ポリアクリルアミドとは…成分効果と毒性を解説

増粘
ポリアクリルアミド
[化粧品成分表示名称]
・ポリアクリルアミド

[医薬部外品表示名称]
・ポリアクリル酸アミド

単量体(モノマー)であるアクリル酸アミドの重合体(∗1)であり、合成水溶性高分子(アクリル酸系ポリマー)です。

∗1 重合とは、複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になる反応のことをいい、単量体(モノマー)が結合して鎖状または網状になった化合物を重合体(ポリマー)といいます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、ヘアケア製品、日焼け止め製品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:1991;文献2:2005)

増粘

増粘に関しては、アクリル酸系ポリマーであることから優れた増粘を有しており、乳化剤であるラウレス-7および炭化水素である水添ポリイソブテンまたは(C13,14)イソパラフィン(∗2)を併用することで、あらゆる油相成分を乳化できるアクリル系乳化増粘剤として原料化されていることから(文献5:-)、主にアクリル系乳化増粘剤として汎用されています。

∗2 水添ポリイソブテンと(C13,14)イソパラフィンは表示名称が異なるだけで同様の成分であり、化粧品成分一覧に記載する際はどちらの表記でも記載できます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2001-2002年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ポリアクリルアミドの配合製品数と配合量の調査結果(2001-2002年)

スポンサーリンク

ポリアクリルアミドの安全性(刺激性・アレルギー)について

ポリアクリルアミドの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
  • 発がん性:リスク報告なし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1991)によると、

  • [動物試験] 5%ポリアクリルアミドを含む製剤の皮膚刺激性を評価したところ、塗布24時間で5%ポリアクリルアミドを含む製剤比較的良好な耐用性を示した(GUILLOT.J.P,1982)
  • [動物試験] 6匹のウサギの皮膚に0.5-2%ポリアクリルアミドを含む溶液を24時間塗布したところ、試験した17種類のゲル化剤、ポリマーおよび増粘剤のうち2%濃度でポリアクリルアミドは最も刺激が少なかった(GUILLOT.J.P,1983)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性なしと報告されていることから、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1991)によると、

  • [動物試験] 1匹のウサギの右眼の結膜嚢にポリアクリルアミドを含む製剤を少量適用し、30秒後に眼を洗浄した。同じウサギの左眼の結膜嚢に同量のポリアクリルアミドを含む製剤を適用し、眼を洗浄しなかった。各眼が処置後すぐに観察し、さらに2-3分以内に再度観察したところ、角膜または結膜刺激の兆候はなかった。1時間後に洗浄していない眼で非常にわずかな結膜反応が観察されたが、処置24時間後で両眼は正常であった(DOW,1954)
  • [動物試験] ウサギの眼に5%ポリアクリルアミドを適用したところ、眼膜に有意な損傷を引き起こさなかった(GUILLOT.J.P,1982)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

発がん性について

ポリアクリルアミドは、アクリルアミド分子が2つ以上結合して分子が大きくなった化合物です。

アクリルアミドは、大量に食べたり、吸ったり、触れたりした場合に神経障害を起こすことが確認されているほか、IARC(International Agency for Research on Cancer:国際がん研究機関)ではグループ2A(動物実験の結果からヒトにおそらく発がん性がある物質)に分類されています(文献3:2018,文献4:2018)

また、スウェーデン食品庁とストックホルム大学は、揚げたり、焼いたりした馬鈴薯加工品(ポテトチップスやフライドポテトなど)などに、おそらく発がん性があるアクリルアミドが高濃度に含まれる可能性があることを、2002年に世界で初めて発表しています(文献3:2018,文献4:2018)

こういった情報からポリアクリルアミドにも発がん性リスクの懸念が推測されるかもしれませんが、健康への影響および発がん性が問題となるのはあくまでも単量体(モノマー)のアクリルアミドのみであり、重合体(ポリマー)のポリアクリルアミドは、皮膚に浸透することはなく、2018年現在までで発がん性のリスク報告はありません。

∗∗∗

ポリアクリルアミドは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1991)「Final Report on the Safety Assessment of Polyacrylamide」International Journal of Toxicology(10)(1),193-203.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2005)「Amended Final Report on the Safety Assessment of Polyacrylamide and Acrylamide Residues in Cosmetics」International Journal of Toxicology(24)(2),21-50.
  3. 農林水産省(2018)「アクリルアミドとは何か」, <http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/about.html> 2018年5月14日アクセス.
  4. 農林水産省(2018)「アクリルアミドの健康影響」, <http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/eikyo.html> 2018年5月14日アクセス.
  5. SEPPIC(-)「SEPIGEL 305」技術資料.

スポンサーリンク

TOPへ