AMPとは…成分効果と毒性を解説

pH調整
AMP
[化粧品成分表示名称]
・AMP

[医薬部外品表示名称]
・2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール

[慣用名]
・アミノメチルプロパノール

化学構造的にニトロパラフィンとホルムアルデヒドを縮合後に還元して得られる分子量89.14の第一級アミン(脂肪族アルコール誘導体)です(∗1)(文献3:2020;文献4:1958)

∗1 アミンとは、アンモニアの水素原子を炭化水素基または芳香族原子団で置換した化合物の総称であり、置換した数が1つであれば第一級アミン、2つであれば第二級アミン、3つであれば第三級アミンといいます。2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール (AMP:aminomethyl propanol)は、第一級アミン(立体障害型アミン)に分類されます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディケア製品、染毛剤、まつ毛美容液、ネイル製品など様々な製品に汎用されています。

中和反応による樹脂の可溶化

中和反応による樹脂の可溶化に関しては、アニオン性樹脂を中和して溶解させるアルカリ剤としてAMPが用いられることがあり(文献5:1990)、アニオン性樹脂の可溶化目的でアイライナー、アイブロー、アイシャドー、マスカラ、ファンデーション、リップカラー、化粧下地、ヘアカラー、ヘアブリーチ、ネイルカラーなどに汎用されています。

代表的なアニオン性樹脂としてはアクリル酸の誘導体があり、化粧品成分名称の中に「コポリマー」と「アクリレーツ」または「アクリル酸」が含まれる成分(∗2)とAMPが併用されている場合は中和反応による樹脂の可溶化目的で配合されている可能性が考えられます。

∗2 よく使用されるアクリル酸誘導体にアクリレーツコポリマーアクリレーツコポリマーアンモニウム、(アクリレーツ/VA)コポリマーなどがあります。

中和反応による増粘作用

中和反応による増粘作用に関しては、酸性の水溶性高分子であるカルボマーはAMPなどのアルカリ中和剤として処方することで透明なゲルを得られることから、カルボマーの中和剤として使用されています(文献6:2016)

pH調整による緩衝

pH調整による緩衝に関しては、まず前提知識として緩衝溶液(Buffer Solution)について解説します。

緩衝溶液とは、外からの作用に対して、その影響を和らげようとする性質をもつ溶液であり、つまりある程度の酸または塩基(アルカリ)の添加あるいは除去または希釈(∗3)にかかわらず、ほぼ一定のpHを維持する作用を有する溶液のことです(文献7:1998-1999)

∗3 溶液を薄めることです。

たとえば人間の皮膚は弱酸性であり、入浴などで中性または弱アルカリに傾いたとしてもすぐに弱酸性に保たれますが、これは緩衝作用が働いているためです。

化粧品においては、pHが変動してしまうと効果を発揮しなくなる成分や品質の安定性が保てなくなる成分などが含まれており、化粧品の内容物がpH変動要因である大気中の物質に触れたり、人体の細菌類に触れても品質を保つ(pHを保つ)ために、酸性成分との組み合わせによる塩基性成分としてAMPが使用されることがあります(文献8:-)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2007年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

AMPの配合製品数と配合量の調査結果(2007年)

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AMPの安全性(刺激性・アレルギー)について

AMPの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:7%濃度以下においてほとんどなし
  • 眼刺激性:0.58%濃度以下においてほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990;文献2:2009)によると、

  • [ヒト試験] 15人の被検者に0.22%AMPを含む製剤を単回閉塞パッチ適用し、パッチ除去後にPII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を0-4のスケールで評価したところ、PIIは0.03であり、この試験条件下においてこの試験物質は実質的に皮膚刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1984)
  • [ヒト試験] 97人の被検者に0.22%AMPを含むヘアムース10種を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において13人の被検者にほとんど知覚できない皮膚刺激反応が観察されたが、チャレンジ期間においてはこれらの反応はみられず、この試験条件下においてこの試験物質は皮膚感作剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1985)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に3.8%AMPを含むヘアスタイリングジェルを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において2人の被検者にほとんど知覚できない皮膚刺激反応が観察されたが、チャレンジ期間においてはいずれの被検者も皮膚反応は観察されず、この試験条件下においてこの試験物質は皮膚感作剤ではなかった(TKL Research Inc,2000)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に1.75%AMPを含むヘアダイ水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験期間を通じていずれの被検者も皮膚反応は観察されず、この試験条件下においてこの試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(AMA Laboratories Inc,2000)
  • [ヒト試験] 99人の被検者に7%AMPを含むヘアダイ水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において1人の被検者に最小限の紅斑がみられたが、試験期間を通じて他の被検者に皮膚反応はみられず、この試験条件下においてこの試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Harrison Research Laboratories Inc,2006)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、7%濃度以下において実質的に皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、7%濃度以下において皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

