ベンザルコニウムクロリドとは…成分効果と毒性を解説

防腐剤
ベンザルコニウムクロリド
[化粧品成分表示名称]
・ベンザルコニウムクロリド

[医薬部外品表示名称]
・塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム液

塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物で、洗浄力はほとんどなく、強い殺菌力を有するため殺菌や防腐目的で使用される逆性石ケン(∗1)の代表成分でもある白色~淡黄色の無晶性粉末またはゼラチン状の小さな塊のカチオン界面活性剤(陽イオン界面活性剤)です。

∗1 逆性石ケンとは、一般の石ケンは水に溶けると陰イオンになるのですが、逆性石ケンは水中で陽イオンになり、石ケンと逆の性質を持つことに由来する呼び名で、逆性石ケンは石ケンのような洗浄力はなく、細菌に対する除菌や殺菌目的で使用されます。

化粧品に配合される場合は、ポイントメイクリムーバー、シャンプー、トニックなどに配合され、また陽イオン界面活性剤なので柔軟効果や帯電防止効果もあることからリンスにも配合されます。

ベンザルコニウムクロリドは毒性や皮膚刺激性があることから配合規制があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 配合上限なし
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 0.05g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 0.05g/100g

実際の配合製品数や配合量の範囲は、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ベンザルコニウムクロリドの配合製品数と配合量の比較調査

調査結果をみる限り、海外の洗浄製品でも0.1%以下の配合となっているようです。

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ベンザルコニウムクロリドの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ベンザルコニウムクロリドの現時点での安全性は、配合規制の範囲内において、健康な皮膚では皮膚刺激性および眼刺激性もほとんどありませんが、アレルギー性皮膚炎の原因物質であり、皮膚感作物質として海外のリストにも掲載されているため、安全性の低い成分であると考えられます。

また、アレルギーやアレルギー性皮膚炎および皮膚炎を有している方は皮膚刺激が起こる可能性があります。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Benzal konium Chloride」(文献1:1989)によると、

  • [ヒト試験] 399人の皮膚炎患者に64ヶ月にわたって様々な化粧品成分でパッチテストを行ったところ、10%ベンザルコニウムクロリド水溶液で13人の患者に一次刺激性が観察された
  • [ヒト試験] 55人の患者に0.1%,0.5%,1%,2%の4つの濃度のベンザルコニウムクロリドを同時に48時間閉塞パッチ適用したところ、0.5%,1%および2%濃度で重度の膿疱性および/または水疱性反応が26例報告された
  • [ヒト試験] 5人の被検者の腹部で2.5%および5%ベンザルコニウムクロリド水溶液を12時間適用したところ、紅斑および浮腫が確認されたが、0.5%ベンザルコニウムクロリド水溶液の適用後に反応は認められなかった
  • [ヒト試験] 健康な成人男性被検者(人数記載なし)の背中上部にヒト表皮有糸分裂に対する1%および5%ベンザルコニウムクロリドを1日間隔で4日間にわたって適用したところ、1%ベンザルモニウムクロリドは有糸分裂に影響を与えなかったが、5%ベンザルコニウムクロリドは有糸分裂指数の10倍の増加を誘導し、約72時間でピークに達した。有糸分裂の増加には激しい紅斑およびときおり浮腫が伴った
  • [ヒト試験] 200人の被検者(16~29歳)の右上腕の外側に0.5%ベンザルコニウムクロリド水溶液をパッチ48時間適用し、パッチ除去24時間後に0~6のスケールで反応を採点したところ、平均刺激スコア3(紅斑)が報告された
  • [ヒト試験] 10人の被検者(18~59歳)の背中に0.1%ベンザルコニウムクロリドを含むクリーム0.2mLを23時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に部位を洗浄し1時間後に反応を評価した。この手順を21日間連続で同じ部位に繰り返したところ、累積刺激スコアの尺度は0~630のうち合計刺激スコアは20であり、本質的に累積刺激の兆候はないと解釈された

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた試験で腐食性との結果(EPA RED,2006)、さらに、ウサギおよびモルモットに水溶液を適用した試験では、1%以上の濃度で壊死が観察されたとの報告(HSDB,2010)があり、GHS分類で区分1(重度の皮膚刺激性)に分類された

と記載されています。

試験はどれも濃度が高いもので皮膚刺激がありますが、ベンザルコニウムクロリドは洗い流し製品は配合上限なし、洗い流さない製品は配合規制のため0.05%までしか配合できないため、配合上限の範囲内においては皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

ただし、アレルギー、アレルギー性皮膚炎、湿疹を有している方は皮膚刺激が起こりやすいため、健康な皮膚の方よりも皮膚刺激が起こる可能性が高くなるので注意が必要です。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Benzal konium Chloride」(文献1:1989)によると、

