ジステアリルジモニウムクロリドとは…成分効果と毒性を解説

帯電防止 乳化
ジステアリルジモニウムクロリド
[化粧品成分表示名称]
・ジステアリルジモニウムクロリド

[医薬部外品表示名称]
・塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

化学構造的に炭素数18のアルキル基を2つもつ塩化ジアルキルジメチルアンモニウムであり、第四級アンモニウム塩型のジアルキル型四級アンモニウム塩に分類される分子量586.5の陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)です(文献2:2019)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、日焼け止め製品、クレンジング製品、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアケア製品など様々な製品に汎用されています。

帯電防止

帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。

水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、

陽イオン界面活性剤の構造図

親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。

そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります(文献3:1990;文献4:2010)

ジステアリルジモニウムクロリドは、代表的な陽イオン界面活性剤のひとつであり、帯電防止目的でステアルトリモニウムクロリドベヘントリモニウムクロリドなど他の第四級アンモニウム塩と併用してヘアコンディショナー、ヘアトリートメントなどに汎用されています。

またジステアリルジモニウムクロリドは、溶剤としておよびイソプロパノールで溶かし込んだものが原料であることが多いため、ジステアリルジモニウムクロリドが配合されている場合は、成分表示名称にイソプロパノールが併用されている可能性が考えられます。

乳化

乳化に関しては、まず前提知識として乳化とエマルションについて解説します。

乳化とは、1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献5:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献5:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

ジステアリルジモニウムクロリドは、炭素数18のアルキル基を2つもち、合成二分子膜構造を形成することから、皮膚親和性が高く、かつ比較的皮膚刺激性が低いため(文献6:1982)、乳化剤としてリキッドファンデーション、パウダーファンデーション、化粧下地、コンシーラー、フェイスクリーム、乳液などに使用されています(文献7:2012)

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ジステアリルジモニウムクロリドの安全性(刺激性・アレルギー)について

ジステアリルジモニウムクロリドの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1980年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:配合範囲内においてほとんどなし-軽度(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

化学構造的に炭素数18のアルキル基を2つもち、合成二分子膜構造を形成することから、比較的皮膚刺激性が低いと報告されており(文献6:1982;文献7:;2012)、30年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激はほとんどない(あっても軽度)と考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いてジステアリルジモニウムクロリドを対象にOECD406テストガイドラインに基づいて皮膚感作性試験を実施したところ、この試験物質は皮膚感作剤ではなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されていることから、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

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ジステアリルジモニウムクロリドは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. EVONIK(2016)「Varisoft TA 100」Safety Data Sheet.
  2. “Pubchem”(2019)「Dimethyldioctadecylammonium chloride」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Dimethyldioctadecylammonium-chloride> 2020年1月14日アクセス.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
  4. 鐵 真希男(2010)「コンディショナーの配合成分と製剤」化学と教育(58)(11),536-537.
  5. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  6. 国武 豊喜(1982)「新しい一鎖, 二鎖, 三鎖型界面活性剤の合成とその会合構造」油化学(31)(6),345-352.
  7. 鈴木 一成(2012)「塩化ジステアリルジメチルアンモニウム」化粧品成分用語事典2012,500.

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