ローカストビーンガムとは…成分効果と毒性を解説

増粘
ローカストビーンガム
[化粧品成分表示名称]
・ローカストビーンガム

[医薬部外品表示名称]
・ローカストビーンガム

マメ科植物イナゴマメ(学名:Ceratonia siliqua 英名:carob)の種子に約30%含有され、化学構造的にマンノースを主鎖としてガラクトースが4:1の構成比率で結合したガラクトマンナン(∗1)に分類される直鎖状多糖類(種子粘質物:植物系水溶性高分子)です。

∗1 ガラクトマンナンは多糖類の一群であり、マンノースからなる直線状主鎖にガラクトースが結合したものをいいます。

ローカストビーンガムの特性は、

分子量 溶解性 物性の変化
冷水 熱水 アルコール 耐熱 耐酸 耐塩 耐酵素
約30万 不溶(膨潤) 可溶 不溶
粘度(mPa・s) 粘性 ゲル化性 相溶性
200-300
(0.5%,20℃)
擬塑性(∗2) なし キサンタンガム
カラギーナン

∗2 擬塑性(ぎそせい)とは、シュードプラスチック性とも呼ばれており、加える力を強くすることで粘度が低下する特性のことで、たとえば擬塑性(シュードプラスチック性)を有するマヨネーズは、保管している状態(力が加わっていない状態)では液が動かず、チューブを押す(力を加える)と粘度が低下して液が絞り出されます。また口に入れると咀嚼による力が加えられるので、口の中では粘度を感じにくくなります。

このように報告されています(文献2:2016)

日本においては主に食品分野で、増粘安定目的でアイスクリームなどの冷菓に、またカラギーナンとの併用でゲル化剤としてデザート類(プリン、ゼリー)などに最も使用されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:2015)

増粘作用

増粘作用に関しては、他の増粘剤と比較して非常に高い保水性を有しており、同様の構造をもつグアーガムよりもわずかにシュードプラスチック性を示し、また曳糸性がなくすっきりとした粘性を示します(文献3:1998;文献4:-)

粘度に関しては、DSP五協フードによって報告されている以下のグラフのように、

天然系水溶性高分子の濃度と粘度の関係

他と比べて特別優れているというわけではありませんが、濃度依存的に粘度の増加を示します(文献4:-)

ローカストビーンガムの最大の特徴は、キサンタンガムカラギーナンなど他の増粘剤・ゲル化剤と非常に幅広く相溶性を示す点にあり、たとえばキサンタンガムと併用することで、以下のグラフのように、

キサンタンガムとローカストビーンガムの併用例

キサンタンガムとローカストビーンガムを混合し加熱することにより弾力のあるゲルを形成することが報告されています(文献4:-)

また、カラギーナンとの併用ではゲルの脆さと離水を抑え、弾力性および保水性を向上させることが報告されています(文献3:1998)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ローカストビーンガムの配合製品数と配合量の調査結果(2011年)

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ローカストビーンガムの安全性(刺激性・アレルギー)について

ローカストビーンガムの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷または擦過した皮膚に食塩水で湿らせたローカストビーンガム0.5gを4時間半閉塞パッチ適用し、皮膚反応はDraize法に基づいて4.5,24,48および72時間後に評価したところ、皮膚刺激スコア(0.0-8.0)は0.04であり、最小限の皮膚刺激性であった(J D McCarty,1990)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、最小限の皮膚刺激性が報告されているため、最小限の皮膚刺激性が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼にローカストビーンガム0.1gを適用し、3匹のウサギは点眼後に眼をすすぎ、6匹はすすがず、Draize法にしたがって眼を検査したところ、洗眼の有無にかかわらず最小限の眼刺激性であった(J D McCarty,1990)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、最小限の眼刺激性が報告されているため、最小限の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

– 個別事例 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [個別事例] ジャム工場で働く48歳の男性がローカストビーンガムとグァーガムに曝露された後に鼻炎や眼の炎症および喘息を訴えたため、ローカストビーンガム、グァーガム、カラギーナンの混合物について皮膚感作テストを行ったところ陰性でした。喘息はガムに触れることを止めた後には起こりませんでしたが、一重盲検法で15分間イナゴマメの粉末を調節したところ、咳、鼻炎、およびくしゃみが発生したため、最終的にグァーガムとローカストビーンガムが陽性であった(van der Brempt X,1992)
  • [個別事例] 59歳の女性がデザートを食べた数分後に唇の腫れに気づき、また彼女はデザートを準備する粉末を扱う間に鼻水やくしゃみの症状を訴えたため、皮膚感作試験を行ったところ、ローカストビーンガムに陽性反応を示し、生のローカストビーンガムで14mmのじんま疹、ゆでたローカストビーンガムで9mmのじんま疹が報告された(Alarcon E,2011)
  • [個別事例] アレルギー性鼻炎を有する30歳の男性はローカストビーンを処理すると定期的に喘息を発症した。ローカストビーンに対するプリックテストおよびRAST(IgEの検査法のひとつ)を実施したところ、どちらも陽性であった(Scoditti A et al,1996)
  • [個別事例] 8ヶ月の幼児に増粘剤としてローカストビーンガムを含むARミルクを与えたところ、じんま疹と嘔吐が報告された(F Savino et al,1999)

と記載されています。

試験データは個別事例のみであるため総合的な評価からは除外しますが、一般的には10年以上の使用実績があり、食品にも汎用されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ローカストビーンガムは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Galactomannans as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(1),35S-65S.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
  3. 南口 利一(1998)「増粘安定剤としての多糖類の香粧品への応用」Fragrance Journal(26)(7),48-56.
  4. “多糖類.com”(-)「ローカストビーンガム」, <http://www.tatourui.com/about/type/03_locust_bean.html> 2019年5月26日アクセス.

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