メチルパラベンとは…成分効果と毒性を解説

防腐
メチルパラベン
[化粧品成分表示名称]
・メチルパラベン

[医薬部外品表示名称]
・パラオキシ安息香酸メチル

[慣用名]
・パラベン

化学構造的に、安息香酸エステルのパラ位にフェノール性ヒドロキシ基を持つパラオキシ安息香酸のメチルエステルです。

パラベンは、1924年に強酸性のpH領域でしか効果を示さないサリチル酸や安息香酸に代わる薬剤を見出すためにSabatschkaによって紹介され(文献6:1924)、1934年にスイス薬局方にメチルパラベンが、1942年にアメリカでメチルパラベンが採用されました。

1947年には米国薬局方にメチルパラベンおよびプロピルパラベンが認可され、1977年にはFDA(Food and Drug Administration:食品医薬品局)にも0.1%濃度上限で食品への添加が認可されています(文献7:2018)

日本国内では1988年に厚生省薬務局(現 厚生労働省)より医療用医薬品の添加物の記載についての通知があり、医薬品の投与経路ごとに添加物の記載容量が定められています。

本質的に不揮発性(∗1)、安定であり、広いpH域で効果を有しており、また広いスペクトルの微生物に対して相対的に活性です。

∗1 揮発性とは、液体が常温で気体になる性質であり、不揮発性とはその逆で、液体が常温で気体にならない性質のことです。

パラベン類は皮膚を通して体内に浸透しますが、表皮に存在する酵素であるカルボキシルエステラーゼによってパラヒドロキシ安息香酸またはその抱合体に加水分解され、5-72時間以内に尿中に排泄されることが報告されています(文献1:1984;文献2:2017)

また、慢性投与試験から得られたデータは、パラベンが体内に蓄積しないことを示しており、これらの結論は1984年から2008年において同様です(文献1:1984;文献2:2017)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗顔料&洗顔石鹸、日焼け止め製品、洗浄製品、シート&マスク製品などあらゆる製品に汎用されています。

製品自体の抗菌・防腐作用

製品自体の抗菌・防腐作用に関しては、1990年にアメリカのMallincrodtによって報告されたパラベン類の抗菌活性検証によると、

大豆寒天培地を用いたin vitro試験において、化粧品の腐敗でよく見受けられる様々なカビ、酵母および細菌に対するメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンのMIC(minimum inhibitory concentration:最小発育阻止濃度)を検討したところ、以下のグラフのように(∗2)

∗2 MICの単位であるppm(parts per million)は100万分の1の意味であり、1ppm = 0.0001%です。

微生物 MIC(ppm)
メチル エチル プロピル ブチル
枯草菌(グラム陽性桿菌)
Bacilus subtilis ATCC 6633
2,000 1,000 500 250
黄色ブドウ球菌(グラム陽性球菌)
Staphylococcus aureus ATCC 6538
2,000 1,000 500 125
表皮ブドウ球菌(グラム陽性球菌)
Staphylococcus epidermidis ATCC 12228
2,000 1,000 500 250
大腸菌(グラム陰性桿菌)
Escherichia coli ATCC 8739
2,000 1,000 500 500
肺炎桿菌(グラム陰性桿菌)
Klebsiella pneumoniae ATCC 8308
1,000 500 500 250
チフス菌(グラム陰性桿菌)
Salmonella typhosa ATCC 6539
1,000 1,000 500 250
腸内細菌(グラム陰性桿菌)
Proteus vulgaris ATCC 13315
1,000 500 250 125
セラチア(グラム陰性桿菌)
Serratia marcescens ATCC 8100
1,000 1,000 500 500
エンテロバクター・クロアカ(グラム陰性桿菌)
Enterobacter cloacae ATCC 23355
1,000 1,000 500 250
緑膿菌(グラム陰性桿菌)
Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027
4,000 > 2,000 > 1,000 > 1,000
緑膿菌(グラム陰性桿菌)
Pseudomonas aeruginosa ATCC 15442
4,000 > 2,000 > 1,000 > 1,000
シュードモナス・スタッツェリ(グラム陰性桿菌)
Pseudomonas stutzeri
2,000 1,000 500 500
カンジダ(酵母)
Candida albicans ATCC 10231
1,000 500 250 125
出芽酵母(酵母)
Saccharomyces cerevisiae
1,000 500 125 32
コウジカビ(カビ)
Aspergillus niger ATCC 9642
1,000 500 250 125
アオカビ(カビ)
Penicillium chrysogenum ATCC 9480
500 250 125 63
白癬菌(カビ)
Trichophyton mentagrophytes
250 125 63 32

