コカミドDEAとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
コカミドDEA
[化粧品成分表示名称]
・コカミドDEA

[医薬部外品表示名称]
・ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド

ヤシ油脂肪酸とジエタノールアミンを縮合して得られる淡黄色~黄褐色の洗浄剤(非イオン界面活性剤)です。

洗浄剤に添加した場合、単体では脱脂力や泡立ちが低いので、アニオン界面活性剤の泡立ちやコクを出したり、シャンプーそのものの粘度を出したりしますが、重要な特徴はアニオン界面界面活性剤や両性界面活性剤よりも刺激が低いので、これらの界面活性剤の刺激緩和として相乗効果を見込んで、洗顔料、シャンプー、ボディソープなどの洗浄製品に幅広く配合されています。

実際に配合されている製品の種類や配合量の範囲などは、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

コカミドDEAの配合製品数と配合量の調査結果(2004年)

コカミドDEAの配合状況調査(2011年)

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コカミドDEAの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

コカミドDEAの現時点での安全性は、一般的な化粧品や洗浄製品の使用の場合は、皮膚刺激や毒性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー)が起こる可能性も低いため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、職業的にコカミドDEAに毎日皮膚をさらす場合は、皮膚感作(アレルギー)を発症する可能性があり、とくにアレルギー性皮膚炎や金属アレルギーなどを発症していると、コカミドDEAの皮膚感作の可能性も高まると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Diethanolamides as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 15人の患者で10%コカミドDEAと20%ラウリル硫酸Naおよび他の5つの化粧品用界面活性剤溶液の刺激性を評価したところ、刺激をはじめとする作用は確認されなかった。皮膚刺激は界面活性剤の総濃度に関連するのではなく、組み合わせに関連すると結論づけた(Dillarstone and Paye,1993)
  • [ヒト試験] 15人のボランティアの前腕に12.5mmol/LコカミドDEA水溶液0.3mLを1日45分を2回、週5日合計28回プラスティックチャンバーを使用して適用したところ、コカミドDEAを用いたTEWL(平均表皮水分損失)は7.0g/㎡lで、12.5mmol/Lラウリル硫酸NaのTEWLは15.2g/㎡lであった
  • [ヒト試験] アトピー性皮膚炎患者15人を含む105人の被検者に0.5%コカミドDEA水溶液を単一閉塞パッチ試験を適用した。コカミドDEA水溶液40μLをHaye試験チャンバーで48時間適用し、一次皮膚刺激スコアを評価したところ、平均一次刺激スコアは0.5以下であり、非刺激性であった

厚生労働省が運営する”職場の安全サイト”の安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • [ヒト試験] 本物質を含むハンドジェル、シャンプー、油圧オイルなどによる刺激性が複数報告されており、パッチテストの結果本物質が原因物質であったとの報告があることをふまえて中等の皮膚刺激性がある
  • [動物試験] ウサギに30%溶液を23時間適用した結果、中等度の刺激性がみられた

と記載されています。

ヒト試験結果では、一次刺激はほとんどないが、濃度によらず界面活性剤の組み合わせによっては刺激が起こる可能性があるという見解が現在でも記載されているため、単一では皮膚刺激性はほとんどないものの界面活性剤の組み合わせ次第では刺激が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Diethanolamides as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [in vitro試験] 非刺激性から最小限の眼刺激性に分類される10%コカミドDEA溶液をEpiOcular組織モデルで評価したところ、刺激の分類はDraize試験で得られた非刺激スコアと類似していた

と記載されています。

安全データがひとつで、根拠としては弱いのですが、Draize試験と類似した結果でとして非刺激性であると結論づけているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Diethanolamides as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] コカミドDEAの感作可能性を0.01%~10%で評価するために8つの曝露試験を実施したところ、陽性反応がみられた。しかし、コカミドDEAの職業的曝露は感作をもたらす可能性があるが、化粧品使用では感作の可能性を示さないことが認識されている
  • [ヒト試験] 以前10日間2%コカミドDEAを含むシャンプー水溶液を使用していた104人の女性被検者に2%コカミドDEAを含むシャンプーをパッチ適用したところ、刺激性は示したが、感作剤ではなかった

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Final Report on the Safety Assessment of Cocamide DEA」(文献2:1996)によると、

  • [ヒト試験] オランダの金属加工工場従業員284名に疫学調査を実施した。作業中に作業員は金属加工液にさらされていた。284名のうち40名は手または前腕に皮膚炎が認められた。皮膚炎を有する40名の労働者は作業中に曝露された金属加工液および防腐剤の共通成分であるコカミドDEAを0.5%濃度で含むワセリンでパッチテストした。48時間後にパッチを除去し、ICDRGに従って72時間後に採点したところ、40名のうち8名に接触感作が観察され、そのうち4人は防腐剤にアレルギー性であった。1名のみが0.5%コカミドDEAに対して接触感作反応を示した(DeBoer et al,1989)
  • [ヒト試験] 1980年から1987年までにオーストラリアで2,449例が職業性皮膚疾患または皮膚アレルギーの評価のために皮膚科医によって紹介された。明確な職業性皮膚疾患は2,449例のうち993例で、アトピー性皮膚炎は439例であった。993例のうち954人にパッチテストを実施したところ、コカミドDEAは確定的な職業性アレルゲンとして分類された(成分濃度は記載なし)。具体的には理化学、医学、修理、食品取り扱い、印刷、洗浄グループにおいて職業性アレルゲンであった。コカミドDEAは、職業性アレルギー性接触皮膚炎の原因で、女性で11.5%、男性で2.3%であった。女性被検者では、ニッケルが25%の高い陽性反応を担っており、男性被検者ではクロム塩酸が37%で最も高い割合であった

厚生労働省が運営する”職場の安全サイト”の安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • [ヒト試験] 本物質2%を含むシャンプーを104人の女性にパッチテストを行った試験において、コカミドDEAは感作性はみられなかった
  • [ヒト試験] コカミドDEAを扱う労働者40人にパッチテストをおこなった結果1人に感作反応がみられたとの報告がありますが、結論としてはデータ不足であると判断した

と記載されています。

試験結果をみる限りでは、一般化粧品での使用の場合は皮膚感作性はなさそうですが、職業的に日々コカミドDEAに皮膚をさらしていると、接触性皮膚炎を発症する例があるため、一般化粧品での使用の場合は皮膚感作(アレルギー)はほとんど起こらないと考えられますが、職業的にコカミドDEAに日々皮膚をさらす場合は皮膚感作を発症する可能性があります。

また、ニッケルやクロムなど金属にアレルギーがある場合は、コカミドDEAでもアレルギーを発症しやすくなります。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
コカミドDEA ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、コカミドDEAは■■(∗2)となっており、毒性・刺激があるという判定になっており、化粧品毒性判定事典は合成界面活性剤はすべて■■の極端な判定になっていますが、化粧品使用の場合は、皮膚刺激や毒性はほとんどないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2013)「Safety Assessment of Diethanolamides as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581813486300> 2017年11月1日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(1996)「Amended Final Report on the Safety Assessment of Cocamide DEA」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915819609008729> 2017年11月1日アクセス.
  3. “職場のあんぜんサイト”(2016)「安全データシート ココナッツオイル ジエタノールアミン濃縮物」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/68603-42-9.html> 2017年8月29日アクセス.

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