コカミドプロピルベタインとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
コカミドプロピルベタイン
[化粧品成分表示名称]
・コカミドプロピルベタイン

[医薬部外品表示名称]
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液

ヤシ油脂肪酸とベタインを結合させてつくられる両性界面活性剤です。

低刺激で柔軟性があり、洗浄効果とリンス効果を併せ持っているので、リンスインシャンプーに代表されるようなトリートメント効果の高い洗浄製品に配合されます。

液体の粘性を調整してキメ細かい泡がつくれるので、洗浄時の感触がよくなります。

実際に使用されている製品数や配合濃度が、2010年の海外の調査レポートで明らかになっています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

コカミドプロピルベタインの配合状況調査結果(2010年)

この図をみてもほとんどが洗浄系製品に配合されているというのがわかり、また配合製品数も3,000を超えており、日本でも1,200を超えているので洗浄系の代表的な界面活性剤のひとつといえそうです。

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コカミドプロピルベタインの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

コカミドプロピルベタインの現時点での安全性は、まれに軽度の刺激が起こる可能性はあるものの総合的に皮膚刺激性はほとんどなく、軽度~中程度の眼刺激性がありますが、アレルギー体質は皮膚炎の病歴がない場合はアレルギー(皮膚感作)の起こる可能性は低く、安全性の高い成分だと考えられます。

ただし、アレルギー体質や接触性皮膚炎や手湿疹などアレルギーが原因と思われる皮膚炎を発症したことがある方は、アレルギー(皮膚感作)が起こる可能性が少し高くなるので使用前には注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Cocamidopropyl betaine」(文献11:2012)によると、

  • [ヒト試験] 19人に0.06%コカミドプロピルベタイン(6%コカミドプロピルベタインを含む製剤の1%水溶液)を単一閉塞パッチ試験したところ、15人は刺激がなく、4人はa+が記録されたため、この処方物は実質非刺激性であると考えられた

花王株式会社の安全性データシート(文献2:2014)によると、

  • [動物試験] 30%コカミドプロピルベタイン水溶液をウサギに4時間貼り付けたところ区分外(安全性がかなり高い)

トラスコ中山株式会社の安全性データシート(文献3:2013)によると、

  • [動物試験] 50%コカミドプロピルベタイン水溶液をウサギに24時間パッチテストしたところ弱い皮膚反応を有することから区分2(やや安全性が低い)

と記載されています。

試験結果は皮膚刺激性なし~弱い刺激性ありというものですが、刺激性があるものは50%濃度と実際の配合量よりはるかに高い濃度のため、実際の配合量を目安に考えた場合、まれに軽度の皮膚刺激が起こる可能性はあるものの皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Cocamidopropyl betaine」(文献11:2012)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギ結膜嚢に4.5%コカミドプロピルベタインを0.1mL注入し、3匹は眼をすすぎ、残りの3匹は眼をすすがず評価したところ、点眼後2日目までに水ですすいでいないウサギのすべてに軽度の結膜紅斑およびケモーシスが認められたが7日目には落ち着いた。また、最初の2日の観察で水ですすいだ3匹のうち2匹でわずかな結膜刺激が観察された
  • [動物試験] 6匹のウサギの左眼の結膜嚢内に7.5%コカミドプロピルベタイン0.1mLを点滴注入したところ、24時間後にすべてのウサギに軽度~中等の結膜刺激が観察され、2日後には1匹のウサギに中程度の角膜混濁が観察されたが、これらの変化は6日後までには消失した
  • [動物試験] 9匹のウサギに2.3%コカミドプロピルベタイン溶液を適用したところ、水ですすいでいない6匹のウサギの平均刺激スコア(最大スコア=110)は1.7だった。1匹のウサギで軽度の結膜紅斑およびケモーシスが2日目に観察され、もう一方の眼は7日間にわたって観察された。この処方物は水ですすがない場合、ウサギの眼に最小限の刺激を与えると考えられた
  • [動物試験] 4匹のウサギのそれぞれ片眼の結膜嚢に6.5%コカミドプロピルベタインを含む液体石鹸製剤0.1mLを点眼し、すすいでから眼の刺激を評価したところ、平均刺激スコア(最大スコア=80)は1時間後に13.8、24時間後に18.8、48時間後に11.3、72時間後に5、7日後に1.3であった。平均虹彩刺激スコアは、1時間および24時間後に3.8、7日後に0に減少した。平均結膜刺激スコアは、1時間後に11、24時間後に7.5、48時間後に4、72時間後に3.5、7日後に2であった。滴下14日後には刺激は認められなかった。総平均刺激スコア30.0(最大刺激スコア=110)で、製剤は中程度の刺激性であると考えられた

花王株式会社の安全性データシート(文献2:2014)によると、

  • [動物試験] 30%コカミドプロピルベタイン水溶液をウサギに試したところ区分1(安全性が低い)

トラスコ中山株式会社の安全性データシート(文献3:2013)によると、

  • [動物試験] 50%コカミドプロピルベタイン水溶液をウサギに24時間試験をしたところ軽度の刺激性を有することから区分2B(やや安全性が低い)

と記載されています。

試験結果では共通して軽度~中程度の眼刺激性の報告があるため、軽度~中程度の眼刺激性が起こる可能性が高いです。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Cocamidopropyl betaine」(文献11:2012)によると、

