ジミリスチン酸Alとは…成分効果と毒性を解説

分散 増粘 乳化
ジミリスチン酸Al
[化粧品成分表示名称]
・ジミリスチン酸Al

[医薬部外品表示名称]
・ジミリスチン酸アルミニウム

炭素数14の高級脂肪酸であるミリスチン酸アルミニウム塩であり、金属セッケン(Metallic Soap)(∗1)に分類される分子量499.7の陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)です(文献1:2019)

∗1 金属セッケンは、一般的には「せっけんカス」と呼ばれており、化学構造的にセッケンと本質的な違いがなく、陰イオン界面活性剤に分類されますが、水に不溶であるため洗浄力や起泡力はありません。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、乳化系スキンケア化粧品などに使用されています。

非水系における顔料の懸濁・分散

非水系における顔料の懸濁・分散に関しては、アルミニウムセッケンは配位結合による高分子性構造をもっていることから、金属セッケンの中でも特にゲル化性能に優れており、ミネラルオイルをはじめ炭化水素に溶解し、ケーキング防止(∗2)目的で非水系メイクアップ化粧品に配合されます(文献2:1988;文献3:1967)

∗2 ケーキングとは、主として固められた粉末化粧品の使用において、スポンジなどで粉末表面をこすった際に粉末と粉末がくっつくことで表面が固まり、使用しにくくなる現象のことです。

増粘・ゲル化

増粘・ゲル化に関しては、アルミニウムセッケンは配位結合による高分子性構造をもっていることから金属セッケンの中でも特にゲル化性能に優れており、ミネラルオイルをはじめ炭化水素の増粘目的で乳化系メイクアップ化粧品、乳化系スキンケア化粧品に使用されています(文献2:1988;文献3:1967)

W/O型エマルションの乳化安定化

W/O型エマルションの乳化安定化に関しては、まず前提知識として乳化とエマルションについて解説します。

乳化とは、1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献4:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献4:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

ジミリスチン酸Alは、流動性の大きなW/O(油中水滴)型エマルションに対する乳化安定効果が知られており、W/O型クリームなどに使用されます(文献2:1988)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2006-2008年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ジミリスチン酸Alの配合製品数と配合量の調査結果(2006-2008年)

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ジミリスチン酸Alの安全性(刺激性・アレルギー)について

ジミリスチン酸Alの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬部外品原料規格2006に収載されており、古くからの使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ジミリスチン酸Alは界面活性剤、安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤 安定化成分

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文献一覧:

  1. “Pubchem”(2019)「Aluminum dimyristate」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Aluminum-dimyristate> 2019年9月21日アクセス.
  2. 吉田 時行, 他(1988)「金属せっけん各論」金属せっけんの性質と応用,112-128.
  3. 松浦 良平(1967)「金属セッケンの界面化学」油化学(16)(11),585-595.
  4. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.

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