ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(ペリセア)とは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤 保湿 バリア機能
ジラウロイルグルタミン酸リシンNa
[化粧品成分表示名称]
・ジラウロイルグルタミン酸リシンNa

[医薬部外品表示名称]
・ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム液

[慣用名]
・ペリセア

植物由来で天然の脂肪酸と複数のアミノ酸を結合させた世界初(2006年開発)の2鎖3親水基のジェミニ型両親媒性化合物(ジェミニ型界面活性剤)です[化学構造式はこちら]。

ジェミニ型界面活性剤とは、複数の疎水基と親水基をジェミニ型(双子型)の構造に結合させたものをいい、一般的な両親媒性物質よりもはるかに優れた機能を有すると考えられています。

スキンケア化粧品に配合される場合は、角層内部に浸透し、セラミドと同様の働きで皮膚バリア機能を改善する効果や肌のキメや弾力を改善する効果が明らかになっており、化粧水、美容液、乳液、クリームなどの基礎化粧品に使用されます。

ヘアケア製品に配合される場合は、毛髪内部に浸透しダメージを補修したり、ハリ、コシ、スベリ性などを改善するため、シヤンプー、リンス、コンディショナー、トリートメントなどに使用されます。

また、極めて少量で多くの油を乳化でき、ノニオン界面活性剤と比べても界面活性剤の量を減らすことができるため、スキンケア化粧品やヘアケア製品の他にも日焼け止めやリキッドファンデーションにも使用されたり、オイルゲル形成機能もあるため、クレンジングやマッサージオイルなどにも使用されます。

ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(ペリセア)を開発した旭化成株式会社のスキンケアに関する研究結果によると、荒れ肌をつくった後、ペリセア固形分濃度0.1%水溶液を1日2回塗布して観察したところ、

ペリセア塗布によるキメの回復比較

水処理よりもペリセア処理のほうがキメが増えているのがわかります。

また、洗浄料のみだと通常は少しずつ皮膚バリアが破壊されていき肌荒れが起こってキメが荒くなっていきますが、ペリセア固形分濃度0.1%を添加することで、皮膚バリア機能が維持されて肌のキメを保つかどうかを観察したところ、

ペリセアを洗浄料へ添加した比較効果

Bのカリ石ケン素地のみは次第にキメがなくなっていっていますが、Aのペリセア添加カリ石ケン素地は5回目でもキメが残っているのがわかります。

この結果から、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(ペリセア)には皮膚バリア機能を保護して肌のキメを改善する効果があることが明らかとなっています。

バリア機能を保護・改善することで保湿力やキメを改善するのはセラミドが代表的で、効果としてはセラミドと同様であることは最初に伝えたとおりなのですが、肌の角層内部にどれほど浸透するのかをセラミドと比較したのが以下のグラフになっており、

角層内への浸透性の比較

皮膚表面だけをみるとセラミドのほうが2倍以上存在していますが、角層の奥にはペリセアのほうが浸透してことがわかります(∗1)

∗1 グラフのs1~4というのは、皮膚表面をテープでストリッピング(剥ぎ取ること)した回数のことで、s1が1回ストリッピング、s14は14回ストリッピングしたということです。

次にヘアケア機能の研究では、ダメージ毛をペリセア固形分0.1%水溶液に浸漬し、1日乾燥(タオルドライ後、室温で風乾)させたところ、以下の画像のように、

ペリセアのダメージ修復効果

毛髪のダメージ修復が確認できました。

次に毛髪への浸透性はというと、ペリセア(固形分濃度0.1%)+ラウレス硫酸TEA(20%)、およびラウレス硫酸TEA(20%)それぞれに1分間浸漬後、2分間温水洗浄した毛髪をTOF-SIMS測定したところ、以下の画像のように、

シャンプーでのペリセアの浸透性

ペリセアを添加したものが明らかに浸透性が高いのがわかります。

同じように、市販コンディショナーにペリセア(固形分濃度0.1%)および水をそれぞれ添加したものに、1分間浸漬後、40℃温水で2分間洗浄した毛髪をTOF-SIMS測定したところ、以下の画像のように、

コンディショナーでのペリセアの浸透性

ペリセアを添加したものが明らかに浸透性が高いのがわかります。

浸透性が高いのは明らかになりましたが、浸透したペリセアがどれだけ効果が続くのか(毛髪に残っているのか)というと、同様にダメージ毛をペリセア固形分0.1%水溶液に1分間浸漬した後、40℃温水で2分間洗浄を3回繰り返したところ、以下の画像のように、

