キラヤ樹皮エキスとは…成分効果と毒性を解説

起泡 乳化
キラヤ樹皮エキス
[化粧品成分表示名称]
・キラヤ樹皮エキス

[医薬部外品表示名称]
・キラヤエキス

キラヤ科植物シャボンノキ(∗1)(学名:Quillaja saponaria 英名:Soap Bark Tree)の樹皮からエタノールBG、またはこれらの混液で抽出して得られる、サポニン(saponin)を主要成分とした抽出物植物エキスです。

∗1 1980年代に用いられていた分類体系であるクロンキスト体系ではバラ科に分類されていましたが、それ以降の進展にともなって1998年に公表されたAPG体系ではマメ科に近縁であるとわかったため、独立した「キラヤ科(別名:シャボンノキ科)」として分類されています。シャボンノキは別名として「キラヤ」とも呼ばれます。

シャボンノキは、チリを原産とし、植物体内にサポニンを含んでおり、樹皮や葉を粉砕し水に溶かすことで石鹸のように泡立つことから南米では原住民が洗濯や頭髪の洗浄に使用してきた歴史があり、現在は商業的に米国カリフォルニア南部で大規模に栽培されています(文献1:1997;文献2:-)

キラヤ樹皮エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
テルペノイド トリテルペンサポニン キラヤサポニン
トリテルペン キラヤ酸

これらの成分で構成されていることが報告されています(文献2:-;文献3:2001)

シャボンノキの樹皮の化粧品以外の主な用途としては、飲料分野において発泡剤として、食品分野において香料や香辛料の乳化剤として用いられます(文献1:1997;文献2:-;文献4:2001)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、シャンプー製品、洗顔料、洗顔石鹸、ボディソープ製品、クレンジング製品、メイクリムーバー製品、スキンケア化粧品などに使用されています。

起泡

起泡に関しては、キラヤ樹皮エキスはトリテルペンサポニンであるキラヤサポニンを含有しており(文献2:-;文献3:2001)、サポニン(saponin)は両親媒性(∗2)であり、振り混ぜるとセッケンと同様に泡立つ性質を示すことから(文献5:1969;文献6:2016)、主に天然成分・植物成分や肌への優しさをコンセプトとしたシャンプー製品、洗顔料、洗顔石鹸、ボディソープ製品など洗浄製品に使用されます。

∗2 両親媒性とは、親水性と親油性の両方を有している性質のことです。

1997年にトリニティ・インベストメントによって報告されたキラヤ樹皮エキスの泡に対する影響検証によると、

in vitro試験においてガラス管内に2%キラヤ樹皮エキス水溶液を、また比較として2%ジメチコン(平均重合度800)水溶液、2%キラヤ樹皮エキスおよび2%ジメチコン(平均重合度800)水溶液をそれぞれ一定の高さから落下させ、そのときに生じる泡の高さを測定した(ロスマイルス法)

泡立ちの測定は「◎:泡立ちが極めて良好、泡立ち250mm以上」「○:泡立ちが良好、泡立ち210mm以上250mm未満」「△:泡立ちが普通、泡立ち160mm以上210mm未満」「☓:泡立ちが不良、泡立ち160mm未満」の4段階の判定基準に従って評価したところ、以下の表のように、

試料 キラヤ樹皮エキスの起泡性に対する評価
キラヤ樹皮エキス + ジメチコン(平均重合度800)
キラヤ樹皮エキス
ジメチコン(平均重合度800)

キラヤ樹皮エキスは、良好な起泡性を有することが確認された。

また、キラヤ樹皮エキスとジメチコンを併用することで泡立ちが向上することが確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献8:2004)、キラヤ樹皮エキスに起泡作用が認められています。

また、キラヤ樹皮エキスにジメチコンを併用することで泡立ちが向上することが報告されており、キラヤ樹皮エキスにジメチコンが併用されている場合は、泡立ち改良目的で設計されている可能性が考えられます。

乳化

乳化に関しては、キラヤ樹皮エキスは主成分としてトリテルペンサポニンであるキラヤサポニンを含有しており(文献2:-;文献3:2001)、キラヤサポニンは糖の水酸基が多く存在することから水に対する溶解性が高く、食品分野においても香料や香辛料の乳化に用いられています(文献1:1997)

このような背景から穏やかな乳化・乳化補助を目的としてクリーム製品、クレンジング製品、メイクリムーバー製品などに用いられます。

複合植物エキスとしてのキラヤ樹皮エキス

キラヤ樹皮エキスは、他の植物エキスとあらかじめ混合された複合原料があり、キラヤ樹皮エキスと以下の成分が併用されている場合は、複合植物エキス原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 フォームラバージ
構成成分 グリチルリチン酸2Kキラヤ樹皮エキスムクロジ果皮エキスBG
特徴 古来より洗浄剤として使用されてきた2種類の植物にグリチルリチン酸ジカリウムを併用することにより洗浄における泡立ち作用、泡切れ作用および皮膚常在菌等に対する静菌作用の相乗効果を得る目的で設計された複合原料

キラヤ樹皮エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

キラヤ樹皮エキスの現時点での安全性は、

  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

U.S. Environmental Protection Agencyの安全性試験データ(文献8:2009)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギに8.6%キラヤ樹皮エキスを含む製品をパッチ適用し、パッチ除去1,24および48時間後に皮膚一次刺激性を評価したところ、いずれのウサギも1時間後で最小限の紅斑がみられたが24時間後で1匹、48時間後で2匹の紅斑が消失し、この試験物質は皮膚一次刺激性に関して問題がないものと判断された
  • [動物試験] モルモット(数不明)に8.6%キラヤ樹皮エキスを含む製品を対象に皮膚感作性試験を実施したところ、いずれのモルモットも皮膚反応を示さなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されており、食品添加物としても世界中で利用され、30年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

キラヤ樹皮エキスは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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参考文献:

  1. 加藤 厚(1997)「熱帯樹木の成分と利用(3)」熱帯林業(40),72-77.
  2. 山科植物資料館(-)「シャボンノキ」, <https://yamashina-botanical.com/botanical/シャボンノキ/> 2021年4月16日アクセス.
  3. 菅原 正孝(2001)「キラヤサポニンによる固形物の可溶化とメタン発酵」環境技術(30)(11),878-881.
  4. 加藤 友治(2001)「食品分野における界面活性剤」オレオサイエンス(1)(10),1013-1019.
  5. 前島 雅子, 他(1969)「サポニンの起泡力と洗浄力」家政学雑誌(20)(7),499-502.
  6. 鷲津 かの子, 他(2016)「天然サポニンの起泡性と人工汚染布の洗浄効果」一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集(68),82.
  7. トリニティ・インベストメント株式会社(1997)「シャンプー組成物」特開平09-227345.
  8. U.S. Environmental Protection Agency(2009)「Saponins of Quillaja Saponaria」Biopesticides Registration Action Document.

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