ペクチンとは…成分効果と毒性を解説


・ペクチン
[医薬部外品表示名称]
・ペクチン
主にミカン科植物・柑橘類(学名:Citrus fruit)またはバラ科植物リンゴ(学名:Malus pumila)の果実の細胞膜から得られる、化学構造的にD-ガラクツロン酸が鎖状にα-1,4結合したガラクツロナンを主成分とした水溶性の複合多糖類(果実粘質物:植物系水溶性高分子)です。
分子量はおよそ5万-36万と言われています(文献3:-)。
ペクチンは酸性食品にも使用できることから、主に食品分野でジャム、チョコレート、糖菓類、ゼリーなどに増粘安定目的で、また乳タンパク安定剤としてヨーグルト飲料などに使用されています(文献2:2016;文献3:-)。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、スキンケア化粧品、ピーリング化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:2015)。
増粘・ゲル化
増粘・ゲル化に関しては、ペクチンは化学構造的にガラクツロン酸のメチルエステル化の度合いによって、メトキシル基7%以上の高メトキシルペクチン(HMペクチン)とメトキシル基7%以下の低メトキシルペクチン(LMペクチン)に分類され、それぞれ以下の表のように、
HMペクチン | LMペクチン | |
---|---|---|
ゲル化に関与する因子 | 糖度55%以上かつpH3.5以下 | カルシウムイオンの存在下 |
ゲル化性 | 弾力のあるゲル | 柔らかいゲル |
ゲル化条件およびゲルの性質が異なります(文献3:-;文献4:-)。
ペクチンは他の多糖類と比較して粘度が低いですが、耐酸性に優れており(文献4:-)、酸性にも使用できることから、スキンケア化粧品をはじめ、ピーリングジェル製品またはピーリングパック製品のゲル化にも使用されます。
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
ペクチンの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
食品にも使用されており、古くからの使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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ペクチンは安定化成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:安定化成分
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文献一覧:
- Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Polysaccharide Gums as Used in Cosmetics」Final Report.
- 日光ケミカルズ(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブック,106-134.
- “多糖類.com”(-)「ペクチン」, <https://www.tatourui.com/about/type/05_pectin.html> 2019年5月28日アクセス.
- 三唱株式会社(-)「ペクチンとは」, <http://sansho.co.jp/find/polthknr/pectin/> 2019年5月28日アクセス.
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