トリエトキシカプリリルシランとは…成分効果と毒性を解説

表面処理
トリエトキシカプリリルシラン
[化粧品成分表示名称]
・トリエトキシカプリリルシラン

化学構造的に3つのエトキシ基と1つのオクチル基でSi置換されたシリコーンエーテル(有機ケイ素化合物)です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品などに汎用されています(文献1:2016)

表面処理

トリエトキシカプリリルシランで顔料・粉体を表面処理することで、顔料・粉体に疎水性をもたせ、分散性の向上、粉体の肌なじみの改善、クリーミーな感触を付与することから、化粧崩れしにくい、ウォータープルーフ系の日焼け止め製品、メイクアップ化粧品などに顔料と一緒に使用されています(文献3:2010;文献4:2015)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2015-2016年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

トリエトキシカプリリルシランの配合製品数と配合量の調査結果(2015-2016年)

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トリエトキシカプリリルシランの安全性(刺激性・アレルギー)について

トリエトキシカプリリルシランの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷の皮膚に100%トリエトキシカプリリルシラン0.5mLを4時間パッチ適用し、パッチ除去後に1時間観察したところ、中等の紅斑および中等の浮腫が観察されたが7日目には正常に戻った。7日目に2匹のウサギに落屑がみられた。PII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)は3.041(原発性皮膚刺激性=3、皮膚に対する腐食性=4)であり、この試験条件下においてこの試験物質は皮膚に中等の刺激性があると考えられた(Organization for Economic Cooperation and Development,2010)
  • [動物試験] 3匹のウサギに100%トリエトキシカプリリルシラン0.5mLを閉塞パッチ適用し、OECD404テストガイドラインに基づいてパッチ除去後に評価したところ、1時間で3匹すべてのウサギにおいて中等の紅斑および中等の浮腫が観察された。落屑は7日目からすべてのウサギで観察された。全ての皮膚の変化は10日目までに解決した。PII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)は0-8のスケールで5.1であり、この試験条件下においてこの試験物質は皮膚に対して刺激性高いと考えられた(Organization for Economic Cooperation and Development,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、100%濃度で中低度-重度の皮膚刺激性が報告されていますが、化粧品に配合されるのは1%濃度以下であり、1%濃度以下での皮膚刺激性は不明であるため、現時点ではデータ不足で皮膚刺激性の詳細は不明です。

ただし、無機粉体の表面処理剤として汎用されている中で皮膚刺激の報告がみあたらないため、化粧品配合量においては皮膚刺激がほとんどないと推測されます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に100%トリエトキシカプリリルシラン0.1mLを点眼し、眼はすすがず、Draize法に基づいて点眼1,24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、わずかに眼刺激が観察された(Organization for Economic Cooperation and Development,2010)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢にトリエトキシカプリリルシラン0.1mLを点滴し、眼はすすがず、眼刺激性を評価したところ、すべてのウサギの結膜に赤みがみられたが、48時間以内に解消した。また1時間ですべてのウサギにわずかな腫脹が観察され、この時点で1匹にめやにが認められた。眼刺激スコア(0-110)は2.0であり、トリエトキシカプリリルシランはわずかに眼刺激性があると考えられた(Organization for Economic Cooperation and Development,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激性が報告されているため、眼刺激性は非刺激性-わずかな眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Evonikの安全性データ(文献2:2015)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いてトリエトキシカプリリルシランを対象にmaximizarion皮膚感作性試験を実施し、OECD406テストガイドラインに基づいて皮膚感作性を評価したところ、皮膚感作性なし

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

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トリエトキシカプリリルシランは表面処理剤にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:表面処理剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2016)「Safety Assessment of Alkoxyl Alkyl Silanes as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. EVONIK(2015)「Dynasylan OCTEO」Safety Data Sheet.
  3. EVONIK(2010)「Dynasylan OCTEO」技術資料.
  4. 宇山 光男, 他(2015)「トリエトキシカプリリルシラン」化粧品成分ガイド 第6版,72.

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