ココアンホ酢酸Naとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
ココアンホ酢酸Na
[化粧品成分表示名称]
・ココアンホ酢酸Na

[医薬部外品表示名称]
・2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン

カチオン基とアニオン基の両方を分子の中にもっている代表的な両性界面活性剤です。

硬水でも洗浄力が落ちることがなく、起泡力もあり、アニオン界面活性剤との相乗効果が大きいのが特徴です。

肌や毛髪に対して刺激性や溶解性が少ないので、マイルドタイプの洗顔料やシャンプーなどにひろく配合されており、髪にツヤを与えて柔軟にしたり、肌にうるおいと柔軟性を与えたりする目的に適しています。

また、乳化剤としてクリーム、乳液、化粧水などにも用いられます。

実際の配合製品数や配合量の範囲は、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ココアンホ酢酸Naの配合品数と配合量(1989年)

ココアンホ酢酸Naの配合品数と配合量の比較調査

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ココアンホ酢酸Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

ココアンホ酢酸Naの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性はほとんどなく、眼刺激性の詳細はデータ不足により不明ですが、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cocoamphoacetate,Cocoamphopropionate, Cocoamphodiacetate, and Cocoamphodipropionate」(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] ココアンホ酢酸Naの皮膚感作能を141人の被検者(男性32人、女性109人、18~65歳)を用いて評価した。試験物質は10%水溶液とし、誘導期間としてそれぞれの被検者の背中に週3回3週間連続で非閉塞パッチで24時間適用された。Draize法に基づいて0(紅斑、痂皮形成および浮腫なし)~4(重度の紅斑からわずかな痂皮形成、重度の浮腫)の刺激スケールで48および72時間後に反応を評価し、10~15日の無処置期間を経て未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用した。パッチ除去48および96時間後に反応を評価したところ、ココアンホ酢酸Naはいずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作を誘発しなかった
  • [動物試験] 15匹のモルモットに25%,50%および100%ココアンホ酢酸NaをmMaximization試験を用いて評価したところ、ココアンホ酢酸Naはいずれの濃度においてもモルモットに感作を誘発しなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギにpHを7.0に調整したココアンホ酢酸Naを含む製剤をDraize法に基づいて刺激試験したところ、一次刺激指数0で非刺激性であった
  • [動物試験] 6匹のウサギに25%ココアンホ酢酸Na水溶液をDraize法に基づいて一次刺激試験を実施したところ、一次刺激指数は0.08で非刺激剤であった

日光ケミカルズの安全性データシート(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] pH7に調整した40%溶液をウサギに塗布したところ刺激指数0、40%溶液の25%水溶液で刺激指数0.08、40%溶液の15%水溶液で刺激指数0.5となっており、最小の皮膚刺激

花王株式会社の安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • [動物試験] 40%溶液をウサギに4時間貼り付けたところ皮膚刺激なし

と記載されています。

ヒト試験で皮膚刺激および皮膚感作性なしと結論づけられているため、皮膚刺激性や皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

ココアンホ酢酸Naの研究論文でアレルギー性接触皮膚炎が1例のみ報告されていますが、ごくまれなので総合的な安全性からは除外しました(文献4:2012)

眼刺激性について

眼刺激性に関する安全データやレポートはみあたらなかったため、眼刺激性の詳細は不明です。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cocoamphoacetate,Cocoamphopropionate, Cocoamphodiacetate, and Cocoamphodipropionate」(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者(男性5人、女性25人、18~55歳)を用いて10%ココアンホ酢酸Na水溶液の光アレルギー性を評価した。誘導期間において、それぞれの被検者の背中に24時間週3回3週間にわたってガーゼパッドで試験部位を覆い、パッチ除去10分以内に試験部位にUVAライト(2~5mJ/c㎡)を22~25秒ほど照射した。UVA(320~400nm)照射直後に13人の被検者にUVB(290~320nm)を2~5分照射した。UVAおよびUBBライトは適切なフィルターを備えたキセノンアークソーラーシミュレーターから放出された。光感作スコア0~5のスケールに基づいて、試験部位1,2,4,5および8は48時間後に、3,6および9は72時間後に評価された。誘導期間終了後2週間の無処置期間を経て24時間チャレンジパッチを未処置部位に適用し、適用後に部位の半分にUVAライトを照射し、その後残りのパッチも除去された。パッチ除去24,48および72時間後に反応を評価したところ、誘導期間において11人の被検者に試験部位および対照部位で軽度から中程度の紅斑が観察された。11人はUVAおよびUVBの両方に照射された被検者であった。この紅斑は一般にUVBライトに照射された日焼けから生じると考察し、また被検者のいずれも光感作反応および遅延過敏症を誘発していなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎりでは、光感作性なしと判断されているため、光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ココアンホ酢酸Na ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ココアンホ酢酸Naは■■(∗2)となっており、毒性・刺激があるという判定になっていますが、化粧品毒性判定事典は合成界面活性剤はすべて■■の極端な判定になっています。

安全性データシートの皮膚刺激の試験を参照するとわかるように、ココアンホ酢酸Naはほぼ無刺激で細胞毒性もないので、毒性という点では安全性が高いと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Cocoamphoacetate,Cocoamphopropionate, Cocoamphodiacetate, and Cocoamphodipropionate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915819009078729> 2017年10月29日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「安全データシート」, <https://www.chemical-navi.com/product_search/detail483.html> 2017年8月29日アクセス.
  3. 花王株式会社(2016)「安全データシート」, <http://chemical.kao.com/jp/products/B0001644_jpja.html> 2017年8月29日アクセス.
  4. “CiNii”(2012)「安全データシート」, <http://ci.nii.ac.jp/naid/10030441027> 2017年10月29日アクセス.

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