  • [ヒト試験] 141人の参加者に誘導期間として週に3回を3週間にわたってコカミドプロピルベタインを適用した。最初の2回は1.5%濃度のコカミドプロピルベタインを適用し、残りの回は3%コカミドプロピルベタインを適用し、10~15日の無処置期間を経て24時間チャレンジパッチを未処置部位に適用し、パッチ除去後24および72時間後に採点したところ、誘発期間およびチャレンジ期間のいずれも感作反応は観察されなかった
  • [ヒト試験] 誘導期間として106名の背中の上部に6%コカミドプロピルベタインを半閉塞パッチにて24時間合計9回適用し、2週間の休息期間を経て24時間のチャレンジパッチを適用、パッチ除去後24,48および72時間後に評価したところ、反応は観察されなかった
  • [ヒト試験] 誘導期間として27人の被検者に0.018%コカミドプロピルベタイン水溶液0.05mLを上腕外側、手のひら側、または背中に48時間閉塞パッチで合計5回適用し、10日間の休息後に48時間のチャレンジパッチを適用、パッチ除去15~30分後に採点し、さらに24時間後に採点したとkろお、この試験の誘導期間およびチャレンジ期間のいずれも皮膚感作反応は示されなかったため、通常の使用条件下で接触感察性反応を引き起こす可能性が低いと結論付けられた

厚生労働省によって2012年に行われた「第6回 化学物質による疾病に関する分科会」(文献4:2012)の資料によると、

  • [ヒト試験] シャンプー成分の界面活性剤コカミドプロピルベタインによるアレルギー性接触皮膚炎が5例報告されており、うち3名は理・美容師、2名が主婦である。また、理・美容師を対象としたパッチテストにおいて42%が陽性と高い結果となった

また、アレルギー性皮膚炎またはアレルギーの疑いのある人に実施する誘発試験の報告もあるので、あわせて掲載しておきます。

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Cocamidopropyl betaine」(文献11:2012)によると、

  • [ヒト試験] アレルギー性皮膚炎706名のうち93名(男性10名、女性83名)が化粧品による接触皮膚炎だと診断され、93名のうち4名は1%コカミドプロピルベタイン水溶液に対して陽性反応を示しました。2名の患者はコカミドプロピルベタインを含むシャンプーを使用した後に首、耳、額にかゆみや紅斑が生じ、他の2名はコカミドプロピルベタインを含む洗顔剤の使用後に顔および頸部に湿疹が生じた
  • [ヒト試験] アレルギー性接触皮膚炎を疑われている210人の患者に1%コカミドプロピルベタイン水溶液をパッチ適用したところ、12人(5.7%)が陽性反応を示した。陽性反応を示した患者は、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド放出剤、ネオマイシン、ニッケルにも陽性反応が観察された。12人のうち7人はコカミドプロピルベタインを含む製品の使用を止めてから皮膚炎が改善されたため、皮膚炎との関連は決定的だったが、1%コカミドプロピルベタインが皮膚感作物質かどうかを決定することはできなかった
  • [ヒト試験] 883人の皮膚炎患者を2つのグループに分け、第1グループは職業性接触性皮膚炎を有する疑いのある781名の患者(217人の患者は美容師であった)で、第2グループは美容的皮膚炎を有すると疑われる102人の患者となっており、それぞれ1%コカミドプロピルベタイン水溶液でパッチテストを行ったところ、第1グループでは52人(7.2%)が陽性反応を示し、52人中17人はコカミドプロピルベタインでのアレルギーが決定的だった。17人中8人は美容師であり、手に皮膚炎を経験していた。第2グループでは、3人の患者(3%)のみが陽性反応を示した。この試験結果で1%コカミドプロピルベタインが皮膚感作物質かどうかを決定することはできなかった
  • [ヒト試験] 接触性皮膚炎の疑いのある798名に不純物の低い高純度の1%コカミドプロピルベタイン水溶液をパッチテストしたところ、29人(0.27%)が陽性反応を示した。29人中23人は関連性があると考えられ、顔、首、手または広範囲の皮膚炎が報告された。この試験結果から高純度のコカミドプロピルベタインがコカミドプロピルベタインの皮膚感作性の低下と関連していることを示唆した

と記載されています。

健康な皮膚を対象として皮膚感作試験においては皮膚感作性なしという結果で共通していますが、誘発試験を参照すると、接触性皮膚炎や手湿疹の病歴があったり、毎日シャンプーやカラー剤など複合的な成分に触れる機会の多い美容師や理容師で、皮膚感作の可能性が格段に高まるため、健康でアレルギー体質でない場合は皮膚感作性が低いですが、アレルギー体質または接触性皮膚炎や手湿疹などの経験がある場合はアレルギー(皮膚感作)が起こる可能性が少し高くなると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
コカミドプロピルベタイン ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、コカミドプロピルベタインは■■(∗2)となっており、毒性・刺激があるという判定になっていますが、化粧品毒性判定事典は合成界面活性剤はすべて■■の極端な判定になっています。

すでに示されているように、皮膚刺激性や毒性自体はさほど高くはないので、アレルギー体質やアレルギー性皮膚炎の経験がない場合は安全性が高いと考えられます。

ただし、アレルギー体質やアレルギー性皮膚炎の経験がある場合は使用前にパッチテストを行うなどの注意が必要です。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

コカミドプロピルベタインは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Cocamidopropyl betaine」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581812447202> 2017年10月13日アクセス.
  2. 花王株式会社(2014)「安全データシート」, <http://chemical.kao.com/jp/products/B0001648_jpja.html> 2017年8月23日アクセス.
  3. トラスト中山株式会社(2013)「製品安全データシート」, <http://image.orange-book.com/image/pdf/msdn/file56994t010005699359.pdf> 2017年8月23日アクセス.
  4. 厚生労働省(2012)「理美容師が取り扱うシャンプー、染毛剤等の成分(化学物質)に係る評価シート」, <http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002g6yg-att/2r9852000002gbqp.pdf> 2017年8月23日アクセス.

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