ただし、7%濃度で使用されるのはヘアカラー剤や染毛剤のみであり、皮膚においてはさらに安全性が考慮されており、一般的に2%濃度以下で使用されています。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に0.25%AMP水溶液を点眼し、眼はすすがず、眼刺激性を評価したところ、わずかな一過性の眼刺激が観察されたが、それぞれ2日目および4日目に消失した(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1981)
  • [動物試験] 5匹のウサギの片眼に0.26%AMP製剤(pH8.3)を15cmの距離で単回スプレーし、眼はすすがず、スプレーから1および24時間後および3,4および7日後に眼刺激性を評価したところ、4匹は1時間後でわずかな結膜炎がみられたが、24時間ですべて消失した。残りの1匹は眼刺激は観察されなかった。この試験条件下においてこの試験物質は最小限の眼刺激剤であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)
  • [動物試験] 12匹のウサギの片眼に0.25%AMPを含むヘアスプレーを10cmの距離で単回スプレーし、6匹は30秒眼をすすぎ、残りは眼をすすがず、スプレーから3日目まで眼刺激性を評価したところ、非洗眼群のうち2匹に眼刺激の兆候がみられた。1匹はわずかな虹彩炎と結膜炎がみられ、3日目にはすべて消失、2匹目はわずかな角膜混濁、虹彩炎および結膜炎がみられ、3日目にはすべて消失した。洗眼群のうち3匹はわずかな結膜炎がみられたが2日目にはすべて消失した。この試験条件下においてこの試験物質は最小限の眼刺激剤であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [動物試験] 12匹のウサギの片眼に0.58%AMPを含むヘアスプレーを10cmの距離で単回スプレーし、6匹は30秒眼をすすぎ、残りは眼をすすがず、スプレーから3日目まで眼刺激性を評価したところ、非洗眼群のうち3匹にわずかな結膜炎がみられたが、3日目にはすべて消失し、残りの3匹は眼刺激の兆候はみられなかった。洗眼群のうち1匹目はわずかな角膜混濁および結膜炎がみられたが、3日目にはすべて消失し、残りの5匹に有害な反応はみられなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、0.58%濃度以下において共通して非刺激-軽度の眼刺激が報告されているため、0.58%濃度以下において眼刺激性は非刺激-軽度の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

∗∗∗

AMPは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1990)「Final Report on the afety Assessment of Aminomethylpropanol and Aminomethylpropanediol」Journal of the American College of Toxicology(9)(2),203-228.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2009)「Final Amended Report on Safety Assessment on Aminomethyl Propanol and Aminomethyl Propanediol」International Journal of Toxicology(28)(6_suppl),141S-161S.
  3. “Pubchem”(2020)「2-Amino-2-methyl-1-propanol」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/2-Amino-2-methyl-1-propanol> 2020年2月15日アクセス.
  4. 木村 誓, 他(1958)「ニトロパラフィンとホルムアルデヒドとより生成したアミノアルコールの脂肪酸塩」工業化学雑誌(61)(9),1162-1166.
  5. 柴谷 順一, 他(1990)「最近の化粧品用樹脂の動向」色材協会誌(63)(4),217-225.
  6. 猿渡 欣幸(2016)「毛髪との接着という観点から」日本接着学会誌(52)(5),122-126.
  7. 西山 成二, 他(1998-1999)「緩衝溶液についての一考察 -緩衝溶液および混合緩衝溶液の緩衝作用-」順天堂医学(44),S1-S6.
  8. Angus Chemical Company(-)「AMP ULTRA PC」Technical Data Sheet.

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