クオタニウム-18とは…成分効果と毒性を解説


・クオタニウム-18
[医薬部外品表示名]
・塩化ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウム
化学構造的に炭素数14-18のアルキル基を2つもつ塩化ジアルキルジメチルアンモニウムであり、第四級アンモニウム塩型のジアルキル型四級アンモニウム塩に分類される陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)です。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的でヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、アウトバストリートメント製品などに汎用されています。
帯電防止
帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。
水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、
親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。
そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります(文献2:1990;文献3:2010)。
クオタニウム-18は、ジアルキル型四級アンモニウム塩であり、帯電防止目的でヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、アウトバストリートメントなどに使用されています。
クオタニウム-18はPGおよび水に分散したものが原料化されているため(文献4:2008)、クオタニウム-18が配合されている場合は、成分表示名称の末端にPGが記載されている可能性が考えられます。
また、イソプロパノールに可溶であるため(文献4:2008)、クオタニウム-18が配合されている場合は、成分表示名称の末端にイソプロパノールが記載されている可能性が考えられます。
実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2001年および2018-2019年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
クオタニウム-18の安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
- [ヒト試験] 50名の被検者の背中に7.5%クオタニウム-18希釈剤を対象にHRIPT(皮膚刺激性&感作性試験)を実施したところ、PII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)は0.0-8.0のスケールで0.26であり、皮膚感作スコアは0.0-8.0のスケールで0.08であった。クオタニウム-18における皮膚感作性のデータとして試験人数が最適とはいえませんが(準最適)、この試験条件下においてこの試験物質は実質的に皮膚に対して刺激および感作を示さないと結論付けられた(Armak Co,1973)
と記載されています。
試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
- [動物試験] 6匹のウサギの片眼に5%クオタニウム-18水溶液0.1mLを点眼し、点眼72時間後まで眼刺激性を評価したところ、点眼72時間までに眼刺激は観察されなかった(Ashland Chemical Co,1969)
- [動物試験] 6匹のウサギの片眼に4%クオタニウム-18水溶液0.1mLを点眼し、点眼72時間後まで眼刺激性を評価したところ、いくつかの結膜刺激が観察されたが、それらは時間とともに消失した(Ashland Chemical Co,1973)
- [動物試験] ウサギの片眼に7.5%クオタニウム-18を含む製品希釈液0.1mLを点眼し、点眼24および48時間後に眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、眼刺激スコアは11.7であり、この試験物質は最小限の眼刺激に分類された(Armak Co,1973)
と記載されています。
試験データをみるかぎり、非刺激-最小限の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。
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クオタニウム-18は界面活性剤にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:界面活性剤
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参考文献:
- Cosmetic Ingredient Review(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Quaternium-18, Quaternium-18 Hectorite, and Quaternium-18 Bentonite」Journal of the American College of Toxicology(1)(2),71-83.
- 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
- 鐵 真希男(2010)「コンディショナーの配合成分と製剤」化学と教育(58)(11),536-537.
- Evonik(2008)「Varisoft 442 100P」Technical Data Sheet.