ヘクトライトとは…成分効果と毒性を解説

増粘
ヘクトライト
[化粧品成分表示名称]
・ヘクトライト

[医薬部外品表示名称]
・ヘクトライト

化学構造的にコロイド状含水ケイ酸アルミニウムマグネシウムであり、粘土鉱物のスメクタイト(∗1)に分類される分子量360.6のモンモリロナイト鉱物(∗2)です(文献2:2020)

∗1 体積の数十倍に水を吸収して膨らむ(膨潤する)機能を有する粘土鉱物のグループをスメクタイトといいます。

∗2 モンモリロナイトはベントナイトの主成分です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でネイル製品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディケア製品、洗顔料、クレンジング製品などに使用されています。

ゲル化による親水性増粘

ゲル化による親水性増粘に関しては、ヘクトライトはスメクタイトの一般特性である水和と膨潤性に優れており(文献3:1997)、水を抱えてゲル化することから(文献4:2012)、アイライナー、アイブロー、マスカラ、クレンジング、洗顔料、ボディケア製品、ネイルケア製品などに使用されています。

スメクタイトの水和と膨潤性のメカニズムは、モンモリロナイトは水と接触すると、層間の交換性陽イオンに水分子が次々に水和することから水和性に優れ、水和によって結晶の底面同士の間隔である底面間隔が増加することで膨潤するというものです(文献5:2007)

また、振るとゲル状から液状になるチキソトロピー性(∗3)を有していることから、スプレー式の制汗剤にも使用されています。

∗3 チキソトロピー性とは、混ぜたり振ったり、力を加えることで粘度が下がり、また時間の経過とともに元の粘度に戻る現象をいいます。よく例に出されるのはペンキで、ペンキは塗る前によくかき混ぜることで粘度が下がり、はけなどで塗りやすくなります。そしてペンキは塗られた直後に粘度が上がり(元に戻り)、垂れずに乾燥します。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1998-1999年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ヘクトライトの配合製品数と配合量の調査結果(1998-1999年)

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ヘクトライトの安全性(刺激性・アレルギー)について

ヘクトライトの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性(洗眼した場合):ほとんどなし
  • 眼刺激性(非洗眼の場合):中程度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2003)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚2箇所にヘクトライト0.5mLまたは0.5gを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去30分および72時間後に皮膚刺激性を評価したところ、皮膚刺激スコアは0であり、ヘクトライトはウサギの皮膚に対して非刺激性であった(Food and Drug Research Labs Inc,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2003)によると、

  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼にヘクトライト0.1mLまたは半個体100mgを適用し、6匹は眼をすすがず、3匹は約4秒間眼をすすぎ、適用24,48および72時間および7日後に眼刺激性を評価したところ、24時間で平均眼刺激スコアは2.0であり、その後のスコアは0.0であった。ヘクトライトは非洗眼の場合は中程度の眼刺激性であり、洗眼した場合は実質的に非刺激性であると考えられた(Food and Drug Research Labs Inc,1981)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-中程度の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は洗眼した場合にほとんどなく、非洗眼の場合に中程度までの眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

ヘクトライトは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2003)「Final Report on the Safety Assessment of Aluminum Silicate, Calcium Silicate, Magnesium Aluminum Silicate, Magnesium Silicate, Magnesium Trisilicate, Sodium Magnesium Silicate, Zirconium Silicate, Attapulgite, Bentonite, Fuller’s Earth, Hectorite, Kaolin, Lithium Magnesium Silicate, Lithium Magnesium Sodium Silicate, Montmorillonite, Pyrophyllite, and Zeolite」International Journal of Toxicology(22)(1_Suppl),37-102.
  2. “Pubchem”(2020)「Hectorite」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Hectorite> 2020年1月16日アクセス.
  3. 東 正治, 他(1997)「ヘクトライト水熱合成を利用した高温地熱貯留層用ゲル化剤の閉塞作用」資源と素材(113)(1),61-65.
  4. 鈴木 一成(2012)「ヘクトライト」化粧品成分用語事典2012,543.
  5. 鬼形 正伸(2007)「ベントナイトの特性とその応用」粘土科学(46)(2),131-138.

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