TEA(トリエタノールアミン)とは…成分効果と毒性を解説

pH調整剤
TEA(トリエタノールアミン)
[化粧品成分表示名称]
・TEA

[医薬部外品表示名称]
・トリエタノールアミン

[慣用名]
・TEA

アンモニア水と酸化エチレンの反応によってつくられるわずかにアンモニア様のにおいのある無色~薄黄色をした粘性のアルカリ剤(pH調整剤)です。

吸湿性に優れており、空気や紫外線により色に着色します。

化粧品でよく使われるアルカリ性成分のひとつで、カルボマー(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーと中和反応して増粘する目的で、柔軟で良質のクリームや乳液および化粧水などのスキンケア化粧品に使用されたり、口紅、アイシャドウ、ファンデーションなどのメイクアップ化粧品など多くの化粧品に幅広く使用されます。

また、高級脂肪酸と中和反応でトリエタ石けんと呼ばれる石けん成分をつくるなど石けんや界面活性剤の原料としても用いられます。

実際にどのような製品にどれくらいの配合量で使用されているのかというと、1981年の海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

TEA(トリエタノールアミン)の配合製品数と配合量の調査(1981年)

メイクアップ化粧品やスキンケア化粧品を中心に2,000以上の製品に配合されているのがわかります。

また、2011年の海外の調査結果では、以下のように報告されています。

TEA(トリエタノールアミン)の配合状況調査結果(2011年)

1981年から30年たって配合製品数は2倍近くに増え、配合濃度は減少しているのがわかります。

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TEAの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

TEAの現時点での安全性は、健常な皮膚において皮膚刺激性はほとんどなく、僅かな眼刺激性が起こる可能性があり、接触アレルギーの報告が多く、アレルギーに注意する必要があるため、注意が必要な成分であると考えられます。

また、アレルギー体質や皮膚炎を罹患している場合は皮膚刺激やアレルギーの可能性は高くなると考えられます。

この結論は、試験結果や安全性データを元にしていますが、TEAは使用実績も古く、実際に化粧品に配合されているのは微量であり、現在も国内で2,000以上の製品に配合されていながら、試験結果以外でのアレルギーの報告もみあたらないため、微量配合の場合は問題のない可能性も考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Triethanolamine and Triethanolamine-Containing Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 以前の報告では0.45~2.4%TEAを含む製剤のいくつかの研究において刺激が観察されなかったと結論し、一方で1.9~2.6%TEAを含む製剤については一過性の急性刺激が報告された。しかしながら、多くの専門家の解釈によると、0.83~20.04%TEAを含む製剤は刺激を有している。
  • [ヒト試験] “超反応物質”を用いた臨床誘発試験の中で、100%TEAは無傷な皮膚に対して刺激を生じ、10%TEAを含むエタノールでは傷ついた皮膚に対して顕著な刺激を示した一方で5%TEAを含むエタノールでは傷ついた皮膚に対してわずかな刺激であった
  • [ヒト試験] 20人の被検者に対してTEAによるパッチテストを実施し、紅斑およびTEWL(軽表皮水分損失)を測定した。誘導段階として50~100%TEA水溶液100~200μLを24時間閉塞パッチしたところ、100%TEAに対する非刺激率は16人(80%)で、刺激を示した被検者には弱くて不均一な紅斑がみられた。チャレンジ段階では12人の被検者に765pmol/c㎡のTEAを6~24時間閉塞パッチ適用したところ、TEWLの増加はみられず、TEAは非刺激性と結論付けられた
  • [動物試験] ウサギの耳に100%TEA0.1mLを10回、無傷の腹部には10mLを10回、擦り剥いた皮膚に24時間半閉塞パッチを適用したところ、わずか~中程度の刺激性を示し、長時間または繰り返しの曝露は刺激があるかもしれない
  • [動物試験] 8匹の雄ウサギを用いた24時間閉塞パッチ試験を実施したところ、初回炎症スコア(最大スコア24)は、0~5.5であり、全ての総合スコア(最大400)は、27.3だった
  • [動物試験] モルモットに対して50~100%TEA水溶液を用いた閉塞パッチ試験を実施したところ、紅斑反応がみられ、また別の試験では、5,10または25%TEAをモルモットの背中に適用したところ、刺激反応は観察されなかった

