ステアリン酸亜鉛とは…成分効果と毒性を解説

分散 感触改良
ステアリン酸亜鉛
[化粧品成分表示名称]
・ステアリン酸亜鉛

[医薬部外品表示名称]
・ステアリン酸亜鉛

炭素数18の高級脂肪酸であるステアリン酸の亜鉛塩であり、金属セッケン(Metallic Soap)(∗1)に分類される分子量632.3の陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)です(文献3:2019)

∗1 金属セッケンは、一般的には「せっけんカス」と呼ばれており、化学構造的にセッケンと本質的な違いがなく、陰イオン界面活性剤に分類されますが、水に不溶であるため洗浄力や起泡力はありません。

一般的には、プラスチック分野において安定剤、顔料分散剤として、ゴム分野においてダスティングパウダーとして、医薬分野において錠剤用潤滑剤などに応用されています(文献4:1988)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品などに使用されています。

非水系における顔料・粉体の分散

非水系における顔料・粉体の分散に関しては、撥水性(耐水性)および潤滑性を有しており、顔料・粉体の流動性を向上する働きがあることから、ケーキング防止(∗2)目的で非水系メイクアップ化粧品に配合されます(文献4:1988;文献5:2015)

∗2 ケーキングとは、主として固められた粉末化粧品の使用において、スポンジなどで粉末表面をこすった際に粉末と粉末がくっつくことで表面が固まり、使用しにくくなる現象のことです。

潤滑性および付着性向上による感触改良

潤滑性および付着性向上による感触改良に関しては、ステアリン酸亜鉛は柔軟で滑らかなフワフワした粉体特性を有しており、とくに皮膚に対する感触という点ではステアリン酸Mgより優れていることから、皮膚に対して滑らかな感触を付与するとともに付着性を向上させる目的で、メイクアップ化粧品に汎用されています(文献4:1988)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2001年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ステアリン酸亜鉛の配合製品数と配合量の調査結果(2001年)

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ステアリン酸亜鉛の安全性(刺激性・アレルギー)について

ステアリン酸亜鉛の現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990;文献2:2018)によると、

  • [ヒト試験] 202人の被検者に10%ステアリン酸亜鉛を含むアイシャドー製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1976)
  • [ヒト試験] 99人の被検者に10%ステアリン酸亜鉛を含むアイシャドー製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 52人の被検者に10%ステアリン酸亜鉛を含むアイシャドー製剤を対象に28日間にわたって1日2回適用してもらったところ、この製品はテスト使用条件下において、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作の兆候を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [ヒト試験] 20人の被検者(10人はコンタクトレンズ着用)の眼の周囲に3%ステアリン酸亜鉛を含むアイシャドー製剤を1ヶ月間毎日適用したところ、いずれの被検者もまぶたおよび眼粘膜に刺激の兆候を示さなかった(Anonymous,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%ステアリン酸亜鉛を適用し、眼はすすがず、Draize法に基づいて1,2および3日目の眼刺激性を評価したところ、1,2および3日目でそれぞれ眼刺激スコアは0であり、非刺激性に分類された(S. B. Penick and Co,1977)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%ステアリン酸亜鉛を適用し、眼はすすがず、Draize法に基づいて1および2日目の眼刺激性を評価したところ、1および2日目でそれぞれ眼刺激スコアは2および0であり、最小限の眼刺激性に分類された(Avon Products,1976)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に10%ステアリン酸亜鉛を含むアイシャドー製剤を適用し、24,48および72時間後で眼刺激性を評価したところ、すべての眼刺激スコアは0であり、この製剤は非刺激性に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1976;1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-最小限の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

∗∗∗

ステアリン酸亜鉛は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1990)「Final Report of the Safety Assessment of Lithium Stearate, Aluminum Distearate, Aluminum Stearate, Aluminum Tristearate, Ammonium Stearate, Calcium Stearate, Magnesium Stearate, Potassium Stearate, Sodium Stearate, and Zinc Stearate」Journal of the American College of Toxicology(1)(2),143-177.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Zinc Salts as Used in Cosmetics」Final Report.
  3. “Pubchem”(2019)「ZINC stearate」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/ZINC-stearate> 2019年9月20日アクセス.
  4. 吉田 時行, 他(1988)「金属せっけん各論」金属せっけんの性質と応用,112-128.
  5. 宇山 光男, 他(2015)「ステアリン酸亜鉛」化粧品成分ガイド 第6版,151.

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