メチルパラベンとは…成分効果と毒性を解説

防腐剤
メチルパラベン
[化粧品成分表示名称]
・メチルパラベン

[医薬部外品表示名称]
・パラオキシ安息香酸メチル

[慣用名]
・パラベン

メチルパラベンは、パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)の一種で、水に0.25%まで溶け、非常に広範囲の微生物に殺菌力をもっている防腐剤です。

同じ防腐剤のサリチル酸や安息香酸に比べてはるかに毒性が低く、肌刺激や過敏症も少ないとされており、安全性や配合のしやすさや優れた抗菌効果から、化粧品用の防腐剤として非常に多くの製品に使用されています。

また、メチルパラベンは肌への刺激が最も少ないかわりに殺菌力が弱く、殺菌できない微生物や菌もあるため、多くの場合、他のパラベンやフェノキシエタノールなどと組み合わせて使われます(∗1)

∗1 よく一緒に使用されるパラベンは、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンで効果や特徴にさほど違いはなく、組み合わせることで殺菌できる範囲や効果が上がります。

メチルパラベンは、配合上限が1.0%までに定められていますが、使用範囲が広がるにつれて改めて安全性が取りざたされる機会が増えており、歴史的にも古く安全性は確認されているものの化粧品業界としてもパラベンを含めた防腐剤の配合量をできるだけ減らそうと努力しています。

では、実際にどれくらいの量が配合されているのかというと、2003年に国立医薬品食品衛生研究所報告に掲載された「市販化粧水中のフェノキシエタノールおよびパラベン類の分析法に関する研究」によると、国内42製品の化粧水のフェノキシエタノールとパラベンの配合量を調査したところ、以下のような数字になっています(文献1:2003)

化粧水中のパラベンとフェノキシエタノールの配合量

メチルパラベンの量は、フェノキシエタノールなどと相乗効果を得ることによって、平均として0.097%、最大でも0.2%ほどに抑えられていることがわかると思います。

他にもパラベン類を減らすノウハウとして、BGが一緒に配合されているとパラベンが水に溶けやすくなり防腐力が上がるので、化粧品成分を読み解くひとつの手がかりとして、

  • 化粧水A:水、グリセリン、BG、メチルパラベン
  • 化粧水B:水、グリセリン、メチルパラベン

という2つの化粧水があった場合、一般的には化粧水AはグリセリンとBGで使用感を調節していると考えがちですが、BGを入れることで使用感を調整しつつパラベンの防腐力をアップさせて配合量を減らす努力をしていると推察することもできます。

こういったノウハウや仕組みは成分表示を見ただけではわからないこともありますが、配合量の実態などをみてみると、最低限の防腐機能を抑えつつ配合量を減らすよう工夫しているのが理解できると思います。

また、海外の調査になりますが、2006年と2017年でのメチルパラベンの配合製品量の推移やメチルパラベンの配合量の推移が以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

2017年までのメチルパラベンの配合状況の調査結果

リーブオン製品やリンスオフ製品のメチルパラベン使用が圧倒的に増えており、一方で配合量が減ってきているのがわかると思います。

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メチルパラベンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

メチルパラベンの現時点での安全性は、国内の化粧品配合量の現状において、皮膚刺激性や眼刺激性が起こる可能性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作性)に関しては、健常な皮膚の方はアレルギーが起こる可能性は限りなく低く、使用実績も長く、多くの化粧品に配合されており、重大なアレルギーの報告も見当たらないため、安全性の高い成分だと考えられます。

ただし、慢性皮膚炎の方や皮膚バリア機能が壊れている方は、ごくまれに(3%未満)アレルギーが起こる可能性があるため注意が必要ですが、3%未満という数字は安全性の高い根拠にもなるため、過度の心配は必要ないといえます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内海外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」(文献2:1984)によると、

  • [動物試験] 100%および10%メチルパラベン溶液をウサギの皮膚に適用したところ、わずか~軽度の皮膚刺激がみられた
  • [ヒト試験] パラベンは実際のところ健常なヒト皮膚にとっては非刺激性であり、実際に0.1%~0.8%のパラベンを1つまたは2つ含む製剤における皮膚刺激テストにおいて、皮膚刺激性のある証拠は示されなかった