パラベン類は、広範囲に極めて高い抗菌活性を示し、最近に対するよりも酵母やカビに対して効果的であり、またグラム陰性菌よりもグラム陽性菌に対してより効果的であることがわかった。

また、生育阻害のためには室温で水に溶けるよりも多くの量を必要とするため、緑膿菌に対し特に効果がないことがわかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献8:1990)、メチルパラベンに製品自体の抗菌・防腐作用が認められています。

抗菌活性は、ブチルパラベンまでは化学構造的にアルキル側鎖が長くなるに従って増大するため、抗菌活性の強さは、

ブチル > プロピル > エチル > メチル

ですが、抗菌活性が強いほど水に溶けにくいため、実際には以下のように、

メチル > エチル > プロピル > ブチル

メチルパラベンが最も汎用されています。

パラベン類の作用メカニズムは、菌膜破壊、微生物の細胞内部タンパク変性および補酵素との拮抗反応が報告されています(文献8:1990)

パラベン類は、他の防腐剤および防腐作用を有する成分と組み合わせて使用されることも多く、その理由は以下のように、

  • 活性のスペクトル増大
  • より低濃度の防腐成分の使用によって毒性学的なリスクの減少
  • 単一の防腐剤に対する耐性菌の出現防止
  • 相加的または相乗的な活性

これらのひとつまたは複数の効果を意図して処方するためです。

メチルパラベンはポジティブリストであり、化粧品に配合する場合は以下の配合範囲内においてのみ使用されます。

種類 最大配合量(g/100g)
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの パラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩の合計量として1.0。
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの
粘膜に使用されることがある化粧品

また、パラオキシ安息香酸メチルは医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量 その他
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 1.0 パラオキシ安息香酸及びそのエステルとして合計。この項のパラオキシ安息香酸エステルとは、パラオキシ安息酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ロピル及びパラオキシ安息香酸メチルに限る。
育毛剤 1.0
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 1.0
薬用口唇類 1.0
薬用歯みがき類 1.0
浴用剤 1.0

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2003-2006年および2016-2017年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

メチルパラベンの配合比較調査(2003-2006年および2016-2017年)

国内における配合量に関しては、2003年に国立医薬品食品衛生研究所によって報告された化粧水中のパラベン量の調査によると、

化粧水中のパラベンとフェノキシエタノールの配合量

このような調査結果が明らかにされており(文献9:2003)、メチルパラベンの量は、他のパラベンおよび/またはフェノキシエタノールと相乗効果を得ることによって、平均として0.097%、最大でも0.2%ほどに抑えられていることがわかります。

また2009年に東京農業大学大学院農学研究科および東京食品技術研究所によって報告された口紅中のパラベン量の調査によると、

口紅中のメチルパラベンの配合量

このような調査結果が明らかにされており(文献10:2009)、メチルパラベンの量は、他のパラベンおよび/またはフェノキシエタノールと相乗効果を得ることによって、平均として0.068%、最大でも0.261%に抑えられていることがわかります。

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メチルパラベンの安全性(刺激性・アレルギー)について

メチルパラベンの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 80年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(メチルパラベンのみ):ほとんどなし
  • 皮膚感作性(パラベンミックス – 皮膚炎または皮膚感作経験を有する場合):皮膚感作率約2%
  • 光感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、皮膚炎または皮膚感作経験を有する場合は、接触性皮膚感作が起こる可能性があるので注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に0.8%メチルパラベンを含む製剤を対象に24時間単回刺激性試験を実施したところ、皮膚刺激の兆候はみられなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 20人の被検者に0.8%メチルパラベンを含む製剤を対象に24時間単回刺激性試験を実施したところ、皮膚刺激の兆候はみられなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むヘアドレッシングを対象に5日間の累積刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、累積刺激の報告はなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1981)
  • [ヒト試験] 12人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むクリームを対象に21日間の累積刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、累積刺激スコア(0-630)は0.83であり、本質的に非刺激性だと結論付けられた(Hill Top Research Inc,1979)
  • [ヒト試験] 13人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むクリームを対象に21日間の累積刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、累積刺激スコア(0-630)は31であり、本質的に非刺激性だと結論付けられた(Hill Top Research Inc,1981)
  • [ヒト試験] 11人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むクリームを対象に21日間の累積刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、累積刺激スコア(0-630)は72であり、わずかな皮膚刺激性を示した(Hill Top Research Inc,1978)
  • [ヒト試験] 9人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むクリームを対象に21日間の累積刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、累積刺激スコア(0-630)は0であり、本質的に非刺激性だと結論付けられた(Hill Top Research Inc,1979)
  • [ヒト試験] 13人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むローションを対象に21日間の累積刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、累積刺激スコア(0-630)は141であり、わずかな皮膚刺激性を示した(Hill Top Research Inc,1978)
  • [ヒト試験] 57人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むアイメイク製品を対象に4週間使用試験を実施したところ、非刺激性であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、多くの非刺激性の報告およびわずかな皮膚刺激性が報告されているため、一般的に非刺激性-わずかな皮膚刺激性が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 100人の被検者に0.1-0.3%濃度範囲のメチルパラベン水溶液をヒトの片眼に点眼したところ、中程度の充血、わずかな流涙およびわずかな灼熱感を生じたが、すべての症状は1分以内に消失した。これらの結果から眼刺激性なしと結論付けられた(M Simonelli,1939)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんど起こらないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

