BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)とは…成分効果と毒性を解説

酸化防止剤
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
[化粧品成分表示名称]
・BHT

[医薬部外品表示名称]
・ジブチルヒドロキシトルエン

p-クレゾールとイソブチレンを反応させてつくる無色~白色の結晶性粉末で、水に溶けず多価アルコールやオイルに溶ける酸化防止剤です。

酸化防止効果に優れており、耐熱性もあるため、化粧品の安定性を維持するために配合されますが、とくに酸化によって退色や変色する成分を含んでいるメイクアップ化粧品や紫外線吸収剤を含むUV製品には汎用されています。

自らが酸化することで脂質の酸化による変性を防止するという働き方をするので、酸化を抑制するタイプの酸化防止剤と併用することで相乗効果を得られるため、他の酸化防止剤と併用されることが多いです。

使用量の上限は決められていませんが、化粧品の0.01~0.05%で配合されることが多いです。

スポンサーリンク

BHTの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

BHTの現時点での安全性は、化粧品に配合される範囲において、皮膚刺激や毒性はほとんどなく、眼に入ると軽度の眼刺激性が起こる可能性がありますが、国内で重大なアレルギーの報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内海外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report in the Safety Assessment of BHT」(文献1:2002)。によると、

  • [ヒト試験] 15人以上の被検者に100%BHTを48時間パッチテストを実施したところ、29%は軽度の皮膚刺激反応を示したため、BHTは軽度の刺激剤であると結論づけた(Mallette and Von Haam,1952)
  • [ヒト試験] 湿疹性皮膚炎の被検者360人に5%BHTを48時間背中にパッチテストしたところ、皮膚に反応はみられなかった
  • [ヒト試験] 湿疹性皮膚炎の被検者360人に5%BHTを48時間背中にパッチテストしたところ、皮膚に反応はみられなかったと記載されています(文献1:2002)
  • [ヒト試験] 83人の患者に5%BHTを含むアルコールでパッチテストを実施したところ反応しなかった(Roea Petersen and Hjorth, 1976)

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2002)によると、

  • [動物試験] ウサギの皮膚に対してわずかな刺激性を示した

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] [ヒト試験] ウサギの閉塞塗布試験で非常に軽度の刺激あり、またヒトに軽度の刺激あり(SIDS(2002))との情報に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした

と記載されています。

それぞれのデータを参照すると、ヒト試験においては100%では軽度の皮膚刺激があり、5%では皮膚刺激がないという結果に統一されており、化粧品の場合はおよそ0.01%~0.05%くらいの配合量のため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2002)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に対してわずかな刺激性を示した

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギを用いたDraize試験においてBHT100mgを適用し、24時間後で6匹のウサギの結膜に軽度の炎症がみられたが72時間後には完全に回復した(SIDS(2002))との情報に基づき区分2B(わずか~軽度の眼刺激)とした

と記載されています。

動物試験のデータのみですが、共通して眼刺激性ありという結果のため、わずか~軽度の眼刺激性があると考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report in the Safety Assessment of BHT」(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 15人以上の被検者に100%BHTを48時間パッチテストを実施したところ、71%が陰性で、皮膚感作反応は19%の被検者に観察されたため、BHTは中程度の皮膚感作物質であると結論づけた(Mallette and Von Haam,1952)
  • [ヒト試験] 湿疹性皮膚炎の患者112人に2%BHTを含むワセリンをパッチテストしたところ、3人の患者が反応し、急性の炎症がみられた
  • [ヒト試験] 156人の再発性じんま疹の患者にBHT(1~50mg)で試験を実施したところ、15%が陽性反応を示し、12%が疑わしい反応を示し、73%が反応しなかった(Juhlin,1981)
  • [ヒト試験] 2年以上顔に湿疹を発症している1096人の患者に1%BHTを含むワセリンを日常的にパッチしたところ、1人の患者がアレルギー反応を示した(White, Lovell, and Cronin, 1984)

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2014)によると、

  • [ヒト試験] SIDS(2002)とIUCLID(2000)にモルモットを用いた試験で陰性とのデータがあるが、SIDS(2002)では限定的なデータとしており、ヒトに関してはSIDS(2002)で、多数の作業者や患者に対して実施されたパッチテストにおいてすべて陰性だったとの結果があるが、BHTが完全に感作性なしとは判断できないとしており、データ不足のため分類できない

と記載されています。

皮膚感作試験の結果をみると、皮膚炎やアレルギーをもつ人の場合1~10%の割合で陽性反応の結果がでていますが、国内においてが医療用クリームにも配合されており、重大なアレルギー報告もほとんどないため、日常使用する化粧品に配合されている範囲内において、アレルギー(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
BHT

参考までに化粧品毒性判定事典によると、BHTの毒性は■(∗2)となっており、単独ではやや毒性があるという判定となっています。

確かに50%や100%などの高濃度では皮膚刺激性や感作性もありますが、化粧品での配合量は0.1%未満であることが多く、化粧品の配合量範囲では、皮膚刺激もなく、皮膚感作性の報告も聞かないため、安全性に問題のない成分だと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

安全性についての捕捉

ネットでBHTの危険性を調査したところ、BHAとBHTを混同してBHTを危険だと結論づけているサイトがあったり、食品添加物としてのBHAの発がん性と化粧品としてのBHTを混同しているものも少なくなかったのですが、BHTは2002年のアメリカのNTP(米国国家毒性プログラム)によって2年間毒性試験を行った結果、発がん性を促進したり遺伝毒性がある成分ではないと報告されています。

∗∗∗

BHTは 安定化成分 にカテゴライズされています。

他の安定化成分など安定化成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分一覧

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2002)「Final Report in the Safety Assessment of BHT」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810290096513> 2017年10月6日アクセス.
  2. “職場のあんぜんサイト”(2014)「安全性データシート」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/128-37-0.html> 2017年10月6日アクセス.
  3. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2002)「初期評価プロファイル ブチル-ヒドロキシトルエン」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年10月6日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