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Triethanolamine, Diethanolamine,and Monoethanolamine」(文献2:1983)によると、

  • [ヒト試験] 479人の被検者に5%TEAをパッチ試験したところ、9人(2%)に接触刺激反応が観察された
  • [ヒト試験] 500人の被検者に2%TEA水溶液をパッチテストしたところ、23人の被検者(4.6%)に接触刺激反応が観察された
  • [ヒト試験] 様々なタイプの湿疹に罹患している皮膚炎患者22人に5%または1%TEA水溶液を24時間パッチテスト適用し、24および48時間後に観察したところ、5%の水溶液では4人、1%水溶液では3人が陽性反応を示した

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2014)によると、

  • [ヒト試験] ACGIH(7th,2001)、SIDS(2001)、IARC 77(2000)およびNTPTR 518(2004)の「ヒトで高濃度曝露または反復曝露により皮膚刺激性が認められた」との記述から区分2(軽度~中程度の皮膚刺激あり)とした

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献4:1996)によると、

  • [ヒト試験] 皮膚経路による反復曝露後に軽度の皮膚刺激が生じる

と記載されています。

試験結果では、共通して一定の割合で皮膚刺激を起こす例が多く、アレルギー体質や皮膚炎などを罹患していると皮膚刺激が起こる可能性は高まりますが、化粧品に配合される量は試験などよりもはるかに微量なので、わずか~軽度の皮膚刺激が起こる可能性はありますが、健常な皮膚において皮膚刺激が起こる可能性は低いと考えられます。

ただし、アレルギー体質や皮膚炎を罹患していたり、肌バリアが壊れているような場合は、皮膚刺激が起こる可能性は相対的に高くなると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Triethanolamine and Triethanolamine-Containing Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた多くの試験で、TEA0.005~0.1mLの眼刺激性が評価されていますが、高濃度で長時間接触すると、TEAはウサギの眼を刺激することがある一方、10%TEA水溶液はすすぎの有無にかかわらず本質的に刺激を生じなかった

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Triethanolamine, Diethanolamine,and Monoethanolamine」(文献2:1983)によると、

  • [動物試験] ウサギの両目に100%TEA0.1mLを適用し、30秒間後に右目のみ2分間水ですすいだところ、すすいでいない眼で中程度の痛みと腫れがみられ、48時間後には軽度の結膜刺激を示した。すすいだほうの眼に刺激はみられなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギに100%TEA0.01,0.03,0.1mLを角膜とまぶたに直接適用し、1,3,7,14および21日後にDraize法に基づき刺激スコア(最大110)を採点したところ、すべての日において0.01mLはスコア0だった。0.03mLは1日目にスコア1だったが、それ以降は0だった。0.1mLは1,2,3および7日目においてスコア4で、それ以降はスコア0だった。

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] ACGIH(7th,2001)、PATTY(6th,2012)およびNTPTR 518(2004)の「ウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性が認められ、14日後に完全に回復した」との記述から区分2A(軽度~中程度の眼刺激あり)とした

