EDTA-2Na(エデト酸二ナトリウム)とは…成分効果と毒性を解説

キレート剤
EDTA-2Na(エデト酸二ナトリウム)
[化粧品成分表示名称]
・EDTA-2Na

[医薬部外品表示名称]
・エデト酸二ナトリウム

[慣用名]
・EDTA

エチレンジアミンとクロロ酢酸ナトリウムより合成されるEDTA(エデト酸)の二ナトリウム塩で、白色の結晶~結晶性粉末です。

化粧品では、金属イオン封鎖剤(∗1)として硬水を軟化させる目的で配合されたり、透明化の目的で石けんや化粧水に配合されます。

∗1 微量の金属イオンの存在が、ほかの薬剤の作用を阻害したり、化粧水に沈殿を生じさせたり、油性原料の酸化を促進し変臭や変色の原因となったりしますが、金属イオンを不活性化する目的で配合される物質を金属イオン封鎖剤といいます。

また、菌が増えるために必要な二価のイオンをキレート剤が奪うことによって菌の増殖を抑制する抗菌性も備えており、抗菌補助としての目的を兼ねることもあります。

EDTAは旧表示指定成分ですが、旧表示指定成分だから安全ではないということではないので、注意が必要です。

参考:化粧品における旧表示指定成分の解説

EDTA-2NaとEDTA-4Naの違いは水へ溶かしたときの溶解度とpHになりますが、同仁化学研究所の数字を参考にすると、25℃の100mLの水に対して、

  • EDTA-2Na:11.1g(溶解度)、4.2~4.8%(溶解時のpH)
  • EDTA-4Na:60.0g(溶解度)、10.0~12.0%(溶解時のpH)

という違いになります。

参考:EDTA-2NaとEDTA-4Naの性能の違い新しいウィンドゥが開きます

pHの違いがそのままキレート性能の違いになるので、使用時のpHを調整することでキレート力を調整することができます。

EDTA-2NaとEDTA-4Naの違いをまとめた図が以下になります。

EDTA-2NaとEDTA-2NaとDTA-4Naの違い

EDTAというと一括りにして判断してしまいがちですが、このふたつをとってもpH値や皮膚刺激性の有無など違いが顕著なので、個別に判断してください。

合わせてEDTA-4Naも調べておきたい方は以下を参考にしてください。

参考:EDTA-4Naの成分効果と毒性を解説

1998年の海外のものですが、EDTA-2Naの配合製品の種類や数および配合量の調査レポートが、”Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of EDTA, Calcium Disodium EDTA, Diammonium EDTA, Dipotassium EDTA, Disodium EDTA, TEA-EDTA,Tetrasodium EDTA, Tripotassium EDTA, Trisodium EDTA, HEDTA, and Trisodium HEDTA 」に掲載されているので、以下に記載しておきます。

EDTA-2Naの配合製品数と配合量の調査(1998年)

洗浄製品とスキンケア製品に配合数が多く、付けっ放しのスキンケア製品などは0.1未満の配合量も少なくなさそうです。

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EDTA-2Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

EDTA-2Naの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作)の起こる可能性も低いため、化粧品に配合される範囲内においてpHが調整されたものに限り、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)や評価レポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of EDTA, Calcium Disodium EDTA, Diammonium EDTA, Dipotassium EDTA, Disodium EDTA, TEA-EDTA,Tetrasodium EDTA, Tripotassium EDTA, Trisodium EDTA, HEDTA, and Trisodium HEDTA 」(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 26人のボランティアの二の腕にEDTA-2Na粉末0.2gを湿潤閉塞パッチし、いきなり高反応がでないように15~30分の間ずつ4時間かけて適用していき、パッチ除去後24,48および72時間後に処置部位を評価したところ、26人のボランティアのいずれも刺激を受けなかった(Basketter et al.,1997)
  • [動物試験] ウサギを用いた一時皮膚刺激試験において非刺激剤として分類された。追加の詳細は入手できなかった。(BASF.,1996)

CERI 化学物質評価研究機構の有害性評価書(文献2:2006)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた試験でND量(検出できないくらいの量)を投与したところ、皮膚刺激性なし

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの「初期評価プロファイル アミノカルボン酸系キレート剤カテゴリー」(文献3:2012)によると、

  • 刺激性の程度はそれぞれの塩のpHに関係するため、本質的には強い刺激性をもつ

BASFの「安全性データシート」(文献4:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたBASF試験に基いて皮膚刺激性を評価したところ、非刺激性だった

と記載されています。

動物試験では共通して皮膚刺激性はなく、またEDTA-2Naは目薬などの医薬品にも使用されていることから、適切な配合量において、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of EDTA, Calcium Disodium EDTA, Diammonium EDTA, Dipotassium EDTA, Disodium EDTA, TEA-EDTA,Tetrasodium EDTA, Tripotassium EDTA, Trisodium EDTA, HEDTA, and Trisodium HEDTA 」(文献1:2002)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた粘膜刺激試験において非刺激性に分類された

CERI 化学物質評価研究機構の有害性評価書(文献2:2006)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた試験でND量(検出できないくらいの量)を投与したところ、眼刺激性なし

