ステアラミドプロピルジメチルアミンとは…成分効果と毒性を解説

帯電防止
ステアラミドプロピルジメチルアミン
[化粧品成分表示名称]
・ステアラミドプロピルジメチルアミン

[医薬部外品表示名称]
・ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド

化学構造的に炭素数18の高級脂肪酸であるステアリン酸とジアミンを縮合したアミド基をもつ第三級アミドアミンであり、アミン塩型の脂肪酸アミドアミン塩に分類される分子量368.6の陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)です(文献2:2019)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でヘアコンディショナー、ヘアトリートメントなどに使用されています。

帯電防止

帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。

水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、

陽イオン界面活性剤の構造図

親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。

そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります(文献3:1990;文献4:2010)

ステアラミドプロピルジメチルアミンは、酸で中和することで水溶性になり、優れた毛髪コンディショニング効果を発揮することから(文献5:2006)、炭素数16-22の高級アルコール(∗1)と併用してヘアコンディショナー、ヘアトリートメントなどに使用されています。

∗1 高級アルコールとして主にセタノールセテアリルアルコールステアリルアルコールまたはべヘニルアルコールのいずれかまたは複数が併用されます。

高級アルコールは、陽イオン界面活性剤ととの組み合わせによりゲル構造を形成し、効率よく毛髪に吸着し、塗布からすすぎにかけての毛髪のからみを効果的に除去し、滑らかさを増す役割を果たします(文献4:2010)

また第三級アミドアミンに分類される陽イオン界面活性剤であることから、一般的にステアルトリモニウムクロリドなどの第四級アンモニウム塩型より低刺激性であることが知られています(文献5:2006)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012-2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ステアラミドプロピルジメチルアミンの配合製品数と配合量の調査結果(2012-2014年)

スポンサーリンク

ステアラミドプロピルジメチルアミンの安全性(刺激性・アレルギー)について

ステアラミドプロピルジメチルアミンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2019)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者に0.045%ステアラミドプロピルジメチルアミンを含むプレシェービングスクラブを2週間毎日使用してもらったところ、いずれの被検者も皮膚刺激を示さなかった(Clinical Research Laboratories Inc,2007)
  • [ヒト試験] 55人の被検者に0.5%ステアラミドプロピルジメチルアミンを含むヘアコンディショナー0.02mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(Medcin Instituto da Pele S/C Ltda,2007)
  • [ヒト試験] 104人の被検者に2%ステアラミドプロピルジメチルアミンを含むヘアコンディショナー0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も皮膚感作を示さなかった(TKL Research Inc,2002)
  • [ヒト試験] 122人の被検者に0.6%ステアラミドプロピルジメチルアミンを含むヘアコンディショナー水溶液0.15mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において何人かの被検者に軽度の紅斑が観察され、チャレンジ期間において10人の被検者に軽度の紅斑がみられた。これらの結果からこの試験物質は軽度の皮膚刺激剤であると結論づけられたが、遅延型接触皮膚感作剤ではなかった(Hill Top Laboratories,1997)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作なしと報告されており、皮膚刺激性は非刺激-軽度の刺激が報告されていることから、化粧品配合量および通常使用下において、皮膚感作性はほとんどなく、また皮膚刺激性は非刺激-軽度の皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

ただし、ステアラミドプロピルジメチルアミンは主にヘアケア製品のみに配合されることから、化粧品配合量およびヘアケア製品としての通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2019)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に0.045%ステアラミドプロピルジメチルアミンを含むプレシェーブスクラブを処理したところ、非刺激性または最小限の眼刺激性と予測された(BioScience Laboratories Inc,2007)
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に2%ステアラミドプロピルジメチルアミンを含むヘアコンディショナーを処理したところ、非刺激性または最小限の眼刺激性と予測された(Institute for In Vitro Sciences Inc,2006)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、2%濃度で非刺激-最小限の眼刺激と報告されているため、化粧品配合量および通常使用下において、眼刺激性は非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

∗∗∗

ステアラミドプロピルジメチルアミンは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2019)「Safety Assessment of Fatty Acid Amidopropyl Dimethylamines as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(38)(1_Suppl),39S-69S.
  2. “Pubchem”(2019)「Octadecanamide, N-[3-(dimethylamino)propyl]-」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Octadecanamide_-N-_3-_dimethylamino_propyl> 2019年12月13日アクセス.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
  4. 鐵 真希男(2010)「コンディショナーの配合成分と製剤」化学と教育(58)(11),536-537.
  5. 日光ケミカルズ(2006)「脂肪酸アミドアミン塩」新化粧品原料ハンドブックⅠ,199.

スポンサーリンク

TOPへ