ペンテト酸5Naとは…成分効果と毒性を解説

キレート
ペンテト酸5Na
[化粧品成分表示名称]
・ペンテト酸5Na

[医薬部外品表示名称]
・ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、ジエチレントリアミン5酢酸5Na液

ジエチレントリアミン五酢酸(diethylene triamine penta-acetic acid:ペンテト酸)の五ナトリウム塩です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、洗浄製品、洗顔料&洗顔石鹸、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品などに使用されています(文献1:2008)

製品自体のキレート作用

製品自体のキレート作用に関しては、まず前提知識として化粧品における金属イオンの働きおよびキレート作用について解説します。

金属イオンは、化粧品成分の酸化を促進し、変臭や変色の原因となったり、透明系の化粧品に濁りや沈殿を生じさせたりするなど、化粧品の品質劣化の原因となったり、また効能成分の作用を阻害することがあるため(文献2:2006)、製品中の金属イオンの働きを抑制(封鎖)する目的でキレート剤が配合されます。

硬水など金属イオンを豊富に含む水で石鹸を使用すると、硬水に含まれるカルシウムイオンの作用で水に溶けず洗浄力のないカルシウム石鹸(金属石鹸)ができますが、ペンテト酸5Naはカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの陽イオンをキレートする作用を有しているため、石鹸の金属石鹸化を防止し、石鹸の起泡性を維持することが期待できるため、洗浄製品や石鹸などに配合されます(文献1:2008)

ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液(ジエチレントリアミン5酢酸5Na液)は医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量 その他
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 0.20 ジエチレントリアミン五酢酸として
育毛剤 0.10
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 0.10
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 0.10
染毛剤 ジエチレントリアミン五酢酸及びジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液をジエチレントリアミン五酢酸に換算して、ジエチレントリアミン五酢酸の合計として0.5
パーマネント・ウェーブ用剤 ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム及びジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液をジエチレントリアミン五酢酸に換算して、ジエチレントリアミン五酢酸の合計として0.5

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2002-2004年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ペンテト酸5Naの使用製品数と濃度(2002-2004年)

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ペンテト酸5Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

ペンテト酸5Naの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚累積刺激性:詳細不明
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性:ほとんどなし
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし

このような結果となっており、配合上限濃度以下および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] 23人の被検者を用いて0.21%ペンテト酸5Naを含む化粧水をパッチテストしたところ、被験物質と陰性対照との間に顕著な刺激性の差はなかった(CTFA,2001)
  • [ヒト試験] 29人の被検者に0.1177%ペンテト酸5Naを含む石けんの1.0%希釈液を対象に2週間累積刺激パッチ試験を行ったところ、有意な累積皮膚刺激はなかった (TKL Research Inc,2002)
  • [ヒト試験] 33人の被検者に0.1177%ペンテト酸5Naを含む石けんの1.0%希釈液を対象に21日間累積刺激性試験を実施したところ、中程度の累積刺激性があると結論づけた (TKL Research Inc,2002)
  • [ヒト試験] 23人の被検者に0.067%ペンテト酸5Naを含有した石けんを14日間家庭で使用してもらったところ、紅斑や刺すような痛み、乾燥などはみられず、十分に使用に耐えうると結論づけられた(CTFA,2003)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に事前テスト、誘導テスト、チャレンジテストの3段階の感作性テストを実施した。事前テストではペンテト酸5Na0.1mLを48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった。誘導テストでは0.1%ペンテト酸5Naを含むファンデーション0.1mLを48時間閉塞パッチ適用し、刺激がなかった場合は10日間の休止期間を設けた後にチャレンジテストに移行した。誘導テストにおいてすべての被検者は皮膚刺激および皮膚感作を示さなかったため、0.1%ペンテト酸5Naを含むフェイシャルファンデーションは、通常の使用条件において皮膚感作を引き起こす可能性はないと結論づけられた(Ivy Laboratories,1993)
  • [ヒト試験] 104人の被検者に0.1177%ペンテト酸5Naを含む石けんの1.0%水溶性希釈液0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、69人の被検者にほとんど知覚できないレベルの反応(乾燥、軽度の浮腫、軽度の丘疹など)が観察されたが、これらの反応は臨床的に意味のある刺激の証拠とはみなされず、接触性皮膚感作を示す根拠はないと結論づけた(RCTS Inc,2002)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に0.067%ペンテト酸5Naを含む石けん約0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、ペンテト酸5Naは皮膚感作剤でも刺激剤でもないと結論付けられた(Education & Research Foundation Inc,2005)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

ただし、皮膚累積刺激性に関しては、期間の違いはあれど同じ試験物質および同濃度で刺激性なしと中程度の刺激性が報告されていますが、リンスオフ製品であり、洗い流すことが前提であるため、使用に問題はないと考えられます。

眼刺激性について

化粧品配合量における試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に0.1177%ペンテト酸5Naを含む石けんの1.0%水性希釈液を週3回4週間にわたって合計12回、48時間閉塞パッチ適用し、コメドジェニシティを評価したところ、ペンテト酸5Naは高いコメドジェニシティを生じないため、ノンコメドジェニックであると考えられた(RCTS Inc,2002)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、アクネ菌増殖性なしと報告されているため、アクネ菌増殖性はほとんどないと考えられます。

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ペンテト酸5Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2008)「Final Report on the Safety Assessment of Pentasodium Pentetate and Pentetic Acid as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(27)(2),71-92.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「金属イオン封鎖剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,476-480.

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