ペンテト酸5Naとは…成分効果と毒性を解説

キレート剤
ペンテト酸5Na
[化粧品成分表示名称]
・ペンテト酸5Na

[医薬部外品名]
・ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液

ジエチレントリアミンをホルムアルデヒドおよびシアン化水素またはシアン化ナトリウムと反応させた後にケン化させてつくられる淡黄色透明の液体で、カルシウムやマグネシウムなどの金属イオンと強く結びついて捕捉するキレート剤(金属イオン封鎖剤)です。

化粧品に配合される場合は、金属イオンによって界面活性効果などの性能が低下したり品質が低下してしまう石けん、染毛剤、ヘアカラー剤などに使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2002-2004年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ペンテト酸5Naの使用製品数と濃度(2002-2004年)

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ペンテト酸5Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ペンテト酸5Naの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、ノンコメドジェニックで、アレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Pentasodium」(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] 23人の被検者を用いて0.21%ペンテト酸5Naを含む化粧水とコントロール(無添加)との比較パッチテストを行ったところ、被験物質とコントロールの間に顕著な刺激性の差はなかった(CTFA,2001)
  • [ヒト試験] 29人の被検者に0.1177%ペンテト酸5Naを含む石けんの1.0%希釈液を2週間累積刺激パッチ試験を行ったところ、有意な皮膚刺激はなかった (TKL Research Inc.,2002a)
  • [ヒト試験] 33人の被検者に0.1177%ペンテト酸5Naを含む石けんの1.0%希釈液を21日間、毎日24時間ごとに貼り替える(金曜日のものは月曜日に貼り替える)累積刺激パッチ試験を行ったところ、中程度の累積刺激性があると結論づけた (TKL Research Inc.,2002b)
  • [ヒト試験] 23人の男性被検者に0.067%ペンテト酸5Naをのみ含有した石けんを14日間家庭で使用してもらったところ、紅斑や刺すような痛み、乾燥などはみられず、十分に使用に耐えうると結論づけられた(CTFA,2003)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して一次刺激性なしと報告されており、また累積刺激性は同じ条件で累積刺激性なしまたは中等の累積刺激性が報告されているため、一次刺激性はほとんどないと考えられますが、累積刺激性はデータ不足のため詳細不明です。

眼刺激性について

BASFの安全性データシート(文献2:2012)によると、

  • 眼刺激性なし

と記載されています。

眼刺激性のデータはBASFのものしか見つかりませんでしたが、眼刺激性なしという記載なので、眼刺激性を引き起こす可能性は低いと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Pentasodium」(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に事前テスト、誘導テスト、チャレンジテストの3段階の感作性テストを実施し、事前テストではペンテト酸5Naを0.1mL閉塞パッチで48時間貼り付けたところ、どの被検者も刺激や感作がなかった。誘導テストでは0.1%ペンテト酸5Naを含むファンデーション0.1mLを塗布した閉塞パッチを48時間貼り付け、刺激がなかった場合は10日間の休止期間を経てチャレンジテストに移行した。誘導テストまでの間、すべての被検者で皮膚感作や接触アレルギーの例がなかったため、0.1%ペンテト酸5Naを含むフェイシャルファンデーションは、検出可能な皮膚感作性を有さず、通常の使用条件において皮膚感作を引き起こす可能性はないと結論づけられた(Ivy Laboratories,1993)
  • [ヒト試験] 104名の被検者に0.1177%ペンテト酸5Naを含む石けんの1.0%水溶性希釈液を0.2mL含有する閉塞パッチを毎週月水金曜日合計9回適用したところ、69名にほとんど知覚できないレベルの応答(乾燥、軽度の浮腫、軽度の丘疹など)を示したが、これらのレベルは臨床的に意味のある刺激の証拠とはみなされないとし、ヒト感作性試験においては誘発されたアレルギー接触性皮膚炎の根拠はないと結論づけた(RCTS Inc.,2002)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に0.067%ペンテト酸5Naを含む石けん約0.2gを半閉鎖パッチに24時間、合計9回適用し48時間および72時間ごとに採点したところ、ペンテト酸5Naは皮膚感作剤でも刺激剤でもないと結論付けられた(Education & Research Foundation Inc.,2005)

と記載されています。

安全データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしという報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Pentasodium」(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に0.1177%ペンテト酸5Naを含む石けんの1.0%水性希釈液を塗布した閉塞パッチを48時間貼り付け、月水金に貼り替え合計12回繰り返したところ、ペンテト酸5Naは高いコメドジェニシティを生じないため、ノンコメドジェニックであると考えられた(RCTS Inc.,2002)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、コメドジェニシティを生じないと報告されているため、ノンコメドジェニック(∗2)であると考えられます。

∗2 ノンコメドジェニックというのは、ニキビの原因となるアクネ菌を増殖させる成分を含んでいないことを意味します。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ペンテト酸5Na

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ペンテト酸5Naは■(∗3)となっていますが、製品に配合されるキレート剤は製品自体の金属をキレートして製品の品質を落とさないよう配合されているため、人体に影響する配合量にはなっていないため、また試験データをみるかぎり、安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ペンテト酸5Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2008)「Final Report on the Safety Assessment of Pentasodium」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810802244546> 2017年9月28日アクセス.
  2. BASF(2012)「GPS Safety Summary」,<http://www.safety-summaries.basf.com/group/corporate/safety-summaries/de/literature-document:/GPS+Safety+Summaries–Pentasodium+DPTA-English.pdf> 2017年9月28日アクセス.

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