ジステアリン酸PEG-150とは…成分効果と毒性を解説

乳化 増粘
ジステアリン酸PEG-150
[化粧品成分表示名称]
・ジステアリン酸PEG-150

[医薬部外品表示名称]
・ジステアリン酸ポリエチレングリコール(1)

化学構造的に炭素数18の高級脂肪酸であるステアリン酸2つと酸化エチレン(約150モル)をエステル結合して得られるジエステル(∗1)であり、酸化エチレン縮合型のポリオキシエチレン脂肪酸エステル(∗2)に分類される非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です。

∗1 モノエステルとは分子内に1基のエステル結合をもつエステルであり、通常はギリシャ語で「1」を意味する「モノ(mono)」が省略され「エステル結合」や「エステル」とだけ記載されます。2基のエステル結合の場合はギリシャ語で「2」を意味する「ジ(di)」をつけてジエステルと記載されます。

∗2 分類名称としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルの他にもポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたは単にポリエチレングリコールエステルとよばれることもありますが、呼び方が違うだけで同様の分類です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でシャンプー製品、ボディソープ製品、洗顔料、スキンケア化粧品などに使用されています。

乳化

乳化に関しては、まず前提知識として乳化とエマルションについて解説します。

乳化とは、1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献2:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献2:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

また、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標としてはHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)が用いられることが多く、以下の図のように、

界面活性剤のHLB値とその作用、分散・溶解の挙動

HLB値は、0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなり、また界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が要求されることが知られており、HLB値だけで一義的に界面活性剤の性質が定まるわけではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(文献3:2015)

ジステアリン酸PEG-150の特性は、

HLB 作用 分散・溶解性
16.5 , 18.9 O/W型乳化 , 親水性乳化 , 可溶化 透明溶液

このように報告されており(文献4:-;文献5:-)、O/W型乳化剤・親水性乳化剤として主にスキンケア化粧品などに使用されています。

増粘

増粘に関しては、親水性が高く、水でゲル化する強い増粘作用を有しており、粘度調整・基剤の粘度安定化目的でシャンプー製品、ボディソープ製品、洗顔料などに使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1995-1996年および2014-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ジステアリン酸PEG-150の配合製品数と配合量の調査結果(1995-1996年および2014-2015年)

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ジステアリン酸PEG-150の安全性(刺激性・アレルギー)について

ジステアリン酸PEG-150の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 50年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

モル数の多いステアリン酸PEG類はほとんど皮膚刺激および皮膚感作がなく(文献1:1999)、ジステアリン酸PEG-150は化学構造的にこれらと類似しており、50年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1999)「Final Report on the Safety Assessment of PEG-2, -3, -4, -6, -8, -9, -12, -20, -32, -50, -75, -120, -150, and -175 Distearate」International Journal of Toxicology(18)(Supple.1),51-59.
  2. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  3. 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.
  4. 日光ケミカルズ株式会社(-)「NIKKOL CDS-6000P」技術資料.
  5. 花王株式会社(-)「エマノーン3299V」技術資料.

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