ポリアクリル酸Naとは…成分効果と毒性を解説

増粘剤 表面処理剤
ポリアクリル酸Na
[化粧品成分表示名称]
・ポリアクリル酸Na

[医薬部外品名]
・ポリアクリル酸ナトリウム

アクリル酸重合体のナトリウム塩で、水に溶けると高粘性の液体となる水溶性高分子化合物(高吸収性ポリマー)です。

高吸収性と呼ばれるように、自重の10倍以上の吸水力があり、水を加えていくと徐々に膨潤して粘性のある液体になります。

そのため、1980年代には紙おむつにポリアクリル酸ナトリウムを加えることで、紙おむつは画期的に薄く使いやすくなり、その後生理用品などにも活用されています。

また、界面活性剤のような分散と凝集の作用を示すため、油分を乳化分散させる効果もあります。

化粧品に配合される場合は、乳液やクリームなど乳化製品の安定性や粘性を高める増粘剤、メイクアップ製品では粉体の分散剤として使用されます(文献2:2016)

また2010年にポーラ化成によって、日焼け止め製品における紫外線散乱剤である酸化チタンの表面にポリアクリル酸Naをコーティングすることで、酸化チタンを均一に分散し、紫外線散乱剤特有のきしみ感・乾燥感を大幅に軽減させ、耐水性・紫外線防御効果を増強させる研究結果が報告されており、UV関連製品に酸化チタンとポリアクリル酸Naが併用されている場合は、この技術が使用されている可能性が考えられます(文献3:2010;文献4:2012)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1998年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ポリアクリル酸Naの配合製品数の調査結果(1998年)

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ポリアクリル酸Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ポリアクリル酸Naの現時点での安全性は、皮膚刺激性や眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データやレポートを参照し、一部を引用しています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Acrylates Copolymer and 33 Related Cosmetic Ingredients」(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者の前腕内側に未希釈のポリアクリル酸Naを飽和させた綿布を貼り付け、アルミニウムで覆い、48時間保持した。次いでパッチを除去し、その部位を検査し、さらにパッチ適用から2週間後に同様の手順を繰り返したところ、皮膚刺激および皮膚感作は観察されなかった(Finnegan and Dienna,1953a)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作は観察されなかったと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

補足として、ネットでもポリアクリル酸Naのアレルギー情報を調査したところ、食品添加物の情報サイトにおいて、ジャムなどに増粘剤として使用される食品添加物として粘膜を刺激する可能性のある物質と記載されているのをみかけましたが、信頼に足るエビデンスが不明のため、取り上げませんでした。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Acrylates Copolymer and 33 Related Cosmetic Ingredients」(文献1:2002)によると、

  • [動物試験] 13匹のウサギの片眼の結膜嚢にポリアクリル酸Na0.1ccを点眼し、10匹の眼はすすがず、3匹の眼はすすぎ、点眼1,2,3,4および7日後にDraize法に従って眼を検査したところ、最大許容濃度は眼をすすがない場合で13~20%、眼をすすいだ場合では20~30%であった(Finnegan and Dienna,1953b)
  • [動物試験] 刺激性閾値試験において5匹のウサギの片眼の結膜嚢に最大2%までのポリアクリル酸Naを点眼し、1時間後に浮腫、後半および分泌物の増加を調べたところ、5匹のうち3匹またはそれ以上で刺激を生じなかった(Finnegan and Dienna,1953c)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼に対する許容量は眼をすすがない場合で13~20%、眼をすすいだ場合で20~30%と報告されており、また2%濃度でほとんど眼刺激が生じなかったと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ポリアクリル酸Na

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ポリアクリル酸Naは■(∗1)となっていますが、これは合成ポリマーの共通判定であり、試験データおよび使用実績をみるかぎり、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ポリアクリル酸Naは安定化成分、表面処理剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分 表面処理剤

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Acrylates Copolymer and 33 Related Cosmetic Ingredients」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810290169800> 2018年5月20日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,p124-125.
  3. “ポーラ化成工業株式会社”(2010)「通常の1.5倍の紫外線防御予防効果を持つきしみ感・乾燥感をなくす紫外線散乱剤を開発」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/po22r057.pdf> 2018年7月26日アクセス.
  4. “ポーラ化成工業株式会社”(2012)「化粧持ちに優れた水性サンスクリーン剤の開発」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20120312-2.pdf> 2018年7月26日アクセス.

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