ペリセアの残存持続性

温水で2分間×3回洗浄してもこれだけ残っており、洗浄後も効果の持続が期待できます。

これらの結果によって、ペリセアは0.1%という少ない濃度かつ1分間という短い処理時間で毛髪深部まで浸透し、内部からダメージを修復、さらに洗浄後も毛髪内部に残存し続けることが明らかになりました。

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ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性はほとんどなく、眼刺激性も事実上無刺激で、アレルギーの動物試験が陰性で、重大なアレルギーの報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、スキンケア化粧品(塗りきり使用)の場合は皮膚バリア機能を崩す可能性があるため注意が必要かもしれません。

以下は、この結論にいたった根拠です。

旭化成ファインケム株式会社の開発原料のため旭化成ファインケム株式会社の安全性データシート(∗2)を参照したところ、皮膚刺激性・毒性に関しては、

  • 30%ジラウロイルグルタミン酸リシンNa水溶液を24時間閉塞貼付し、3時間後、24時間後、48時間後にDraize法の判定基準により一次刺激性を求めたところ、「0(皮膚刺激性なし)」と示されています(文献1:2016)
  • 10%ジラウロイルグルタミン酸リシンNa水溶液を20%濃度でモルモットに塗布しDraize法で試験したところ、「区分外(安全性がかなり高い)」と示されています(文献2:2016,文献3:2016)

∗2 安全性データシートは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている資料ですが、安全性を考えるデータとして一部引用させていただいています。

安全性データによると10%-30%水溶液を20%塗布しても皮膚刺激はなく、化粧品やヘアケア製品への推奨量は1%未満のため、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性に関しては、

  • 10%ジラウロイルグルタミン酸リシンNa水溶液を5%濃度でウサギに点眼しDraize法で判定したところ、「最小の刺激(安全性が高い)」と示されています(文献2:2016,文献3:2016)
  • 10%ジラウロイルグルタミン酸リシンNa水溶液を1%濃度でウサギに点眼しDraize法で判定したところ、「事実上無刺激(安全性がかなり高い)」と示されています(文献2:2016,文献3:2016)

となっており、実際の配合推奨量は1%以下のため、ほとんど眼刺激性はないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)に関しては、

  • 10%ジラウロイルグルタミン酸リシンNa水溶液を用いてモルモットを使った試験でGPMT法判定したところ、陰性と示されています(文献2:2016,文献3:2016)

とあり、モルモットの試験のみですが、現在アレルギーの重大な報告もないため、アレルギー反応(皮膚感作性)は起こりにくいと考えられます。

また、スキンケア化粧品(塗りきり化粧品)の場合には注意が必要な理由ですが、すでに解説したようにジラウロイルグルタミン酸リシンNaは、髪への浸透性や残存持続性に優れているだけでなく、極めて少量で多くの油を乳化できる優れた乳化力も特徴です。

乳化力が強くても分子量が大きければ皮膚バリア機能を壊すことはありませんが、髪にあれほど浸透する分子量の小ささだと皮膚へも浸透すると思うので、毛髪なら問題ないと思いますが皮膚の場合この浸透力と乳化力は肌のバリア機能を壊してしまう可能性が考えられます。

この可能性に触れた文献は現時点ではありませんが、こういった理由からスキンケア化粧品(塗りきり化粧品)の場合には注意が必要だと考えます。

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ジラウロイルグルタミン酸リシンNaは掲載なし(∗3)となっていますが、これはジラウロイルグルタミン酸リシンNaが化粧品毒性判定事典より後に開発されたためです。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ジラウロイルグルタミン酸リシンNaは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. 旭化成ファインケム株式会社(2006年作成/2016年改訂)「ペリセア®」, <https://www.asahikasei-fc.jp/product/amino/pellicer/index.html> 2017年9月11日アクセス.
  2. 旭化成ファインケム株式会社(2016)「安全データシート ペリセア®LB-10」, <https://www.asahikasei-fc.jp/product/amino/pellicer/index.html> 2017年9月11日アクセス.
  3. 旭化成ファインケム株式会社(2016)「安全データシート ペリセア®L-30」, <https://www.asahikasei-fc.jp/product/amino/pellicer/index.html> 2017年9月11日アクセス.

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