ココベタインとは…成分効果と毒性を解説

洗浄 起泡 増粘 刺激緩和
ココベタイン
[化粧品成分表示名称]
・ココベタイン

[医薬部外品表示名称]
・ヤシ油アルキルベタイン液

化学構造的にヤシ油から得られる脂肪酸のジメチルアミンをベタイン化して得られる、アミノ酢酸ベタイン型に分類される両性界面活性剤です。

ココベタインを構成するヤシ油の脂肪酸組成は、一例として、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
カプリン酸 飽和脂肪酸 C10:0 6-10
ラウリン酸 飽和脂肪酸 C12:0 44-52
ミリスチン酸 飽和脂肪酸 C14:0 13-19
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 8-11

このような種類と比率で構成されていることが報告されており(文献1:2018)、ラウリン酸とミリスチン酸を主とした脂肪酸構成となっています。

両性界面活性剤はpHによって異なるイオン性を示しますが、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤の酸性および塩基性領域における性質は、以下の表のように、

  アミノ酸型 ベタイン型
アミノ酢酸ベタイン型 スルホベタイン型
酸性領域(等電点以下) 陽イオン界面活性剤 陽イオン界面活性剤 両性界面活性剤
塩基性領域(等電点以上) 陰イオン界面活性剤 両性界面活性剤 両性界面活性剤
中性領域(等電点) 両性界面活性剤 両性界面活性剤 両性界面活性剤

一般的な両性界面活性剤とは異なり、カチオン部が四級アンモニウム塩の構造であることから、等電点(∗1)以上(塩基性領域)で陰イオン界面活性剤ではなく、両性界面活性剤の性質を示し、等電点以下の酸性領域では四級アンモニウム型陽イオン界面活性剤の性質を示すのが特徴です(文献2:2006)

∗1 等電点とは、両性界面活性剤のようなアニオンになる官能基とカチオンになる官能基の両方を持つ化合物において、ちょうどアニオン性とカチオン性とがバランスする点であり、電離後の化合物全体の電荷平均が0となるpHのことです。

また、等電点に近いpH領域でも水によく溶け、幅広いpHで安定性が高く、低温でも安定性が高いのも特徴です(文献2:2006)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、シャンプー製品、洗顔料、ボディソープ製品などに使用されています。

陰イオン界面活性剤との併用による起泡・洗浄

陰イオン界面活性剤との併用による起泡・洗浄に関しては、ココベタインは水によく溶け、幅広いpHで安定性が高く、低温でも安定であり、洗浄性および起泡性を有していますが、一般に単独で配合されることはなく、陰イオン界面活性剤と併用することによって洗浄性の増大、キメの細かいクリーミーな泡質および泡安定性の向上が報告されていることから(文献3:1993;文献4:2002)、陰イオン界面活性剤と併用して洗浄製品に使用されています。

陰イオン界面活性剤の増粘

陰イオン界面活性剤の増粘に関しては、弱酸性領域においてはアニオン界面活性剤と中性塩を形成することが知られていますが、この中性塩を形成するpHで粘度が最大となり、陰イオン界面活性剤水溶液の良好な増粘剤として機能することから、増粘目的でアニオン界面活性剤と併用されます(文献2:2006)

強陰イオン界面活性剤の刺激緩和作用

強陰イオン界面活性剤の刺激緩和作用に関しては、ラウリル硫酸Naオレフィン(C14-16)スルホン酸Naなど比較的皮膚刺激性が高い陰イオン界面活性剤と併用することで、エネルギー効果によりタンパク質への吸着量が最小となり、その結果として陰イオン界面活性剤による皮膚や毛髪への刺激性を低下・緩和させることが知られており、多くの処方において陰イオン界面活性剤と一緒に配合されます(文献4:2002)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ココベタインの配合製品数と配合量の調査結果(2013年)

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ココベタインの安全性(刺激性・アレルギー)について

ココベタインの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 眼刺激性:眼刺激を引き起こす可能性あり
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、洗浄製品のような短時間の非連続使用として皮膚から完全に洗い流すように設計された製品において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 27人の被検者にラウリル硫酸Naおよびココベタインを含む水溶液を24時間適用したところ、皮膚刺激スコアはラウリル硫酸Naおよびココベタインでそれぞれ1.833および1.03であり、ココベタインはラウリル硫酸Naよりも皮膚刺激性が低かった(PGM Van der Valk et al,1984)
  • [動物試験] 3匹のウサギの剃毛したまたは擦過した皮膚部位に16%ココベタイン溶液を24時間閉塞パッチ適用し、OECD404テストガイドラインに基づいて紅斑スコア(0-4)、浮腫スコア(0-4)を評価したところ、紅斑スコアおよび浮腫スコアはそれぞれ0.5および0.5であり、非刺激性に分類された(European Chemicals Agency,2013)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性は非刺激-軽度が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激-軽度の皮膚刺激性が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に16%ココベタインを適用し、眼はすすがず、OECD405テストガイドラインに基づいて眼刺激性を評価したところ、角膜刺激および結膜刺激は7日目まで消失せず、眼刺激性に分類された(European Chemicals Agency,2013)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に30%ココベタインを適用し、眼はすすがず、OECD405テストガイドラインに基づいて眼刺激性を評価したところ、角膜刺激、虹彩刺激および結膜刺激は7日目まで消失せず、眼刺激性に分類された(European Chemicals Agency,2013)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性が報告されているため、眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

10年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

ココベタインは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Alkyl Betaines as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(37)(1),28S-46S.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「両性界面活性剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,207-215.
  3. 宮澤 清(1993)「化粧せっけん及びヘアシャンプーの泡立ちとソフト感」油化学(42)(10),768-774.
  4. 刈米 孝夫(2002)「界面活性剤の開発」界面活性剤の応用技術,1-41.

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