厚生労働省が運営している”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2010)によると、

  • [ヒト試験] 50人の背中に希釈液を5日間毎日塗布し続けたところ、5%濃度までは刺激を示さなかった(HSDB(2007))
  • [動物試験] ウサギを用いた24時間Draize法試験において非希釈液で皮膚刺激指数0.67(最高4.0)を示し、わずかな皮膚刺激が認められる(HSDB(2007))

と記載されています。

メチルパラベンの配合量は平均して0.12%となっているので、5%濃度でヒト皮膚で刺激を示さなかったというデータや非希釈(100%濃度)でわずかな刺激だったことから、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」(文献2:1984)によると、

  • [動物試験] 100%メチルパラベンをウサギに点眼したところ、わずかな眼刺激性あり

厚生労働省が運営している”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2010)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた眼刺激性試験において100%濃度で1日目の眼刺激性スコアが1(最高110)で一過性のわずかな眼刺激性がある(HSDB(2007))

昭和化学の安全性データシート(文献4:2010)によると、

  • 酸性のため軽度の刺激性がある

と記載されています。

有意な安全性データを参照するかぎり、共通してわずかに目刺激があると記載されていますが、100%濃度のため根拠としては弱く、実際に多くの目薬にもメチルパラベンが配合されている現状も考慮すると、ほとんど眼刺激性は起こらないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」(文献2:1984)によると、

  • [ヒト試験] パラベンは実際のところ健常なヒト皮膚にとっては非刺激性であり、実際に0.1%~0.8%のパラベンを1つまたは2つ含む製剤における皮膚刺激感作性テストにおいて、皮膚感作性のある証拠は示されなかった
  • パラベンによる皮膚感作はとくに皮膚バリアの壊れた肌やダメージのある肌などで起こる
  • [ヒト試験] 慢性的な皮膚炎患者を有する27,230人に1%~30%のメチルパラベン調剤を適用すると2.2%に感作性がみられた

厚生労働省が運営している”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献3:2010)によると、

  • [ヒト試験] 男女各25名にRIPT(累積刺激および感作試験)で皮膚感作性なし(HSDB(2007))
  • [ヒト試験] Foof Chem.Toxicol.40(2002)のヒト症例で慢性皮膚炎の6歳女児に10万倍希釈液で定量パッチテストを行った結果、陽性反応が示された
  • [動物試験] 雄雌各5匹のモルモットを用いた接触感作性試験で皮膚感作性なし(HSDB(2007))

ORA DENTAL TOPICS No.7(文献5:2002)によると、

  • [ヒト試験] 慢性皮膚炎の患者にメチルパラベンによるパッチテストをすると陽性にでるという報告や、paraben paradoxといわれるように、炎症、湿疹、潰瘍などの非健常部の皮膚では健常な皮膚よりパラベン類に感作されやすい

と記載されています。

これらのデータによると、健常な皮膚の場合は皮膚感作性が起きにくく、慢性皮膚炎の場合は皮膚感作性が起こりえると解釈できますが、それでも2.2%や3%未満という極めて少ない数であり、また現在多くの化粧品や洗浄製品にメチルパラベンは配合されている中で、重大なアレルギーが報告されていないことから、慢性皮膚炎の方はアレルギーが起こる可能性があるが、一般的にはアレルギーが起こりにくいと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
メチルパラベン
2~3個セットの場合

参考までに化粧品毒性判定事典によると、メチルパラベンの毒性は2~3個セットの場合■(∗3)となっており、単独ではほとんど毒性がないという判定です。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

安全性についての捕捉

使用者の立場からすると防腐剤には良くないイメージがあり、配合しないに越したことはないと思うかもしれませんが、化粧品という製品の品質を保つために微生物や菌の繁殖を防ぐことは必須であり、高い安全性が認められている防腐剤の使用は必須です。

メチルパラベンは、古くから使用され続けていて最も安全性が高く抗菌性も高い防腐剤です。

このように安全性は疑いようがないのですが、ネットでメチルパラベンを調査してみると、

  • 安全とはいえない
  • メチルパラベンをはじめパラベンが入った化粧品は使わないほうがよい
  • メチルパラベンが皮膚の老化を促進する

という情報はよくみかけるので、根拠を探していると、2005年の8月25日に朝日新聞でメチルパラベンが肌の老化を招くという記事が掲載され話題になり、そこからメチルパラベンが一般的にも肌に悪いと認識されるようになったようです。

