ココイルイセチオン酸Naとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
ココイルイセチオン酸Na
[化粧品成分表示名称]
・ココイルイセチオン酸Na

[医薬部外品表示名称]
・ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム

イセチオン酸のヤシ油脂肪酸エステルのナトリウム塩であり、脱脂力が低めのマイルドなアニオン界面活性剤です。

硬水でも泡立ちの安定性に優れており、高い気泡力を示し、他の洗浄成分との組み合わせにより機能性および安全性を高めるためにも使用されます。

化粧品に配合される場合は、石けん、シャンプー、洗顔料、ボディソープなどに使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ココイルイセチオン酸Naの配合製品数の調査結果(1992年)

ココイルイセチオン酸Naの配合製品数と配合量の比較調査結果

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ココイルイセチオン酸Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

ココイルイセチオン酸Naの現時点での安全性は、洗浄剤として水で薄めて使用する場合において、1%濃度においては非刺激または非常に軽度の刺激性が起こる可能性があり、また眼刺激性は軽度の眼刺激が起こる可能性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなく、洗浄剤としては安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Cocoyl Isethionate」(文献1:1993)によると、

  • [ヒト試験] 15人の被検者に8%ココイルイセチオン酸Na溶液を含む石鹸製剤0.2mLを5日間にわたって最初は24時間適用し、残りの4日間は6時間適用して、0~5のスケールで刺激性を評価したところ、平均紅斑スコアは最大5のうち1.9733であり、個々の最小は0.0、最大は4.4であった。この製剤は中等の刺激性であると結論付けられた(CTFA,1985a)
  • [ヒト試験] 17人の被検者を用いて8%ココイルイセチオン酸Na水溶液のソープチャンバー試験を実施した。各被検者の前腕に試験物質0.1mLを28時間適用し、紅斑は0~4のスケールで、浮腫および小胞は0~3のスケールでスコアリングし、総刺激スコアはこれら3つのスコアの合計とした。平均紅斑、浮腫および小胞スコアはそれぞれ1.234/4,0.294/3および0.0/3であり、総平均刺激スコアは1.529であった(CTFA,1990a)
  • [ヒト試験] 12人の被検者の背部肩甲骨領域に15%ココイルイセチオン酸Naを含むゲル洗浄剤の4%水溶液を48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去6,24および48時間後に試験部位を評価したところ、非刺激性だと結論付けられた(CTFA,1989a)
  • [ヒト試験] 35人の被検者を用いて0.1%ココイルイセチオン酸Na水溶液の21日間累積刺激試験を実施した。低刺激性対照として市販のベビーオイルを使用し、高刺激性対照として市販の消臭剤の濃縮物を使用した。各被検者の背中の左右に0.1%ココイルイセチオン酸Na水溶液0.3mLおよび同量の各対照物を23時間適用し、パッチ除去後に入浴した後24時間でスコアリングおよび新しいパッチを適用し、この手順を21日間繰り返した。21日間の試験完了後の35人の被検者の平均スコアは0.093/4であり、最も高い個別スコアは1.143であった。これらの結果に基づいてココイルイセチオン酸Naは非常に軽度の刺激物と結論づけられた(Hill Top Research, Inc.,1985)
  • [ヒト試験] 10人の被検者に0.2%,0.4%および1.0%ココイルイセチオン酸Na水溶液の反復適用パッチ試験を実施した。試験物質および対照物0.3mLを各被検者の腕に24時間適用し、パッチ除去後に試験部位をすすぎ、適用から72時間後にスコアリングし新しいパッチを適用した。120時間で合計3回のパッチを適用し、最後のパッチ除去24時間後にスコアリングしたところ、0.2%,0.4%および1.0%濃度のココイルイセチオン酸Na水溶液の平均皮膚刺激はそれぞれ0.30/4,0.20/4および0.26/4であった。ココイルイセチオン酸Naはこれら3つの濃度において非常に軽度の刺激剤であった(CTFA,1984a)

と記載されています。

試験結果は、8%濃度では軽度~中等の刺激性が報告されていますが、1%濃度以下の水溶液では共通して非常に軽度の刺激性と報告されており、ココイルイセチオン酸Naは洗浄剤に使用されるため、洗浄剤として水で1%濃度以下で使用される場合、非刺激性から非常に軽度の刺激性であると考えられます。

