セルロースとは…成分効果と毒性を解説

結合 吸着 分散 増粘 スクラブ
セルロース
[化粧品成分表示名称]
・セルロース

[医薬部外品表示名称]
・セルロース末

植物の細胞膜の主成分であり、化学構造的に多数のグルコース分子がβ-1,4グリコシド結合により直鎖状に重合(∗1)した、高強度な繊維状であることから繊維素とも呼ばれる直鎖状多糖類(セルロース系高分子)です。

∗1 重合とは、複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になる反応のことをいい、単量体(モノマー)が結合して鎖状または網状になった化合物を重合体(ポリマー)といいます。

植物の約40%を占めることから、地球上で最も多量に生産-蓄積されている生物資源であり、年間生産量は1,000億トン以上と考えられています。

セルロースは、構造的に分子が比較的規則正しく並列に配列している結晶領域と、分子の配列が乱れている非結晶領域とから構成されており、結晶セルロースはセルロースを加水分解することで結晶部分のみを抽出し、結晶状のサラサラした柔軟な感触となりますが、セルロースはこういった工程なくそのまま使用するため、結晶セルロースに比べて硬い感触を有しています(文献2:1983)

一般的に、パルプを直接利用する紙製品をはじめ、コットン繊維、キュプラ繊維、レーヨン繊維など衣類にも使用され、食品、化粧品および医薬品においては有効成分を含む錠剤が体内で崩壊するための成形剤としても広く使用されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、パウダー系製品、ピーリング系製品、シート&パック製品、香水などに使用されています(文献1:2009)

結合

結合に関しては、セルロースは圧縮成形性に優れており、この性質を利用してパウダーファンデーションなどの圧縮固形化粧品の結合剤として使用されています(文献3:2000)

吸着

吸着に関しては、結晶セルロースは表面積が大きくかつ多孔質(∗2)であるため、水や油を吸着します。

∗2 多孔質とは、細かい穴(孔)がたくさん空いた構造になっている性質のことです。

この吸着能は、油や非極性溶媒の場合は分子間隙中への物吸着であり、水やアルコールなどの極性溶媒の場合は分子表面水酸基による化学吸着が一部加わることから、香料や抗菌成分などの有効成分を吸着保持したり、人体の汗や油脂を吸い取りメイク崩れを防止する目的で、パウダー系メイクアップ化粧品に配合されます(文献2:2000)

分散・懸濁安定化

分散・懸濁安定化に関しては、酸化チタンなどの紫外線散乱剤や粘土鉱物などを分散させた液体化粧料の懸濁安定剤(∗3)として使用されます(文献2:2000)

∗3 懸濁液とは、固体粒子が液体中に分散した分散系のことをいいます。

増粘・ゲル調整

増粘・ゲル調整に関しては、セルロースは通常の水溶性高分子とは異なり、剛性を有する棒軸状粒子がネットワーク構造を形成することで粘度が発現し、広い温度範囲で安定した糸引き性のないサラッとした感触を付与します(文献2:2000)

ナノ化セルロースを配合した場合、透明のセルロースゲルを形成することができ、またナノ化セルロースゲルはゲルであるにもかかわらずスプレー処方が可能であり、スプレー後は元のゲル状に戻るというユニークな特徴を示すため、スプレー系化粧水、クリーム、日焼け止め製品などに配合されます(文献3:2007)

スクラブ

スクラブに関しては、スクラブ感や視覚的な特性を付与する目的で球状ビーズとして洗顔料などに使用されます。

セルロース単体の場合は硬い球状ビーズのスクラブとなり、柔らかくソフトなスクラブの場合は結晶セルロースと混合したものが配合されます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

セルロースの配合製品数と配合量の調査(2009年)

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セルロースの安全性(刺激性・アレルギー)について

セルロースの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

食品および医薬品としても古くから広く使用されていることから、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

セルロースは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2009)「Amended Safety Assessment of Cellulose and Related Polymers as used in Cosmetics」Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel.
  2. 山本 恵司(1983)「製剤における糖類の利用」ファルマシア(19)(12),1268-1273.
  3. 旭化成工業株式会社(2000)「結晶セルロース(アビセル,セオラス)の化粧品への応用」Fragrance Journal(28)(7),93-96.
  4. 児島 孝子, 他(2007)「透明セルロースゲルの特性と化粧品への応用」Fragrance Journal(35)(7),78-84.

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