作について試験した168人のうちランダムに選抜した28人の被検者を用いてステアリン酸PEG-2の光毒性または光感作性を評価した。28人を2つのグループに分け、19人はUVAのみ照射し、9人はUVAおよびUVBの両方を照射した。UVAライト(320~400nm)は19人の被検者に15分適用し、UVBは280~320nmで発光する150Wのキセノンアークソーラーシミュレーターで9人の被検者に2回のMED(最小紅斑線量)で適用した。UVBを照射した被検者もまたUVAを5分間照射した。被検者の部位を評価したところ、一時的な反応のみが観察され、ステアリン酸PEG-2は光感作剤ではないと結論付けられた

– ステアリン酸PEG-8 –

  • [ヒト試験] 刺激および感作について試験した168人のうちランダムに選抜した28人の被検者を用いてステアリン酸PEG-8の光毒性または光感作性を評価した。28人を2つのグループに分け、19人はUVAのみ照射し、9人はUVAおよびUVBの両方を照射した。UVAライト(320~400nm)は19人の被検者に15分適用し、UVBは280~320nmで発光する150Wのキセノンアークソーラーシミュレーターで9人の被検者に2回のMED(最小紅斑線量)で適用した。UVBを照射した被検者もまたUVAを5分間照射した。被検者の部位を評価したところ、一時的な反応のみが観察され、ステアリン酸PEG-8は光感作剤ではないと結論付けられた

– ステアリン酸PEG-100 –

  • [ヒト試験] 1%~3%ステアリン酸PEG-100を含むスキンコンディショナーはヒト光感作試験において、適用部位にUVライトを照射したところ、悪影響は観察されなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、ステアリン酸PEG類は光感作性なしと報告されているため、光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ステアリン酸PEG-2 ■■
ステアリン酸PEG-3 ■■
ステアリン酸PEG-4 ■■
ステアリン酸PEG-5 ■■
ステアリン酸PEG-6 ■■
ステアリン酸PEG-7 ■■
ステアリン酸PEG-8 ■■
ステアリン酸PEG-9 ■■
ステアリン酸PEG-10 ■■
ステアリン酸PEG-12 ■■
ステアリン酸PEG-14 ■■
ステアリン酸PEG-15 ■■
ステアリン酸PEG-18 ■■
ステアリン酸PEG-20 ■■
ステアリン酸PEG-23 ■■
ステアリン酸PEG-25 ■■
ステアリン酸PEG-30 ■■
ステアリン酸PEG-32 ■■
ステアリン酸PEG-35 ■■
ステアリン酸PEG-36 ■■
ステアリン酸PEG-40 ■■
ステアリン酸PEG-45 ■■
ステアリン酸PEG-50 ■■
ステアリン酸PEG-55 ■■
ステアリン酸PEG-75 ■■
ステアリン酸PEG-80 ■■
ステアリン酸PEG-90 ■■
ステアリン酸PEG-100 ■■
ステアリン酸PEG-120 ■■
ステアリン酸PEG-150 ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ステアリン酸PEG類は■■(∗3)となっていますが、これは界面活性剤共通の判定です。

安全データをみるかぎり、モル数にかかわらず、ステアリン酸PEG類は刺激性および感作性がほとんどなく安全性に問題ないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ステアリン酸PEG類は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1983)「Final Report on the Safety Assessment of PEG-2,-6, -8, -12, -20, -32, -40,-50, -100, and -150 Stearates」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818309142000> 2018年3月30日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