と記載されています。

試験結果は非刺激であることが多く、また刺激があってもわずか~軽度のため、濃度や配合量によってわずか~軽度の眼刺激性が起こる可能性が考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Triethanolamine and Triethanolamine-Containing Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 64人の被検者に1%TEA0.1mLをパッチテストしたところ、感作反応を示さなかった
  • [ヒト試験] 全体として0.83~4.2%TEAを含む製剤の大部分は感作性ではなく、20.04%TEAを含む製剤を26人の被検者にパッチテストした結果、チャレンジ期間に2人にわずかな反応が生じたが皮膚感作性とは認められなかった。しかし、専門家の解釈によれば、2.1%~2.4%TEAを含むいくつかの化粧品製剤に感作性があると判断しており、別の研究で2.1%TEAを含む化粧品製剤のパッチテストではチャレンジ時に観察された反応はおそらく皮膚疲労によるものであると結論づけた
  • [ヒト試験] 737人の患者に2.5%TEAを含むワセリンを含んだ乳化物でICDRG(国際接触皮膚炎研究グループ)の勧告に従ってパッチ試験を実施したところ、39人の患者が乳化剤に対して陽性反応を示し、20人の男性と5人の女性がTEAに陽性反応を示した。同時に106人に刺激反応がみられ、そのうち7人の患者は臨床的に陽性反応と関連があった。TEAにアレルギーのある患者の多くは他の成分にもアレルギ-があった
  • [ヒト試験] 4年間にわたって同じTEA含有クリームに対する陽性反応率はひとつの診療所で171人の患者のうち69人であり、別の診療所では191人中49人だった。診療所による違いはサンプリング方法だと仮説をたて、最初の診療所最近TEA含有クリームを使用した患者、または反応が疑われた患者のみを試験した。2つの診療所から集めた合計54人の患者を対象としたフォローアップパッチ試験では15人が対照であり、19人の患者がTEA含有クリームに対して陽性反応を示し、40人が陽性刺激反応を示し、13人が陰性反応を示した
  • [ヒト試験] 8598人の皮膚科患者にTEAを用いたパッチテストを実施したところ、TEAに対して323人が陽性反応を示したが、そのうち289人は弱い陽性反応だったため、職業的にTEAに曝露されるのは、TEA接触アレルギーの危険因子とはならないと結論付けられた

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2014)によると、

  • [ヒト試験] ACGIH(7th,2001)、IARC 77(2000)およびNTPTR 518(2004)の「ヒトでアレルギー性接触皮膚炎の報告がある」との記述から区分1(重度の皮膚感作性あり)とした

と記載されています。

多くの試験結果で少なくない人数が陽性反応を示しており、厚生労働省の安全性データシートでも区分1(重度の皮膚感作性あり)に分類されているため、アレルギー(皮膚感作)が起こる可能性は低くないと考えられます。

発がん性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Triethanolamine and Triethanolamine-Containing Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • 国際がん研究機関(IARC)のワーキンググループによるTEAの評価によると、TEAのヒトおよび動物における発がん性のエビデンスは不十分であり、IARCの総合評価としてTEAはヒトに対する発がん性物質として分類できない(グループ3)

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2014)によると、

  • IARC 77(2000)でグループ3に分類されていることから、分類できないとした

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献4:1996)によると、

  • 発がん性はない

と記載されています。

ネットを調べていると発がん性の懸念が散見されたため、発がん性の報告も追加しました。

発がん性が認められるのはニトロソアミンという成分で、TEAはニトロソアミンを形成する性質をもっているために発がん性が懸念されているのだと思うのですが、化粧品に配合されるのは微量であるため、生成反応が生じる機会はとても少ないと考えられており(文献5:1991)、また国際がん研究機関(IARC)でもグループ3(∗2)に分類されていることから、現時点では発がん性に関する懸念はほとんどないと考えられます。

∗2 国際がん研究機関(IARC)の発がん性の分類は、グループ1:発がん性がある、グループ2A:おそらく発がん性がある、グループ2B:発がん性のおそれがある、グループ3:発がん性を分類できない、グループ4:おそらく発がん性はない、となってます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
TEA

参考までに化粧品毒性判定事典によると、TEAは■(∗3)となっています。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

TEAは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2013)「Safety Assessment of Triethanolamine and Triethanolamine-Containing Ingredients as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581813488804> 2017年10月19日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Triethanolamine, Diethanolamine,and Monoethanolamine」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818309142006> 2017年10月19日アクセス.
  3. “職場のあんぜんサイト”(2014)「安全性データシート」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0853.html> 2017年10月19日アクセス.
  4. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(1996)「初期評価プロファイル」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年10月19日アクセス.
  5. Sohoni, S.; R. Sridhar, G. Mandal(1991)「Effect of grinding aids on the fine grinding of limestone, quartz and portland cement clinker」Powder Technology,67,(3),p277-286.

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