炭酸Naとは…成分効果と毒性を解説

pH調整
炭酸Na
[化粧品成分表示名称]
・炭酸Na

[医薬部外品表示名称]
・炭酸ナトリウム

[慣用名]
・炭酸ソーダ、ソーダ灰

化学構造的に炭酸イオン(CO3²⁻)と2個のナトリウムイオン(2Na⁺)から成る化学式Na2CO3で表される式量105.99の炭酸塩です(文献2:1994)

主な用途としては、重金属と不溶性の沈殿を形成して洗浄系外に取り除き、硬度に影響を与えず、そのアルカリ性によって油性汚れをケン化し可溶化することができるため、洗剤・トイレタリー分野において粉せっけんや合成洗剤のアルカリ助剤(ビルダー)として古くから使用されています(∗1)(文献3:1975)

∗1 合成洗剤などの成分表示においては「炭酸塩」と表示されます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、入浴剤、ボディケア製品、洗顔料、ボディ石鹸、ボディソープ製品、シャンプー製品、アウトバストリートメント製品、クレンジング製品、デオドラント製品などに使用されています。

強塩基性によるpH調整

強塩基性によるpH調整に関しては、まず前提知識として塩基性について解説します。

塩基性とは酸と反応する性質のことであり、水溶液に限ってはアルカリ性と同義です。

炭酸Naは、水溶液で強塩基性を示すことから(文献2:1994)、酸性を中和するpH調整剤として使用されています(文献1:1987)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2002-2004年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

炭酸Naの配合製品数と配合量の調査結果(2002-2004年)

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炭酸Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

炭酸Naの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1987)によると、

  • [動物試験] ウサギのおよびモルモットの無傷および擦過した皮膚に50%炭酸Na水溶液をパッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、ウサギの擦過した皮膚においては中程度の紅斑および浮腫が観察されたが、モルモットでは影響はみられなかった。無傷の皮膚においてはいずれの動物も皮膚刺激の兆候はなかった(G.A. Nixon et al,1975)
  • [ヒト試験] 109人の被検者に0.25%炭酸Naを含む固形石鹸の1%水溶液(炭酸Na濃度は0.0025%)0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において2人にわずかな紅斑が、別の2人に明瞭な紅斑が観察され、チャレンジ期間において4人に最小限の紅斑が、1人に明瞭な紅斑が観察された。2回目のチャレンジパッチにおいて3人に最小限の紅斑が、1人に明瞭な紅斑が観察された。これらの刺激は非特異的な刺激であるとみなされ、この固形石鹸製品は強い皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 109人の被検者に0.25%炭酸Naを含む固形石鹸の1%水溶液(炭酸Na濃度は0.0025%)0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において4人にわずかな紅斑が、別の3人に明瞭な紅斑が観察され、チャレンジ期間において1人に最小限の紅斑が、1人に明瞭な紅斑が観察された。2回目のチャレンジパッチにおいて1人に最小限の紅斑が、2人に明瞭な紅斑が観察された。これらの刺激は非特異的な刺激であるとみなされ、この固形石鹸製品は強い皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 107人の被検者に0.25%炭酸Naを含む固形石鹸の1%水溶液(炭酸Na濃度は0.0025%)0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において1人に軽度の紅斑が、別の1人に明瞭な紅斑が観察され、チャレンジ期間において1人に軽度の紅斑が、1人に明瞭な紅斑が観察された。2回目のチャレンジパッチにおいて2人に軽度の紅斑が、1人に明瞭な紅斑が観察された。これらの刺激は非特異的な刺激であるとみなされ、この固形石鹸製品は強い皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1981)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して強い皮膚刺激および皮膚感作剤ではないと報告されているため、化粧品配合において一般に皮膚刺激性は非刺激-軽度の皮膚刺激を引き起こす可能性があり、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

炭酸Naの高濃度溶液はpH11を超える強アルカリ剤であり、そのままでは皮膚を刺激します。

そのため、化粧品として使用する場合はpHがほぼ中性に中和・緩衝されている製品、または使用前に希釈するよう設計されている製品に限定されるため、一般に化粧品としての仕様は安全性に問題がないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1987)によると、

  • [動物試験] 6匹ウサギ2群の片眼にそれぞれ100%炭酸Na無水物(pH11.3)0.1mLを適用、もう片眼は未処置の対照とし、1群の眼は適用30秒後に水道水で2分間すすぎ、もう1群は眼をすすがず、Draize法に基づいて適用1時間後および1,2,3および7日後に眼刺激性を評価したところ、非洗眼群は適用1時間までにすべてのウサギに角膜混濁が観察され、3日までに重度の眼刺激を示しその刺激は7日目まで続いた。洗眼群は2日目に2匹に角膜混濁が観察されたが、7日目までに消失した。また1時間で虹彩炎が観察されたが、3日目までに消失した(J.C. Murphy et al,1982)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、重度の眼刺激が報告されていますが、これは強塩基性(pH11.3)の試験物質をそのまま適用したためであり、化粧品においてはpHをほぼ中性に中和・緩衝して使用されることから、炭酸Na自体は強塩基性であり重度の眼刺激を引き起こす可能性が考えられますが、化粧品に配合される場合においては一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

炭酸Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1987)「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Sesquicarbonate, Sodium Bicarbonate, and Sodium Carbonate」Journal of the American College of Toxicology(6)(1),121-138.
  2. 大木 道則, 他(1994)「炭酸ナトリウム」化学辞典,819-820.
  3. 森 昭(1975)「合成洗剤原料の動向」油化学(24)(6),347-356.

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