ポリアクリルアミドとは…成分効果と毒性を解説

増粘剤 安定化成分
ポリアクリルアミド
[化粧品成分表示名称]
・ポリアクリルアミド

[医薬部外品名]
・ポリアクリル酸アミド

アクリル酸アミドを重合させて得られる水溶性合成ポリマー(増粘剤)です。

化粧品として配合される場合は、増粘剤としてシャンプー、リンスなどのヘアケア製品に使用されるほか、乳化安定剤および粘度調整剤としてクリームなどの乳化製品にも使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2001-2002年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ポリアクリルアミドの配合製品数と配合量の調査結果(2001-2002年)

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ポリアクリルアミドの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ポリアクリルアミドの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

アクリルアミドが、国際機関によってヒトにおそらく発がん性がある物質と分類されていますが、ポリアクリルアミドには発がん性は認められていません。

化粧品原料会社のポリアクリルアミドによっては、未重合のアクリルアミドが含まれていることがあるとされていますが、およそ配合量はあまりに少なく、ポリアクリルアミド塗布での健康リスクも報告されていないため、やはり安全性に問題はないと考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyacrylamide」(文献1:1991)によると、

  • [動物試験] 5%ポリアクリルアミドを含む製剤の刺激性を評価したところ、塗布24時間で5%ポリアクリルアミドを含む製剤比較的良好な耐用性を示した(GUILLOT.J.P,1982a)
  • [動物試験] 6匹のウサギの皮膚に0.5~2%ポリアクリルアミドを含む溶液を24時間塗布したところ、試験した17のゲル化剤、ポリマーおよび増粘剤のうち2%濃度でポリアクリルアミドは最も刺激が少なかった(GUILLOT.J.P,1983)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激の報告はないため、皮膚刺激性は非刺激またはあったとしても最小限の刺激と考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Polyacrylamide」(文献1:1991)によると、

  • [動物試験] 1匹のウサギの右眼の結膜嚢にポリアクリルアミドを含む製剤を少量適用し、30秒後に眼を洗浄した。同じウサギの左眼の結膜嚢に同量のポリアクリルアミドを含む製剤を適用し、眼を洗浄しなかった。各眼が処置後すぐに観察し、さらに2~3分以内に再度観察したところ、角膜または結膜刺激の兆候はなかった。1時間後に洗浄していない眼で非常にわずかな結膜反応が観察されたが、処置24時間後で両眼は正常であった(DOW,1954)
  • [動物試験] ウサギの眼に5%ポリアクリルアミドを適用したところ、眼膜に有意な損傷を引き起こさなかった(GUILLOT.J.P,1982b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性の報告はないため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

安全性についての捕捉

ポリアクリルアミドは、アクリルアミドというひとつの分子が2つ以上結合して分子が大きくなった化合物ですが、アクリルアミドは、大量に食べたり、吸ったり、触れたりした場合に、神経障害を起こすことが確認されているほか、国際機関では、動物実験の結果から、ヒトにおそらく発がん性がある物質とアクリルアミドを分類しています(文献3:2018,文献4:2018)

また、スウェーデン食品庁とストックホルム大学は、揚げたり、焼いたりした馬鈴薯加工品(ポテトチップスやフライドポテトなど)などに、おそらく発がん性があるアクリルアミドが高濃度に含まれる可能性があることを、2002年に世界で初めて発表しています(文献3:2018,文献4:2018)

これらはアクリルアミドの発がん性の情報ですが、こういった情報をうけてポリアクリルアミドにも発がん性があるのではないかと思うかもしれませんが、ポリアクリルアミドは高分子で皮膚に浸透することはなく、2018年現在までで発がん性のリスク報告はありません。

ただし、化粧品原料会社が製造するポリアクリルアミドによっては、ポリアクリルアミド中に未重合のアクリルアミドが含まれることがあるとされており(文献5:2018)、その場合はポリアクリルアミド配合製品に微量のアクリルアミドも配合されていることになります。

とはいえ、疫学調査ではアクリルアミドの職業暴露による発がん性は認められておらず(文献4:2018)、またおよそ未重合アクリルアミドの配合量はあまりに少なく、ポリアクリルアミドの化粧品使用で健康リスクおよび健康被害の報告はみあたらないため、安全性に問題ないと考えていいのではないかと思います。

心情的にアクリルアミドを完全に避けたい場合は、一般消費者にはポリアクリルアミドにアクリルアミドが含まれているかどうかは判断する方法はないため、ポリアクリルアミドそのものを控えるしか方法がありません。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ポリアクリルアミド

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ポリアクリルアミドは■(∗1)となっていますが、これは合成ポリマーの共通判定であり、試験データをみるかぎりでは安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ポリアクリルアミドは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1991)「Final Report on the Safety Assessment of Polyacrylamide」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915819109078629
    > 2018年5月14日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2005)「Amended Final Report on the Safety Assessment of Polyacrylamide and Acrylamide Residues in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810590953842> 2018年5月14日アクセス.
  3. “農林水産省”(2018)「アクリルアミドとは何か」, <http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/about.html> 2018年5月14日アクセス.
  4. “農林水産省”(2018)「アクリルアミドの健康影響」, <http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/eikyo.html> 2018年5月14日アクセス.
  5. “日本食品分析センター”(2018)「食品及び化粧品のアクリルアミドのご案内」, <http://www.jfrl.or.jp/item/noxiousmatter/post-53.html> 2018年5月14日アクセス.

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