  • [ヒト試験] 51人の被検者の片眼に0.02%ベンザルコニウムクロリド食塩水を、他方の眼には生理食塩水を点眼し、眼の感触を尋ねたところ、14人が0.02%ベンザルコニウムクロリド食塩水で処理した眼に刺激を感じ、14人のうち10人は生理食塩水で処理した眼にも刺激を感じた。眼刺激の臨床的証拠は、ベンザルコニウムクロリド溶液で処理した1人の被検者のわずかな結膜充血だけであった
  • [ヒト試験] 10人の被検者の片眼にベンザルコニウムクロリド(0.1mg/mL)を含む点眼液1滴を1日2回2週間にわたって点眼したところ、治療期間の前後に細胞モザイクに異常は認められなかった

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギ3匹の結膜嚢に本物質10%液を0.1 mL適用した試験(OECD TG 405; GLP)において、各動物とも角膜、虹彩および結膜に重度の傷害を引き起こし、角膜と虹彩については21日後の観察期間終了時まで重度の傷害が持続し、MMAS(刺激性スコア:AOIに相当)が108(最大値110に対し)であった(ECETOC 48,1998)との報告があり、GHS分類で区分1(重度の眼刺激性)に分類された

と記載されています。

ベンザルコニウムクロリドは配合規制で粘膜に使用される製品への配合上限は0.05%までであり、試験結果によると、0.1mg/mLおよび0.02%濃度でほとんど目に見える刺激は観察されていないため、配合制限の範囲内において眼刺激はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Benzal konium Chloride」(文献1:1989)によると、

  • [ヒト試験] 399人の皮膚炎患者に64ヶ月にわたって様々な化粧品成分でパッチテストを行ったところ、ベンザルコニウムクロリドで2人の患者に皮膚反応が観察された
  • [ヒト試験] ベンザルコニウムクロリドを含む様々な製剤で3ヶ月以上結膜炎を受けた100人の患者に0.07%ベンザルコニウムクロリド水溶液でパッチ試験を行ったところ、6人が48および72時間で陽性反応を示した。次にその6人の患者に0.05%,0.025%,0.01%および0.005%濃度で試験したところ、6人すべての患者が0.05%,0.025%,0.01%ベンザルコニウムクロリドに対して陽性反応を示し、2人は0.005%に対しても陽性反応を示した
  • [ヒト試験] 湿疹のある2,806人の患者に0.1%ベンザルコニウムクロリドを含むワセリンをパッチ適用し、48および96時間後に皮膚反応を評価したところ、66人の患者(2.13%)がベンザルコニウムクロリドに感作性があった
  • [ヒト試験] 少なくとも3ヶ月以上の慢性外耳炎の患者142人の背中に0.1%ベンザルコニウムクロリドを24時間チャンバー適用し、適用後2,4および7日後に評価したところ、適用の2日後に観察された浮腫性または浮腫性および湿潤性または小胞状の反応がアレルギー反応とみなされ、142人のうち9人(6.3%)がアレルギー反応を誘発した
  • [ヒト試験] 8人のうち3人の患者がベンザルコニウムクロリドを含むレンズ溶液に浸したコンタクトレンズを着用した後にアレルギー性結膜炎を経験した。3人の患者は0.1%ベンザルコニウムクロリド溶液のパッチテスト適用48時間で陽性反応を示した
  • [ヒト試験] 150人の被検者(18~65歳)の背中に誘導期間として0.13%ベンザルコニウムクロリドを含む保湿クリームを24時間閉塞パッチで月水金の週3回3週間連続適用し、2週間の無処置期間を経て2つのチャレンジパッチを同じ部位と隣接する未処置部位に48時間適用し、パッチ適用の48および96時間後に評価したところ、陽性反応は観察されなかった。また同様の手順および同様の濃度のベンザルコニウムクロリドを含む保湿クリームで155人の被検者に適用した場合も陽性反応を誘発しなかった

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2012)によると、

  • [ヒト試験] 2人の医師が本物質を含む消毒液に浸した器具を扱うことによりベンザルコニウムクロリドに感作され、本物質を含む目薬によりアレルギー性結膜炎を発症したとの報告(PIM G022,1999)、また、ベンザルコニウムクロリドはアレルギー性皮膚炎の原因とされており、ベンザルコニウムクロリドを含む皮膚軟化薬の使用歴を有し、屈面性湿疹を発症した6人の患者全てがパッチテストによりⅣ型アレルギーであったことが判明したとの報告(HSDB,2010)がある。さらに本物質は感作性物質として「Contact Dermatitis (Frosch)(4th, 2006)」(List1相当)に掲載されており、GHS分類では区分1(強い皮膚感作性)に分類された

と記載されています。

厚生労働省の安全性データシートでは、ベンザルコニウムクロリドはアレルギー性皮膚炎の原因とされており、また感作性物質としてリストにお掲載されているため、強い皮膚感作性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ベンザルコニウムクロリド ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ベンザルコニウムクロリドは■■(∗3)となっていますが、界面活性剤はすべて同じ判定となっています。

ただし、感作性が強く、国内ではあまり使用されていないため、判定に妥当性はあります。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ベンザルコニウムクロリドは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1989)「Final Report on the Safety Assessment of Benzal konium Chloride」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818909010524> 2017年11月28日アクセス.
  2. “職場のあんぜんサイト”(2012)「安全データシート 塩化ベンザルコニウム」,<http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/8001-54-5.html> 2017年11月28日アクセス.

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