(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤 増粘剤
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
[化粧品成分表示名称]
・(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー

[医薬部外品表示名称]
・アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体

大きな親水基と小さな親油基をもつO/W型高分子水溶性ポリマーです。

この構造のため親油基で油をつかみ、高分子鎖で水中にて構造をつくり、油を安定に分散させることができます。

水やアルコールなどの溶媒に対して低濃度でも安定的に高い増粘効果を示す従来にない高分子乳化剤で、透明性の高いゲル状の質感をつくる増粘剤として幅広く使用されています。

また、ウォータープルーフ性(∗1)があるのでメイクアップ製品にも使用されます。

∗1 ウォータープルーフ性とは耐水性のことであり、水につけても品質が流れ落ちたり効果がなくならないことです。

実際にどのような製品にどれくらい配合されているのかというと、2011年の海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーの配合状況調査結果(2011年)

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(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーの現時点での安全性は、高分子で皮膚に浸透せず、皮膚刺激性はほとんどなく、最小~軽度の眼刺激性が起こる可能性はありますが、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性およびアレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Safety Assessment of Crosslinked Alkyl Acrylates as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 100人の被検者に誘導期間として97.5%以上の(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー溶液を2×2cmパッチで1~3週間の間に合計4回適用し、1週間の無処置期間を経てチャレンジパッチを適用し、除去後に評価したところ、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは刺激剤および感作物質ではないと結論づけられた
  • [ヒト試験] 111人の被検者に10%(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー150mgを2×2cmパッチで1~3週間の間に合計4回適用し、1週間の無処置期間を経てチャレンジパッチを適用し、除去後に評価したところ、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは刺激剤および感作物質ではないと結論づけられた
  • [ヒト試験] 54人の被検者に97.5%(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを1×1cmパッチを適用し反復パッチ試験(Shelanski HRIPT)を実施したところ、誘導期間中に9人の被検者において1回、2人の被検者において2回、かすかなまたは中程度の紅斑を示したが、皮膚感作性は認められなかった。チャレンジ時には3人の被検者においてかすかな紅斑が観察された
  • [ヒト試験] 107人の被検者に0.15%(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを含むボディローション0.2gを1×1cmの半閉塞パッチを数分間揮発させて24時間適用を週に3回3週間にわたって繰り返し、2週間の無処置期間を経てチャレンジパッチを適用したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた
  • [ヒト試験] 51人の被検者に0.6%(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを含むクリーム0.2gを1×1cmの半閉塞パッチを数分間揮発させて24時間適用を週に3回3週間にわたって繰り返し、2週間の無処置期間を経てチャレンジパッチを適用したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた

と記載されています。

試験結果では一部皮膚刺激が示されたものもありましたが、数人および軽度だったため有意な刺激ではないとみなし、また共通して皮膚感作は認められなかったため、皮膚刺激性およびアレルギー(皮膚感作)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Safety Assessment of Crosslinked Alkyl Acrylates as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢に希釈していない(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーと1%(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを含む中和溶液(pH6.9-7.0)を点滴し、眼をすすがずに7日間観察したところ、希釈していない試験物質は軽度から中程度の結膜刺激を生じ、7日目までには消失した。一方で1%溶液はわずかな虹彩や結膜刺激が観察されたが、刺激の兆候は72時間で消失した
  • [動物試験] 3匹のウサギに希釈していない(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーと5%(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー水溶液を点滴し、評価したところ、希釈されていない試験物質は、21日目まで中等の角膜刺激および結膜刺激を生じ(最大平均刺激スコアは37.7/110)、5%水溶液では中程度の結膜刺激(最大平均スコアは9.3/110)が観察され、これは最小の刺激として分類された
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼の結膜嚢に(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー0.021gを滴下し、30秒後に3匹のウサギの両眼をすすぎ、残りの6匹の両眼はすすがれなかった。72時間にわたってウサギの眼を観察したところ、すすがなかった6匹のうち3匹に有意な目刺激が観察された

と記載されています。

化粧品ではいごうされる場合は5%以下が一般的なので、試験結果では最小から軽度の眼刺激性が生じているため、最小から軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

安全性についての捕捉

ポリマーというと肌を覆って肌呼吸を妨げるのではという不安がネット上で見られますが、分子量が大きいため肌に浸透することはなく、皮膚を覆っているからといって皮膚呼吸を妨げているという事実もありません。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー

参考までに化粧品毒性判定事典によると、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは■(∗3)となっていますが、試験結果をみるとわかるように皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Final Safety Assessment of Crosslinked Alkyl Acrylates as Used in Cosmetics」, <http://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR583.pdf> 2017年10月26日アクセス.

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