テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサンの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン |
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医薬部外品表示名 | テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン |
配合目的 | 表面改質 |
1. 基本情報
1.1. 定義
シロキサン骨格(∗1)を持った環状化合物です[1]。
∗1 シロキサン(siloxane)とは、ケイ素(元素記号:Si)と酸素(元素記号:O)を骨格とする化合物で、Si-O-Si結合(シロキサン結合)を持つものの総称です。
2. 化粧品としての配合目的
- 粉体の表面改質
主にこれらの目的で、メイクアップ製品、化粧下地製品、日焼け止め製品、コンシーラー製品などに汎用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 粉体の表面改質
粉体の表面改質に関しては、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサンはSi-H結合をもつ環状シロキサンであり、触媒活性をもつ粉体表面に接触すると脱水素反応により架橋重合して粉体表面に薄い均一のシリコーン膜を形成(ポリメチルシロキサンを生成)し、その結果として粉体の触媒活性を封鎖することから[2][3][4][5a]、粉体の触媒活性の封鎖目的で主にメイクアップ製品、化粧下地製品、日焼け止め製品、コンシーラー製品などに汎用されています。
また、このシリコーン膜は高い疎水性および撥水性(∗2)を付与することから、油性成分との親和性および粉体の分散性を高め、また皮膚に塗布した場合に汗や水に強く、化粧持ちの持続効果を高めるといった目的も兼ねています[5b]。
∗2 撥水性(はっすいせい)とは水をはじく性質のことです。
3. 安全性評価
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
3.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。
4. 参考文献
- ⌃日本化粧品工業連合会(2013)「テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,663.
- ⌃福井 寛(1993)「顔料の触媒活性と表面修飾」日本化粧品技術者会誌(27)(1),3-10. DOI:10.5107/sccj.27.3.
- ⌃那須 昭夫, 他(1993)「超薄膜シリコーン被覆顔料を用いた高機能型口紅の開発」日本化粧品技術者会誌(27)(3),338-347. DOI:10.5107/sccj.27.338.
- ⌃福井 寛, 他(2002)「CVD法を用いたテトラメチルシクロテトラシロキサンによる雲母層間での網目状ポリメチルシロキサンの形成」色材協会誌(75)(1),2-8. DOI:10.4011/shikizai1937.75.2.
- ⌃ab福井 寛(2003)「機能性ナノコーティング技術」色材協会誌(76)(12),503-510. DOI:10.4011/shikizai1937.76.503.