BASFの「安全性データシート」(文献4:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたBASF試験に基いて皮膚刺激性を評価したところ、非刺激性だった

と記載されています。

動物試験ではありますが共通して眼刺激性はなく、またEDTA-2Naは目薬などの医薬品にも使用されていることから、適切な配合量において、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of EDTA, Calcium Disodium EDTA, Diammonium EDTA, Dipotassium EDTA, Disodium EDTA, TEA-EDTA,Tetrasodium EDTA, Tripotassium EDTA, Trisodium EDTA, HEDTA, and Trisodium HEDTA 」(文献1:2002)によると、

  • [動物試験] 5匹のモルモットに誘導期間としてまずはEDTA-2Na0.1mLを皮内に注射し、次から9回にわたって0.2mLを注射し、2週間の無処置期間を経て0.1mLのチャレンジ注射を実施したところ、モルモットにアレルギーの兆候はなかった(Yang and Chan,1964)

CERI 化学物質評価研究機構の有害性評価書(文献2:2006)によると、

  • [ヒト試験] 歯科治療のため局所麻酔をした34歳男性の顔に24時間後に紅潮と腫脹が起こり、腫脹は36時間以内に回復したことからパッチテストを行ったところ、局所麻酔の安定剤に含まれているEDTA-2Naに紅斑および強い丘疹反応があった

BASFの「安全性データシート」(文献4:2016)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いたOECD406ガイドラインに基づいたマキシマイゼーション試験において皮膚感作性なしだった

と記載されています。

局所麻酔でアレルギー反応があった例が1例報告されていますが、他の試験において皮膚感作性がなかったことや現在6,000近くの製品に配合されている事実があり、重大なアレルギー反応の報告がないため、現時点ではアレルギーが起こる可能性は低いと考えられます。

EDTAによるコラーゲン分解の影響について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of EDTA, Calcium Disodium EDTA, Diammonium EDTA, Dipotassium EDTA, Disodium EDTA, TEA-EDTA,Tetrasodium EDTA, Tripotassium EDTA, Trisodium EDTA, HEDTA, and Trisodium HEDTA 」(文献1:2002)によると、

  • [in vitro試験] ゼラチン培地中でタンパク質(0.2%カゼイン、0.3%牛肉抽出物、0.5%トリプトン、0.1%グルコースおよび1.5%寒天)に対するEDTA-2Naの効果を試験管内で調べたところ、EDTA-2Naは2.5×10-3Mの濃度でタンパク質またはゼラチン培地中において、タンパク質分解の阻害効果はなく、5×1CT3の濃度ではゼラチン液化を阻害したもののタンパク質の分解は阻害しなかった。また10-2MのEDTA-2Naでもタンパク質分解を阻害することはなかった。(Wilson,1970)
  • [動物試験] ウサギのアキレス腱のコラーゲンを10-2M濃度のEDTA-2Naと一緒に培養したところ、48時間経ってもコラーゲンの酵素消化は起こらなかった。

と記載されています。

EDTAにはコラーゲンを構成するアミノ酸であるヒドロキシプロリンの尿中排泄を増加させるため、成熟したコラーゲンが分解された可能性を指摘する報告があるのですが、EDTA-2Naはタンパク質分解に対する阻害効果がなかったため、コラーゲン分解の影響はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
EDTA-2Na

参考までに化粧品毒性判定事典によると、EDTA-2Naは■(∗2)となっており、毒性に関しては心配するほどではないですが、他の成分配合と合わせて考慮する必要があります。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

安全性についての捕捉

発がん性の懸念もネット上では散見されますが、CERI 化学物質評価研究機構の有害性評価書によると、国際機関(IARC,2001;ACGIH,2001;日本産業衛生学会,2001;U.S.EPA,2002;NTP,2000)では、EDTAの発がん性は評価しておらず、発がん性の懸念はないと考えられています(文献2:2006)

∗∗∗

EDTA-2Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2002)「Final Report on the Safety Assessment of EDTA, Calcium Disodium EDTA, Diammonium EDTA, Dipotassium EDTA, Disodium EDTA, TEA-EDTA,Tetrasodium EDTA, Tripotassium EDTA, Trisodium EDTA, HEDTA, and Trisodium HEDTA 」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810290096522> 2017年10月12日アクセス.
  2. CERI 化学物質評価研究機構(2006)「有害性評価書 エチレンジアミン四酢酸」, <http://www.cerij.or.jp/evaluation_document/yugai/60_00_4.pdf> 2017年9月3日アクセス.
  3. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2012)「初期評価プロファイル アミノカルボン酸系キレート剤カテゴリー」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年10月12日アクセス.
  4. BASF(2016)「安全性データシート」, <https://worldaccount.basf.com/wa/NAFTA~en_US/Catalog/Cosmetics/doc4/BASF/PRD/30035110/.pdf?asset_type=msds/pdf&language=EN&validArea=US&urn=urn:documentum:ProductBase_EU:09007af8801c58ac.pdf> 2017年10月12日アクセス.

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