リンゴ酸とは…成分効果と毒性を解説

pH調整剤 ピーリング成分
リンゴ酸
[化粧品成分表示名称]
・リンゴ酸

[医薬部外品名]
・DL-リンゴ酸

アルファヒドロキシ酸(AHA)の一種であり、自然界では果物に多く含まれることからフルーツ酸とも呼ばれており、化粧品原料としてはフマル酸をアルカリと熱して水を付加したり、ブドウ糖の還元によって得られる水溶性の有機酸です。

角層柔軟作用があるためピーリング剤として、また有機酸塩類と処方してpH調整剤としてピーリング系化粧水などに使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1984-2017年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

リンゴ酸の配合製品数と配合量の比較調査結果(1984-2017年)

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リンゴ酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

リンゴ酸の現時点での安全性は、pH調整剤として使用する場合において、皮膚刺激性はほとんどなく、中等~重大な眼刺激性を引き起こす可能性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)もほとんどないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、ピーリング剤として使用されている場合は、pH調整剤よりも配合量が多く酸性に傾いているため、とくにアレルギー性皮膚炎を有している場合およびバリア機能の低い場合に皮膚刺激を引き起こすと考えられます。

また、2017年現在、ピーリング目的での配合の場合の光毒性や光感作性に対してまだ十分な臨床試験が行われておらず、詳細が不明なこともあり、ピーリング目的でのリンゴ酸の配合に対しては安全性は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データやレポートを参照し引用しています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Malic Acid and Sodium Malate」(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に1Mリンゴ酸を含む溶液(15%エタノール,5%エトキシジグリコールおよび5%ブチレングリコール)を適用し、15分ごとに刺激性を評価したところ、個々の刺激スコアの総量の平均値はpH3,5および7でそれぞれ39.4,37.1および23.1であった(Smith,1996)

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Malic Acid and Sodium Malate as Used in Cosmetics」(文献2:2018)によると、

  • [ヒト試験] 健康な20人の被検者にリンゴ酸の累積刺激性試験を実施した。各被検者の脊柱後部に2%リンゴ酸(pH2およびpH4)50μLを毎日2回4日間連続で閉塞パッチ適用し、30分後にパッチ除去し、約10mLの水道水ですすぎ、部位を乾燥させた。累積刺激性を評価したところ、リンゴ酸(pH2およびpH4)の1日2回適用は重大な皮膚刺激性を誘発せず、陰性対照と同等であり、また接触性皮膚炎も誘発しなかった((Schliemann,2005)
  • [ヒト試験] 101人の被検者に0.0227%リンゴ酸(pH3.6)を含むヘアスタイル製剤を誘導期間およびチャレンジ期間において半閉塞パッチ適用し、試験部位を評価したところ、重大な皮膚刺激性は観察されず、アレルギー性接触感作も誘発しなかった(Personal Care Products Council,2011a)
  • [ヒト試験] 98人の被検者に0.00375%リンゴ酸(pH3.0)を含むシャンプーを誘導期間およびチャレンジ期間において閉塞パッチ適用し、試験部位を評価したところ、重大な皮膚刺激性は観察されず、アレルギー性接触感作も誘発しなかった(Personal Care Products Council,2011b)
  • [ヒト試験] 106人の被検者の背中または上腕に1%リンゴ酸を含む日焼け止め製剤0.2gを誘導期間およびチャレンジ期間において半閉塞パッチ適用し、試験部位を評価したところ、皮膚感作剤ではなかった(TKL Research Inc,2004)
  • [ヒト試験] 105人の被検者に2%リンゴ酸を含むヘア製品の3%希釈液を誘導期間およびチャレンジ期間において半閉塞パッチ適用し、試験部位を評価したところ、重大な皮膚刺激はなく、アレルギー性接触感作も誘発しなかった(Anonymous,2015)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、pHが酸性に傾けば傾くほど皮膚刺激性が高くなっていますが、pH調整剤として適切に処方されている場合においては皮膚刺激性はほとんどなく、また皮膚感作の報告もないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなく、またpH調整剤として使用する場合において、皮膚刺激はほとんどないと考えられます。

ただし、ピーリング剤として意図的に酸性に傾けて処方されている場合は、皮膚刺激が起こる可能性があるので、とくに皮膚炎および肌のバリア機能が低下している場合は注意が必要です。

一応、補足ですが、リンゴにアレルギーを有していてもリンゴ酸で同様にアレルギーが発症することはありません。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Malic Acid and Sodium Malate as Used in Cosmetics」(文献2:2018)によると、

  • [in vitro試験] 畜牛の眼球から摘出した角膜を用いて、角膜表面に2.2725%リンゴ酸を含むヘアスタイル製剤(pH3.6)およびシャンプー(pH3.0)を処理した後、角膜の濁度ならびに透過性の変化量を定量的に測定したところ(BCOP法)、pH3.6のリンゴ酸を含む製剤は重度の眼刺激性であり、pH3.0のリンゴ酸を含む製剤は眼刺激剤であると予測された(Personal Care Products Council,2011c)

と記載されています。

安全データをみるかぎり、共通して眼刺激性があると報告されているため、中等~重度の眼刺激性を引き起こす可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
リンゴ酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、リンゴ酸は毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題のない成分であると考えられます。

なお、この毒性判定評価はpH調整剤としての判定であり、ピーリングを目的としたものではないのでご注意ください。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

リンゴ酸は安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Malic Acid and Sodium Malate」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/109158101750300946> 2017年9月29日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2018)「Amended Safety Assessment of Malic Acid and Sodium Malate as Used in Cosmetics」,<https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/TR749.pdf> 2018年5月21日アクセス.

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