ベントナイトとは…成分効果と毒性を解説



・ベントナイト
[医薬部外品表示名称]
・ベントナイト
天然のコロイド状含水ケイ酸アルミニウムであり、粘土鉱物のスメクタイト(∗1)に分類される分子量360.31のモンモリロナイト鉱物を主成分とする粘土鉱物です(文献1:2020)。
∗1 体積の数十倍に水を吸収して膨らむ(膨潤する)機能を有する粘土鉱物のグループをスメクタイトといいます。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的でネイル製品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、パック&マスク製品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、洗顔石鹸などに使用されています。
ゲル化による親水性増粘
ゲル化による親水性増粘に関しては、ベントナイトはスメクタイトの一般特性である水和と膨潤性に優れており、水を抱えてゲル化することから(文献3:2012)、増粘による顔料分散性の向上、乳化安定化、展延性(∗2)の改良目的でアイライナー、マスカラ、洗顔料、ボディケア製品、化粧水、フェイスクリームなどに使用されています。
∗2 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。
スメクタイトの水和と膨潤性のメカニズムは、モンモリロナイトは水と接触すると、層間の交換性陽イオンに水分子が次々に水和することから水和性に優れ、水和によって結晶の底面同士の間隔である底面間隔が増加することで膨潤するというものです(文献2:2007)。
皮脂の吸着
皮脂の吸着に関しては、ベントナイトは皮膚の上に塗布することにより、皮脂腺由来脂質(皮脂)を特異的に吸着することが明らかにされており、クレイパック、洗顔料、洗顔石鹸などに使用されています(文献4:1987)。
皮膚には、スクワレン、ワックスおよびトリグリセリドなどの皮脂腺由来脂質と脂肪酸、コレステロールおよびコレステロールエステルなどの表皮細胞由来脂質が存在しますが、ベントナイトは主にトリグリセリド、ワックスの大部分を除去し、その他の脂質はほとんど除去しないことが報告されています(文献5:1985)。
実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1998-1999年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
ベントナイトの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
医薬部外品原料規格2006に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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ベントナイトは安定化成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:安定化成分
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文献一覧:
- “Pubchem”(2020)「Montmorillonite」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Bentolite> 2020年1月16日アクセス.
- 鬼形 正伸(2007)「ベントナイトの特性とその応用」粘土科学(46)(2),131-138.
- 鈴木 一成(2012)「ベントナイト」化粧品成分用語事典2012,542.
- 有沢 正俊(1987)「身体洗浄剤の最近の技術動向」繊維製品消費科学(28)(10),402-408.
- 芋川 玄爾(1985)「洗顔と洗顔料について-皮膚の生理と安全性」Fragrance Journal(13)(5),38-47.
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