ポリアクリル酸Naとは…成分効果と毒性を解説

増粘 分散
ポリアクリル酸Na
[化粧品成分表示名称]
・ポリアクリル酸Na

[医薬部外品表示名称]
・ポリアクリル酸ナトリウム

アクリル酸の重合体(∗1)であるポリアクリル酸のナトリウム塩(アクリル酸系ポリマー:合成水溶性高分子)です。

∗1 重合とは、複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になる反応のことをいい、単量体(モノマー)が結合して鎖状または網状になった化合物を重合体(ポリマー)といいます。

ポリアクリル酸Naは、高吸湿性を特徴としており、水を加えると徐々に膨潤し、透明なゲルを経て均一な粘稠溶液となります。

この特徴から、1980年代に紙おむつに使用されたことで紙おむつは画期的に薄く使いやすくなり、国内で紙おむつが普及したきっかけとなった原料として広く知られており、さらに生理用品などに応用されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:2002)

粘度調整

粘度調整に関しては、水溶液の粘性は高く、以下のグラフのように、

5%ポリアクリル酸Na水溶液のpHと粘度

pH9-11の弱アルカリ領域で最も粘度が高くなるため、重合度の高いポリアクリル酸Naは乳液やクリームなどスキンケア系乳化物の粘度調整剤として使用されます(文献2:2016;文献3:1990)

また、耐水性のゲルを設計することでパック製品などに使用されます。

分散

分散に関しては、一種の界面活性作用のような分散・凝集の作用を示すため、重合度の低いポリアクリル酸Naは油脂成分を乳化分散する目的でメイクアップ化粧品などに使用されます(文献3:1990;文献4:2012)

また、紫外線散乱剤である酸化チタンの表面にポリアクリル酸Naをコーティングし酸化チタンを均一に分散することで、紫外線散乱剤特有のきしみ感および乾燥感を大幅に軽減させ、耐水性・紫外線防御効果を増強させることが報告されていることから(文献5:2010;文献6:2012)、酸化チタンとポリアクリル酸Naが併用されている場合は、この技術が使用されている可能性が考えられます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1998年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ポリアクリル酸Naの配合製品数の調査結果(1998年)

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ポリアクリル酸Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

ポリアクリル酸Naの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に未希釈のポリアクリル酸Naを飽和させた綿布を貼り付け、アルミニウムで覆い48時間保持した。次いでパッチ除去後に試験部位を評価し、さらに2週間後に同様の手順を繰り返したところ、皮膚刺激および皮膚感作は観察されなかった(Finnegan and Dienna,1953)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されていることから、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2002)によると、

  • [動物試験] 13匹のウサギの片眼の結膜嚢にポリアクリル酸Na0.1ccを点眼し、10匹の眼はすすがず、3匹の眼はすすぎ、Draize法に基づいて点眼1,2,3,4および7日後に眼刺激性を評価したところ、最大許容濃度は眼をすすがない場合で13-20%、眼をすすいだ場合では20-30%であった(Finnegan and Dienna,1953)
  • [動物試験] 刺激性閾値試験において5匹のウサギの片眼の結膜嚢に最大2%までのポリアクリル酸Naを点眼し、1時間後に浮腫、後半および分泌物の増加を調べたところ、5匹のうち3匹またはそれ以上で刺激を生じなかった(Finnegan and Dienna,1953)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ポリアクリル酸Naは安定化成分、表面処理剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分 表面処理剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Acrylates Copolymer and 33 Related Cosmetic Ingredients」International Journal of Toxicology(21)(3),1-50.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「高分子化合物」香粧品科学 理論と実際 第4版,147-153.
  4. 鈴木 一成(2012)「ポリアクリル酸ナトリウム」化粧品成分用語事典2012,601-602.
  5. “ポーラ化成工業株式会社”(2010)「通常の1.5倍の紫外線防御予防効果を持つきしみ感・乾燥感をなくす紫外線散乱剤を開発」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/po22r057.pdf> 2018年7月26日アクセス.
  6. “ポーラ化成工業株式会社”(2012)「化粧持ちに優れた水性サンスクリーン剤の開発」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20120312-2.pdf> 2018年7月26日アクセス.

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