ブチルパラベンとは…成分効果と毒性を解説

防腐剤
ブチルパラベン
[化粧品成分表示名称]
・ブチルパラベン

[医薬部外品名]
・パラオキシ安息香酸ブチル

[慣用名]
・パラベン

ブチルパラベンは、パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)の一種で、非常に広範囲の微生物に殺菌力をもっている無色の結晶または白色の結晶性粉末で、水にはほとんど溶けない油溶性の防腐剤(抗菌剤)です。

主要なパラベン類では、ブチル>プロピル>エチル>メチルの順番で抗菌性が高く、パラベン類ではメチルパラベンが最も安全性が高く刺激も少ないため、防腐剤の中で最も使用されるのがメチルパラベンですが、メチルパラベンでは抗菌しにくい菌もあるため、メチルパラベンが苦手な菌には他のパラベンを併用することでパラベンの配合量を増やすことなく効果的な防腐(抗菌)が可能になります。

参考:メチルパラベンの成分効果と毒性を解説

他のパラベンというとエチル、プロピル、ブチルになり、これらは併用することで抗菌効果が相乗効果的に高くなり、なおかつパラベンの総配合量を減らすことができるのでセットで使用されますが、ブチルパラベンはパラベン類の中では抗菌性が最も高いため、使用されないケースも増えてきています。

ブチルパラベンは配合上限が1.0%までに定められていますが、化粧品業界としてもパラベンを含めた防腐剤の配合量をできるだけ減らそうと努力していることもあり、メチルパラベンを軸にし、プロピルパラベンやエチルパラベンと併用することでブチルパラベンの配合量は年々減ってきています。

では、実際にどれくらいの量が配合されているのかというと、2003年に国立医薬品食品衛生研究所報告に掲載された「市販化粧水中のフェノキシエタノールおよびパラベン類の分析法に関する研究」によると、国内42製品の化粧水のフェノキシエタノールとパラベンの配合量を調査したところ、以下のような数字になっています(文献1:2003)

化粧水中のパラベンとフェノキシエタノールの配合量

パラベン類で最も安全性が高く広く使用されているメチルパラベンをメインに配合し、エチルパラベンやプロピルパラベンと併合することで、ブチルパラベンの量は平均として0.013%、最大でも0.051%ほどの微量に抑えられていることがわかると思います。

また、配合量が以前に比べてどれくらい減ってきたのかというと、”Cosmetic Ingredient Review”の「Asswssment of Parabens as Used in Cosmetic」というパラベンの安全性評価レポートの調査では、2003年と2016年でのブチルパラベンの配合量の推移が明らかになっています(文献2:2017)

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

2017年までのブチルパラベンの配合状況の調査結果

最大配合量は増えているもののありますが、最小配合量は格段に減っており、また配合製品数は増えているので、化粧品業界や洗浄業界の共通認識として、配合量を減らすよう工夫することで安全性を向上させた結果、より多くの製品に配合されているのがわかると思います。

また、日本では主要なパラベン(∗1)の配合上限は1.0%までですが、ヨーロッパではより厳格な規定になっており、メチルおよびエチルパラベンは個々で0.4%以下、またはその合計量で0.8%以下となっており、プロピルおよびブチルパラベンについては単体または合計で0.19%以下に規定されています(文献3:2011)

∗1 主要なパラベンとは、メチル、エチル、プロピル、ブチルを指します。

これはブチルパラベンとプロピルパラベンがメチルおよびエチルパラベンよりも刺激性が高いことを意味しており、そういった背景からパラベン類を併合する際にブチルパラベンを使用しないものも増えているのだと考えられます。

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ブチルパラベンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ブチルパラベンの現時点での安全性は、パラベン類の中では抗菌性が最も高いため刺激につながりやすいのですが、化粧品使用上限範囲において皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギ-反応(皮膚感作)の起こる可能性も低く、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、バリア機能の壊れた皮膚、慢性皮膚炎、ダメージのある皮膚の方はごくまれにアレルギー反応(皮膚感作)が起こる可能性があります。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」(文献2:1984)によると、

