(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーとは…成分効果と毒性を解説

増粘
(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマー
[化粧品成分表示名称]
・(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマー

炭化水素(∗1)の一種である炭素数4のブチレン(∗2)、炭素数2のエチレン(∗3)および芳香族炭化水素の一種であるスチレン(∗4)の共重合体(∗5)の末端を水素添加したものであり、疎水性の合成高分子です。

∗1 炭化水素とは、炭素と水素のみからなる化合物であり、化学的に極めて不活性な物質です。

∗2 ブチレン(butylene 化学式:C₄H₈)は、正式な科学名称としてはブテン(butene)と呼ばれる気体であり、炭素4個に二重結合を1つ持つ不飽和炭化水素(炭化水素ガス)です。

∗3 エチレン(ethylene 化学式:C₂H₄)とは、気体のエチレンガスであり、炭素3個に二重結合を1つ持つ不飽和炭化水素(炭化水素ガス)です。

∗4 スチレン(styrene 化学式:C₈H₈)とはベンゼンの水素原子の一つがビニル基に置換した構造をもつ芳香族炭化水素であり、天然樹脂である蘇合香(そごうこう 英名:styrax)の成分として発見され、蘇合香の英名である「styrax」と芳香族炭化水素を意味する「arene」からスチレン(styrene)と命名されています。

∗5 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指し、2種類以上の単量体(モノマー:monomer)がつながってできているものを共重合体(copolymer:コポリマー)と呼びます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品に使用されています。

油の増粘

油の増粘に関しては、(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーは油に溶解することで油の粘度を調整することができるため、油の増粘剤である(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマーと併用し、ホホバ種子油の粘度調整目的で、主に口紅、リップカラーなどスティック状製品に使用されています(文献2:-)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013-2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2014年)

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(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 117人の被検者に4%-15%(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマーおよび0.1%-2%(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーの混合物を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験期間を通じていずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作を誘発しなかった(Stephens & Associates,1994)
  • [動物試験] ウサギの皮膚に4%-15%(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマーおよび0.1%-2%(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーの混合物を適用し、適用後に皮膚刺激性を評価したところ、この試験条件下においてこの試験物質は皮膚刺激剤ではなかった(Stillmeadow,1992)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されていることから、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] ウサギの片眼に4%-15%(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマーおよび0.1%-2%(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーの混合物を適用し、適用後に眼刺激性を評価したところ、この試験条件下においてこの試験物質は眼刺激剤ではなかった(Stillmeadow,1992)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されていることから、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマーは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Styrene and Vinyl-type Styrene Copolymers as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. Vantage Specialty Ingredients(-)「Jojoba Glaze HV/LV」Technical Data Sheet.

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