– メチルパラベンのみ –

– 健常皮膚を有する場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 103人の被検者に0.8%メチルパラベンを含むファンデーションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、11人の被検者に一過性の皮膚刺激がみられたが、皮膚感作性は認められなかった(Research Testing Laboratories,1979)
  • [ヒト試験] 198人の被検者に0.8%メチルパラベンを含むチークを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、10人の被検者に一過性の軽度から中程度の皮膚刺激がみられたが、皮膚感作性は認められなかった(Research Testing Laboratories,1979)
  • [ヒト試験] 103人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むハンドローションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、3人の被検者に一過性の皮膚刺激がみられたが、皮膚感作性は認められなかった(Testkit Laboratories,1978)
  • [ヒト試験] 91人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むボディスクラブを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、2人の被検者に誘導期間において疑わしい皮膚皮膚反応がみられたが、ほかに皮膚刺激および皮膚感作の兆候は認められなかった(Testkit Laboratories,1979)
  • [ヒト試験] 205人の被検者に0.2%メチルパラベンを含むハンドクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚感作性は認められなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に0.2%メチルパラベンを含む製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作性は認められなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

– 以前に皮膚感作または皮膚炎を経験している場合 –

大阪府立羽曳野病院皮膚科の臨床データ(文献11:1992)によると、

  • [個別事例] 10年前より鼻炎および結膜炎による既往歴があり、一般皮内検査においてはハウスダスト、スギ花粉および猫毛に陽性反応を有する女性(47歳)は、1989年7月より化粧品を顔に塗るとかゆみのある紅斑ができ、化粧品を変えても、ベビーローションを使用してもかゆくなり、シャンプーでも頭がかゆくなるといった症状から1990年6月に初診をうけた。化粧品、シャンプーなどで閉塞パッチテストを実施したところ、メチルパラベンで陽性反応が示された。同時に含まれていたエチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンは陰性であった。さらに交差反応を調べるためにパラベン、サリチル酸およびアセチルサリチル酸についてもパッチテストを実施したが陰性であった。これらの結果からメチルパラベン単独による接触蕁麻疹と診断した

と記載されています。

個別臨床データのみですが、アレルギーに過敏な皮膚を有する場合において、メチルパラベン単独での接触感作が報告されています。

– 数種類のパラベン(∗3) –

∗3 数種類のパラベンとは、種類は不明ですが複数のパラベンの混合物です。

– 健常皮膚を有する場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者に5%パラベンを含む軟膏をパッチテストしたところ、いずれの被検者においても皮膚感作反応はみられなかった(W F Schorr,1966)
  • [ヒト試験] 260人の被検者に5%パラベンを含む軟膏をパッチテストしたところ、いずれの被検者においても皮膚感作反応はみられなかった(W F Schorr,1968)
  • [ヒト試験] 160人の被検者に1%パラベンを含む軟膏をパッチテストしたところ、いずれの被検者においても皮膚感作反応はみられなかった(H J Cramer,1963)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、健常な皮膚を有する場合において、複数のパラベンに対して皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

– パラベンミックス(∗4) –

∗4 パラベンミックスとは、25種類のジャパニーズスタンダードアレルゲンのひとつに指定されているパラベンミックス(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ベンジルパラベンの混合物)であり(文献3:2009)、接触性皮膚感作試験では一般的に各3%濃度で15%パラベンミックスを使用します。