一方で、8%濃度など比較的高い濃度で使用する場合は、軽度から中等の刺激性が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Cocoyl Isethionate」(文献1:1993)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢に49%ココイルイセチオン酸Naを含む化粧用製剤の50%水溶液0.1mLを5分間適用し、眼刺激性を評価したところ、24時間ですべてのウサギに角膜混濁が観察され、3匹のうち2匹で結膜への影響が認められた。これらの影響は48時間後には解消された。平均眼刺激スコアは、最大110のうち24時間で14.3、48時間で8.0、72時間で4.7、3日後で2.3、14日後で0.0であった(Lever Research,1988)
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼の結膜嚢に5%ココイルイセチオン酸Na溶液0.1mLを注入し、注入後に3匹のウサギの処置眼を30回すすぎ、残りの6匹の眼はすすがず、24,48および72時間後に眼刺激を評価したところ、最大眼刺激スコア110のうち、眼をすすいだウサギのスコアが8.33、眼をすすがなかったウサギのスコアは15.33であった(Product Safety Labs,1984)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢に2.5%ココイルイセチオン酸Na水溶液0.1mLを適用し、24時間後に眼をすすぎ、Draize法にしたがって適用24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、24時間後の平均スコアは3.0、72時間後の平均スコアは1.0であり、4日目では0.0であった。2.5%ココイルイセチオン酸Na水溶液は軽度の眼刺激剤であると結論付けられた(Consumer Product Testing Company, Inc.,1982)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して軽度の眼刺激性が報告されているため、軽度の眼刺激が起こると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Cocoyl Isethionate」(文献1:1993)によると、

  • [ヒト試験] 49.87%ココイルイセチオン酸Naを含む洗濯石鹸のヒト感作パッチ試験(9回の誘導パッチおよびチャレンジパッチ適用のHRIPT)を4つ実施した。199人および197人の被検者については背中に0.1%溶液を閉塞パッチ適用し、腕に8.0溶液を解放パッチ適用した。191人の被検者では背中に0.1%溶液を閉塞パッチ適用し、腕に4.0溶液を解放パッチ適用した。192人の被検者では0.5%溶液を閉塞パッチ適用のみであった。これらの結果、試験物質は感作反応を起こさなかった(CTFA,1990)
  • [ヒト試験] 106人の被検者の背中に17%ココイルイセチオン酸Naを含む皮膚洗浄剤0.2gを誘導期間において24時間半閉塞パッチを1日おきに2回適用し、3回目以降は48時間の無処置期間を空けて合計9回まで24時間半閉塞パッチ適用し、9回目の適用後は10~21日間の無処置期間を設け、その次に未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用した。パッチ適用から24および48時間後に試験部位を評価したところ、誘導期間およびチャレンジ期間で96人のうち12人がほとんど知覚されない一時的で散発的な反応があったが、これらの反応のいずれも刺激性またはアレルギー性であるとは考えられなかった。96人のうち2人はチャレンジ期間において軽度から中等の紅斑反応の遅延がみられた。17%ココイルイセチオン酸Naを含む皮膚洗浄剤は臨床的に有意な刺激性を誘発しなかったと判断された。次にチャレンジ期間に反応を示した2人の被検者にフォローアップ試験を実施した。試験物質0.2mLを未処置部位に24時間半閉塞パッチ適用し、同時に左前腕内側に解放パッチ適用した。解放パッチは毎日3回3日連続で合計9回適用された。両方のパッチを適用24,48および72時間後にスコアリングしたところ、1人の被検者は半閉塞および解放パッチのいずれにも反応しなかった。もう1人の被検者では半閉塞パッチでほとんど知覚できない紅斑反応が一時的にみられたが、元のチャレンジ期間の反応よりも重大ではなかった。17%ココイルイセチオン酸Naを含む皮膚洗浄剤はヒト被検者においてアレルギー性接触皮膚炎または臨床的に関連する刺激を誘発しなかった(Essex Testing Clinic,1989)
  • [ヒト試験] 203人の被検者の背中上部に47.5%ココイルイセチオン酸Naを含む合成石鹸の2%溶液を合計9回にわたって48時間閉塞パッチ適用し、各パッチ除去後は試験部位をスコアリングした。9回目のパッチ適用後は14日間の無処置期間を設けて、その後背中の未処置部位に2%試験溶液を含む48時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去直後および適用から72時間後にスコアリングした。これらの結果、ココイルイセチオン酸Naの刺激性および感作性はあったとしても非常に低いと結論付けられた(Concordia Research Laboratories, Inc.,1987)
  • [ヒト試験] 148人の被検者の背中の肩甲骨領域に15%ココイルイセチオン酸Naを含むゲル洗浄剤を週3回合計9回にわたって48時間閉塞パッチ適用し、さらに14日間の休息期間の後に同じ部位および未処置部位に48時間チャレンジパッチを適用したところ、15%ココイルイセチオン酸Naを含むゲル洗浄剤でアレルギー反応は観察されなかった(CTFA,1985b)

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚感作物質ではないと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ココイルイセチオン酸Na ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ココイルイセチオン酸Naは■■(∗2)となっていますが、これは合成界面活性剤の共通判定であり、試験結果をみるかぎりでは安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ココイルイセチオン酸Naは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1993)「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Cocoyl Isethionate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915819309141599> 2018年4月20日アクセス.

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