水酸化K(水酸化カリウム)とは…成分効果と毒性を解説

pH調整剤
水酸化K(水酸化カリウム)
[化粧品成分表示名称]
・水酸化K

[医薬部外品表示名称]
・水酸化カリウム

[慣用名]
・水酸化カリウム

白色の小球、または薄片や塊で水酸化Naとともに代表的に使用されるアルカリ剤(pH調整剤)です。

ステアリン酸やラウリン酸などの脂肪酸と結合して石けんの原料として使われたり、カルボマー(アクリレーツ/アクリル酸(C10-30))クロスポリマーなどのアルカリ中和タイプの高分子と反応させて増粘させて、乳化の安定性を高めるために配合されます。

実際にどのような製品にどれくらい配合されているのかというと、海外の2014-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

水酸化Kの配合状況調査結果(2014-2015年)

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水酸化Kの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

水酸化Kは単体では水に溶けると非常に強いアルカリ性を示し、皮膚につくと大変危険で、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されていますが、高級脂肪酸と水酸化Kなどの強アルカリ性の物質を反応させると石ケンと水の混合物に変化したり、油脂と水酸化Kなどの強アルカリ性の物質を反応させると石ケンとグリセリンの混合物に変化したり、アクリル酸系増粘剤と水酸化Kなどの強アルカリ性の物質を反応させると増粘した状態に変化します。

これらは鹸化や中和という化学反応で、わかりやすい例でいうと、中学や高校の理科の実験で強アルカリ性の水酸化Naと強酸性の塩酸を中和反応させて食塩水をつくるというものです。

このように、鹸化や中和させることで毒性や刺激性もなくなり、化粧品で使用される場合は必ずこのように反応させて使用し、さらに、余分な水酸化Kがある場合に備えてクエン酸などを一緒に配合することで中和させて危険性をなくす処方を古くから行ってきており、実績があります。

また、水酸化Kの構造であるカリウムイオンとヒドロキシドイオンは生体内に存在するため、アレルギー(皮膚感作)は起こらないと考えられ、重大なアレルギーの報告もないため、化粧品や石けんなどに使用する場合において安全性の高い成分であると考えられます。

以下は水酸化Kの試験データになりますが、すでに解説したように水酸化Kは5%以上のものは毒物及び劇物取締法により劇物に指定されており、以下の試験結果は水酸化Kのみでの試験のため、濃度が高いものは当然ながら刺激性や腐食性があり、化粧品の安全性としては参考にならないとした上で、一応試験データとして掲載しておきます。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Inorganic Hydroxides as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギに1および2%水酸化Kを含む溶液0.5mLを閉塞パッチ下で4時間適用しDraize法に基づいて評価したところ、1%では腐食性はなく、2%では腐食性であった
  • [動物試験] 6匹のモルモットに10%水酸化Kを含む試験物質0.5mLを無傷および擦過した皮膚に4時間閉塞パッチ適用し、部位を4,24および48時間後に評価したところ、腐食性であった
  • [動物試験] 6匹のウサギに5および10%水酸化Kを含む試験物質0.2mLヒルトップチャンバーで1または4時間適用、または4時間Webrilガーゼ閉塞パッチ適用し、パッチ除去後30分および24,48および72時間で段階的に評価したところ、両方の濃度で試験部位に重度の皮膚刺激が認められた
  • [動物試験] 6匹のウサギに10%水酸化Kを含む試験物質0.5mLを無傷および擦過した皮膚に4時間閉塞パッチ適用し、試験部位を4,24および48時間後に評価したところ、腐食性であった
  • [動物試験] 6匹のウサギに5%水酸化K0.1mLを含む試験物質を無傷および擦過した皮膚に閉塞パッチ下で24時間適用し、Draize法に基づいて評価したところ、無傷の皮膚には軽度の刺激物であり、擦過した皮膚には重度の刺激物であった

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2006)によると、

  • [動物試験] ウサギによる試験で腐食性、ヒトに対して腐食性 の記載があり、国連分類クラス8、容器等級Ⅱに分類されていることより区分1B(重篤な皮膚の薬傷)に分類した

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献3:2001)によると、

  • 水酸化K溶液は濃度によって無刺激性、刺激性、腐食性となり、皮膚や眼に対して直接的な局所影響を生じる。2%を超える濃度の溶液は腐食性をもつが、約0.5~2%の濃度では刺激性をもつ。全身影響はないと思われる。

と記載されています。

試験データは水酸化K単体のもので試験結果は濃度の高いもの(5%以上が目安)は、当然ながら刺激性や腐食性があるという結果で共通しており、水酸化K単体では濃度が高くなればなるほど刺激性や腐食性が強くなりますが、化粧品は石鹸などの製品においては鹸化や中和して用いるため、皮膚刺激性はないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Inorganic Hydroxides as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 10匹のウサギの眼に0.1,0.5,1および5%水酸化K溶液0.1mLを5分間または24時間注入し曝露後に洗い流し、1,24,48および72時間後および7日間観察したところ、1匹は5%の5分間で高い腐食性、3匹は1%の5分間で刺激性、3匹は0.5%の24時間で最小の刺激性、3匹は0.1%の24時間で眼刺激性なしであった

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2006)によると、

  • ヒトに対して不可逆な障害があり、ウサギの試験で腐食性の記載あり、皮膚腐食性/刺激性のGHS分類が区分1Bであることより区分1(重篤な眼の損傷)に分類した

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献3:2001)によると、

  • 水酸化K溶液は濃度によって無刺激性、刺激性、腐食性となり、皮膚や眼に対して直接的な局所影響を生じる。2%を超える濃度の溶液は腐食性をもつが、約0.5~2%の濃度では刺激性をもつ。全身影響はないと思われる。

と記載されています。

試験データは水酸化K単体のもので試験結果は濃度の高いもの(5%以上が目安)は、当然ながら刺激性や腐食性があるという結果で共通しており、水酸化K単体では濃度が高くなればなるほど刺激性や腐食性が強くなりますが、化粧品は石鹸などの製品においては鹸化や中和して用いるため、眼刺激性はないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Inorganic Hydroxides as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 5匹のモルモットに0.1%水酸化K水溶液を用いて皮内反復試験を実施したところ、非感作性だと結論づけられた

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2006)によると、

  • [動物試験] モルモットの試験で陰性の記載があり、ヒトの報告はないが、カリウムイオンとヒドロキシドイオンも生体内に存在するので皮膚感作性の原因とはならないとの記載より区分外(皮膚感作性なし)とした

と記載されています。

安全データにも記載があるように構造的に生体内にも存在するため感作の原因にはならないと推測されることと、国内でも重大なアレルギーの報告はないため、アレルギー(皮膚感作)は起こらないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
水酸化K 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、水酸化Kは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

水酸化Kは 安定化成分 にカテゴライズされています。

他の安定化成分など安定化成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分一覧

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2015)「Safety Assessment of Inorganic Hydroxides as Used in Cosmetics」, <http://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR703.pdf> 2017年10月24日アクセス.
  2. “職場のあんぜんサイト”(2006)「安全データシート」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0598.html> 2017年10月24日アクセス.
  3. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2001)「初期評価プロファイル 水酸化カリウム」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年10月24日アクセス.

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