– 以前に皮膚感作または皮膚炎を経験している場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 2,061人の被検者に15%パラベンミックスを含む軟膏をパッチテストしたところ、44人(2.1%)の被検者に感作反応が示された(North American Contact Dermatitis Group,1972)
  • [ヒト試験] 1,862人の被検者に15%パラベンミックスを含む軟膏をパッチテストしたところ、40人(2.1%)の被検者に感作反応が示された(North American Contact Dermatitis Group,1979-1980)
  • [ヒト試験] 5,799人の被検者に14%パラベンミックスをパッチテストしたところ、66人(1.13%)の被検者に感作反応が示された(N Hjorth,1962)
  • [ヒト試験] 4,097人の被検者に15%パラベンミックスを含む軟膏を24時間Chamber適用したところ、14人(0.3%)の被検者に感作反応が示された(M Hannuksela,1976)
  • [ヒト試験] 192人の被検者に15%パラベンミックスを48時間Chamber適用したところ、7人(3.6%)の被検者に感作反応が示された(J E Fraki,1979)
  • [ヒト試験] 1,312人の被検者に15%パラベンミックスを含むパラフィンを48時間パッチテストしたところ、31人(2.3%)の被検者に感作反応が示された(J E Fraki,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、平均して約2%の被検者に皮膚感作の兆候が報告されているため、皮膚感作および皮膚炎を有するまたは過去に有していた経験がある場合において、接触性皮膚感作反応が起こる可能性があると考えられます。

パラベンミックスは、基本的に接触性皮膚反応が観察されたときにパラベンが原因であるかどうか特定するために用いられるものなので、必然的に皮膚炎や皮膚感作の経験を有する場合のみ(健常な皮膚の場合はパラベンミックスを使用する機会がない)となります。

光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 102人の被検者に0.2%メチルパラベンおよび0.1%プロピルパラベンを含むアイメイクアップを対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、光感作性は認められなかった(308)
  • [ヒト試験] 53人の被検者に0.2%メチルパラベンおよび0.1%プロピルパラベンを含むローションを対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、光感作性は認められなかった(308)
  • [ヒト試験] 53人の被検者に0.2%メチルパラベンおよび0.1%プロピルパラベンを含むローションを対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、光感作性は認められなかった(308)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して光感作性なしと報告されているため、一般的に光感作性はほとんどないと考えられます。

安全性についての補足

2005年8月25日に、メチルパラベンが紫外線によって皮膚細胞死亡率および老化の原因となる脂質過酸化物を増加させることが朝日新聞に以下のように記載されました(文献4:2005)

ファンデーションなど化粧品の防腐剤として広く使われているメチルパラベンには、紫外線があたると皮膚細胞の老化を進める作用があることが、京都府立医科大生体安全医学講座(吉川敏一教授)の研究でわかった。

メチルパラベンは抗菌作用が高い一方、皮膚に対する刺激が低いことから、パウダー類や化粧水、乳液など化粧品では最も一般的に使われている防腐剤。紫外線カットのための製品にも含まれている。単体での安全性は確認されているが、同講座は、実際に使われる状況での影響を調べた。

実験では、皮膚細胞(ケラチノサイト)に、通常の使用方法で皮膚が吸収する濃度のメチルパラベンを添加し、夏の日中の平均的な紫外線量(30mJ/c㎡)をあてた。

細胞の死亡率は、添加しない場合の約6%に対し、添加した方は約19%。紫外線によって酸化した細胞内に発生し、老化の元凶となる「脂質過酸化物」の量は約3倍だった。

吉川氏は、メチルパラベンが紫外線を浴びると、シワやシミなどにつながる皮膚の老化を進めることが確認できたとして「メチルパラベン入りの化粧品をつけたら、強い直射日光は避けた方がいいのではないか」と話している。

朝日新聞(2005年8月25日)より引用

この記事に対して、2005年8月29日に日本化粧品工業連合会は以下のようにコメントしています。

(平成17年8月25日付朝日新聞朝刊に掲載された「メチルパラベン」に関する記事について)
「化粧品業界の現状認識について」

メチルパラベンは、化粧品をはじめ、食品・医薬品等の安全で優れた防腐剤として、日本や欧米諸国で長い間使用されてきております。

また、米国及び欧州の化粧品成分の評価機関でも、その化粧品への使用について、安全性上問題ないことが確認されております(∗)

今回紹介された試験結果は、化粧品の実際の使用とは異なる条件で行われたものであり、メチルパラベンを配合した化粧品をヒトの皮膚に使用し紫外線を浴びた場合に、皮膚の老化が起きるということに直接結びつくものとは考えておりません。

したがいまして、メチルパラベンを配合した化粧品をこれまで同様に安心してご使用していただけるものと考えます。今後も、引続き化粧品の安全性確保に万全を期すために努めてまいります。