元記事を要約すると、

メチルパラベンが肌の老化を促進するの元記事

ファンデーションなど化粧品の防腐剤として広く使われているメチルパラベンには、 紫外線があたると皮膚細胞の老化を進める作用があることが、京都府立医科大生体安全医学講座(吉川敏一教授)の研究で分かった。

朝日新聞(2005/8/25より抜粋)

とありますが、詳細を読んでみると、

皮膚が吸収する濃度のメチルパラベンを添加した細胞に紫外線をあてると3倍もの脂質過酸化物が発生した

というのが研究結果のようですが、メチルパラベンは水溶性なので肌の表面の皮脂や角層より深く肌に吸収されることはありません。

さらに重要なのは、この実験はメチルパラベン100%濃度を直接肌につけているということです。

すでに伝えたように、化粧品に配合しても良い(安全性が確認されている)メチルパラベンの割合は1.0%が上限となっており、0.25%以上だとまれに刺激を感じる方もいますが、国立医薬品食品衛生研究所の調査では実際の日本の化粧品メーカーのパラベン配合量は平均して約0.12%というのが実情です(文献1:2003)

それを考慮すると、この実験が化粧品使用者にとってどれほど意味がないものであるかが見えてくると思います。

この件に対して、上野製薬株式会社が担当の助教授に確認したところ、新聞記事で”メチルパラベンと紫外線が作用してシミやシワにつながる皮膚の老化が確認”とされていたことについて、そのようなことは言っておらず、とくにシミの場合は関連性はなく、また新聞記載のように夏の日中の平均的な紫外線量とは言っていないという回答を得ています(文献6:2005)

また、メチルパラベンと紫外線の関係は、1984年のJournal of the American College of Toxicology,3(5)に皮膚に対する影響を及ぼさないことが記載されています。

皮膚刺激性がなくても微量が肌に残り積もり積もって影響があるのでは、と心配する方もいると思いますが、上野製薬株式会社によると、皮膚の表面部分には角質層の保護膜があり、化粧品の多くはこの角質層の上にとどまり、微量含まれるメチルパラベンも速やかに代謝されると説明されています。

では、なぜこのような誤解を招く記事が新聞に載るのかということですが、これは誤解してほしいからだと思われます。

つまり、化粧品ユーザーに”メチルパラベンは肌に影響があるので使いたくない”と思ってほしいから、そういう結果になる実験を行い、その結果を広めたということです。

なぜそのように思ってほしいのかというと、憶測になりますが、悪者にしやすい防腐剤のパラベンを悪者にして、パラベンフリーの化粧品を売れば流行るという算段をたてた化粧品会社が、このような研究結果を広めることでパラベンフリーのニーズをつくったのだと思われます。

実際に2005年をきっかけにパラベンフリーの化粧品が増えているので、外れてはいないと思います。

長くなってしまいましたが、改めてまとめると、現時点においてメチルパラベンの安全性は高く、敏感肌や皮膚炎の方はアレルギーが起こるかどうか注意する必要はありますが、パッチテストで問題がなければ皮膚刺激性はほとんどないので、過剰に警戒する必要はないと思われます。

∗∗∗

メチルパラベンは 安定化成分 にカテゴライズされています。

他のパラベンは以下よりお読みください。

参考:プロピルパラベン エチルパラベン ブチルパラベン

他の安定化成分など安定化成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分一覧

∗∗∗

文献一覧:

  1. 徳永裕司,竹内織恵,高玲華,内野正,安藤正典(2003)「市販化粧水中のフェノキシエタノールおよびパラベン類の分析法に関する研究」国立医薬品食品衛生研究所報告(121),pp25-29.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818409021274> 2017年9月22日アクセス.
  3. “職場のあんぜんサイト”(2010)「安全データシート」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/99-76-3.html> 2017年9月1日アクセス.
  4. 昭和化学(2010)「化学物質等安全データシート」, <http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/13663250.pdf> 2017年9月1日アクセス.
  5. 渋谷鉱(2002)「今、なぜパラベンフリーの局所麻酔か」,『ORA DENTAL TOPICS』7,pp.3.
  6. 上野製薬株式会社(2005)「メチルパラベンと紫外線の作用に関する最近の朝日新聞報道について」, <https://cosmetic-ingredients.org/ref/2005_%EF%BD%8Dethylparaben.pdf> 2017年9月23日アクセス.

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