  • [ヒト試験] パラベンは実際のところ健常なヒト皮膚にとっては非刺激性であり、実際に0.1%~0.8%のパラベンを1つまたは2つ含む製剤における皮膚刺激性テストにおいて、皮膚刺激性のある証拠は示されなかった

米山薬品工業株式会社の安全性データシート(文献5:2012)によると、

  • [動物試験] 米山薬品工業株式会社の安全性データシートによると、モルモットを用いて5%ブチルパラベン溶液を48時間適用したところ、軽度の皮膚刺激性あり(MILD)

と記載されています。

5%溶液は化粧品使用規定を超えているため参考にはせず、一方で0.1~0.8%では皮膚刺激性は示されなかったというデータがあるため、化粧品使用規定の範囲内において皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」(文献2:1984)によると、

  • 0.1-0.8%ブチルパラベン溶液を含む調剤は一過性の眼刺激性または最小限の眼刺激性も示さなかった

昭和化学の安全性データシート(文献4:2014)によると、

  • 眼に入ると軽度の刺激性あり(区分2B)

と記載されています。

昭和化学の安全データには詳細な記載がなく99%溶液の点眼である可能性もあり、一方で0.1-0.8%溶液を含む調剤では眼刺激性がなかったという記載があるため、眼刺激性が起こる可能性は低いと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」(文献2:1984)によると、

  • [ヒト試験] パラベンは実際のところ健常なヒト皮膚にとっては非刺激性であり、実際に0.1%~0.8%のパラベンを1つまたは2つ含む製剤における皮膚感作性テストにおいて、皮膚感作性のある証拠は示されなかった
  • パラベンによる皮膚感作はとくに皮膚バリアの壊れた肌やダメージのある肌などで起こる

と記載されています。

安全性データとしてはパラベン共通のデータですが、健常な皮膚において皮膚感作性はなく、またバリア機能の壊れた皮膚、慢性的な皮膚炎、ダメージのある皮膚などでは皮膚感作が起こる可能性がありますが、実際に重大なアレルギー報告もないため、アレルギー反応(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ブチルパラベン
2~3種類セットで

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ブチルパラベンは数種類の併用で■(∗3)となっており、併用することでやや毒性ありという判定ですが、これはすでに解説してきたように個々の化粧品や洗浄剤に対する配合量で変わってくると思われます。

つまり、併用していても総配合量が微量であれば毒性はほとんどないと考えられますし、配合量が使用上限近くに達すれば、やや毒性ありという判定にもなりえます。

実際に個々の化粧品や洗浄剤のパラベン配合量を知ることはできませんが、全体的に配合量は減少してきており、近年にいたっては毒性を心配する製品も減少傾向になっています。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ブチルパラベンは安定化成分にカテゴライズされています。

他のパラベンは以下よりお読みください。

参考:メチルパラベン プロピルパラベン エチルパラベン

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 徳永裕司,竹内織恵,高玲華,内野正,安藤正典(2003)「市販化粧水中のフェノキシエタノールおよびパラベン類の分析法に関する研究」国立医薬品食品衛生研究所報告(121),pp25-29.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818409021274> 2017年9月23日アクセス.
  3. 鈴木淳子,中村義昭,伊藤弘一,横山敏郎,栗田雅行,中江大(2011)「化粧品中の防腐剤であるパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)の濃度」, <http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/journal/2011/pdf/01-14.pdf> 2017年9月24日アクセス.
  4. 昭和化学株式会社(2014)「安全データシート」, <http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/02181250.pdf> 2017年9月24日アクセス.
  5. 米山薬品工業株式会社(2012)「安全データシート」, <http://www.yone-yama.co.jp/shiyaku/msds/pdfdata/FB0166.pdf> 2017年9月24日アクセス.

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