(∗)今回行われた試験は、皮膚の一部を構成する表皮の細胞だけを用いた試験であり、 ヒトの皮膚そのものを用いたものではなく、また、紫外線照射装置を使用した試験と考えられます。

メチルパラベンは太陽光中の紫外線をほとんど吸収しないことが知られており、米国評価機関の評価では、メチルパラベンに紫外線を照射しても皮膚に対する刺激に影響力を及ぼさないことも明らかにされております。

日本化粧品工業連合会ホームページより引用(現在削除)

また2005年9月に上野製薬は以下のようにコメントしています(文献5:2005)

メチルパラベンと紫外線の作用に関する最近の朝日新聞報道について

2005年8月25日付けの朝日新聞朝刊に掲載された記事の内容には明らかに正確性・妥当性を欠く部分がありました。

記事には、「メチルパラベンと紫外線が作用してシミやシワにつながる皮膚の老化が確認」とされていましたが、実験を行った京都府立医科大学生体安全医学講座の担当助教授に当社が確認したところ、同助教授から、「そのようなことは言っていないと思う。特にシミの場合、関連性はない。」「紫外線量 30mJ/c㎡ は文献を参考にしたが、新聞記載のように夏の日中の平均的な紫外線量とは言っていない。」との回答を得ました。

また、今回の実験は in vitro、いわゆる試験管内(今回はシャーレ内)の培養細胞での実験であります。メチルパラベンの溶液に24時間浸漬して細胞内部にメチルパラベンを取り込ませた後、細胞に直接UVB(275-375nm)を照射した実験を行っていますが、実際には皮膚の表面部分に角質層の保護膜があり、化粧品はこの角質層の上にとどまり、微量含まれるメチルパラベンも速やかに代謝されます。

また、表皮(顆粒層)は紫外線を散乱し、内部の細胞を保護することから、今回の実験は化粧品の実際の使用とは全く異なる条件で行われたものです。

更に、メチルパラベンは、生体内では代謝され体外に排泄されるということなどは考慮されておらず、シワに関してin vitroの実験結果が直ちに生体への影響があるかのような表現は読者に誤解を与えていると考えます。

メチルパラベンは70年以上の長期にわたり最も安全な化粧品及び食品の防かび剤として世界で広く使用されています。日本の厚生省を始めとして、米国の FDA (食品医薬局)、欧州の食品医薬局でその使用が認められており、多くのin vivoテスト(急性毒性試験、亜急性毒性試験、慢性毒性試験、がん原性試験、生殖発生毒性試験、吸収分布代謝排泄試験、皮膚刺激性試験、皮膚光感作性試験)でその安全性が確認されております。

特に米国においてメチルパラベンは最も安全な物質として考えられる GRAS物質 (Generally Recognized As Safe)に指定されています。

上野製薬ホームページより引用(現在削除)

これらのコメントが示すとおり、メチルパラベンに紫外線を照射しても皮膚には影響を及ぼさず、これまで80年以上使用続けられたように、定められた配合範囲内において通常使用下で安全に使用できると考えられます。

∗∗∗

メチルパラベンは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」International Journal of Toxicology(3)(5),147-209.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Parabens as Used in Cosmetics」Draft Tentative Report for Panel Review.
  3. 日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン委員会(2009)「接触皮膚炎診療ガイドライン」日本皮膚科学会誌(119)(9),1757-1793.
  4. 株式会社朝日新聞社(2005)「化粧+紫外線 お肌に大敵」8月25日.
  5. 上野製薬株式会社(2005)「メチルパラベンと紫外線の作用に関する最近の朝日新聞報道について」, <https://cosmetic-ingredients.org/ref/2005_%EF%BD%8Dethylparaben.pdf> 2017年9月23日アクセス.
  6. T Sabalitschka(1924)「Chemische Konstitution and Conservierungsvermogen.」Chemiker Zeitung(48),703.
  7. FDA(2018)「184.1490 Methylparaben」CFR – Code of Federal Regulations Title 21
  8. T E Haag, et al(1990)「パラオキシ安息香酸のエステル」香粧品 医薬品 防腐・殺菌剤の科学,49-62.
  9. 徳永 裕司, 他(2003)「市販化粧水中のフェノキシエタノールおよびパラベン類の分析法に関する研究」Bulletin of National Institute of Health Sciences(121),25-29.
  10. 高畑 薫, 他(2009)「市販口紅中のパラベン類およびフェノキシエタノール含有量とその摂取量の推定」日本食生活学会誌(20)(2),143-150.
  11. 小嶋 益子(1992)「メチルパラベンによる接触蕁麻疹の1例」皮膚(34)(5),578-582.

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