安息香酸Naとは…成分効果と毒性を解説

防腐剤
安息香酸Na
[化粧品成分表示名称]
・安息香酸Na

[医薬部外品表示名称]
・安息香酸ナトリウム

安息香酸は、エゴノキ科の安息香の木の樹脂に含まれている白色の結晶で水にわずかに溶け、アルコールに溶けやすい性質ですが、ナトリウムと結合することで水によく溶ける防腐剤となります。

殺菌作用は弱い一方、強い静菌作用(細菌など微生物の増殖を抑制する作用)がありますが、弱酸性のみの効果となっておりpH5.5以上の中性からアルカリ性には静菌作用が働かず、カビや酵母に対して効果がなくなります。

幅広く化粧品に使用されますが、安定性がよくないため多くの場合パラベンと併用して配合されます。

すべての化粧品に対して安息香酸Naをはじめとする安息香酸類の配合上限は1%までに規定されています。

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安息香酸Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

安息香酸Naの現時点での安全性は、健常な皮膚に対しては刺激性や毒性はほとんどなく、軽微~中程度の眼刺激性が起こる可能性はあるものの、健常な皮膚に対してはアレルギー(皮膚感作性)の報告もないので、化粧品配合範囲内で使用する限りにおいて安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、アレルギー性皮膚炎や皮膚の炎症やバリア機能が壊れている方などは、まれに症状が悪化したり、軽微の接触性皮膚炎やじんま疹のような症状が起こる可能性があるので注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

国内に閲覧できる安全性データシートがなかったため、海外ベースになりますが、複数の安全性データシート(∗1)を参照したところ、皮膚刺激性に関しては、

  • JETOC 日本 化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイルによると、安息香酸Naは皮膚刺激性をもたないと記載されています(文献1:2001)
  • 昭和化学株式会社の安全データシートによると、皮膚刺激性があることから区分2(軽度~中程度の皮膚刺激性)としたと記載されています(文献2:2015)
  • Fisher Science Educationの安全データシートによると、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性なしと記載されています(文献3:2015)

∗1 安全性データシートは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている資料ですが、安全性を考えるデータとして一部引用させていただいています。また、日本が最も安全性に厳しいことから国内の安全性データシートの信頼性を優先させています。

安全性データの内容がバラバラですが、昭和化学は詳細が不明なこと、Fisher Science Educationは動物試験の結果であることをふまえて、JETOCの初期評価が最も信頼性が高いと判断したため、健常な皮膚においては皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます(∗2)

∗2 皮膚炎やアレルギーのある方は下の感作性に関するデータをお読みください。

眼刺激性に関しては、

  • JETOC 日本 化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイルによると、安息香酸Naは眼に対して軽微な刺激性をもつにすぎないと記載されています(文献1:2001)
  • 昭和化学株式会社の安全データシートによると、強い眼刺激性があることから区分2A(強い眼刺激性)と記載されています(文献2:2015)
  • Fisher Science Educationの安全データシートによると、ウサギを用いた眼刺激性試験で眼刺激性ありと記載されています(文献3:2015)

安全性データでは刺激性の強さはそれぞれですが、共通して眼刺激性ありと記載されているため、軽微~軽度の眼刺激性があると考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)に関しては、

  • JETOC 日本 化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイルによると、安息香酸Naは動物での感作性の指摘はないが、皮膚科の患者のパッチテストでは時折非常に弱い陽性反応がみられ、この陽性反応は非免疫性接触性じんま疹であると示唆されたと記載されています(文献1:2001)

JETOCのデータでは、健常なヒト皮膚のデータは記載されていませんが、重大なアレルギーの報告もないため健常な皮膚の方はアレルギー(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられます。

ただし、アレルギー性皮膚炎やダメージのある皮膚に塗布するとまれに接触性皮膚炎の症状としてじんま疹が発症したり、皮膚炎が悪化する可能性があるので注意してください。

参考までに化粧品毒性判定事典によると、安息香酸Naの毒性は■(∗3)となっており、単独ではやや毒性があるという判定となっています。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

安息香酸Naは 安定化成分 にカテゴライズされています。

他の安定化成分など安定化成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分一覧

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文献一覧:

  1. JETOC 日本 化学物質安全・情報センター(2001)「初期評価プロファイル ベンゾアート類」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年9月27日アクセス.
  2. 昭和化学株式会社(2015)「安全データシート」, <http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/19534250.pdf> 2017年9月27日アクセス.
  3. Fisher Science Education(2015)「Safety Data Sheet」, <https://beta-static.fishersci.com/content/dam/chemicals/S25532.pdf> 2017年9月27日アクセス.

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