フィチン酸Naとは…成分効果と毒性を解説

キレート
フィチン酸Na
[化粧品成分表示名称]
・フィチン酸Na

フィチン酸にナトリウム塩を反応させた疎水性(水に溶けにくい)のフィチン酸ナトリウム塩です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、洗浄製品、洗顔料&洗顔石鹸、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品などに使用されています(文献1:2018)

製品自体のキレート作用

製品自体のキレート作用に関しては、まず前提知識として化粧品における金属イオンの働きおよびキレート作用について解説します。

金属イオンは、化粧品成分の酸化を促進し、変臭や変色の原因となったり、透明系の化粧品に濁りや沈殿を生じさせたりするなど、化粧品の品質劣化の原因となったり、また効能成分の作用を阻害することがあるため(文献2:2006)、製品中の金属イオンの働きを抑制(封鎖)する目的でキレート剤が配合されます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2017-2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

フィチン酸Naの使用製品数と濃度(2017-2018年)

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フィチン酸Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

フィチン酸Naの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、配合上限濃度以下および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 22人の被検者に0.49%フィチン酸Naを含むクリームを48時間半閉塞パッチ適用したところ、いずれの被検者も実質的に皮膚刺激性を示さなかった(Anonymous,2018)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に50%フィチン酸Naを処理し、眼粘膜刺激性を評価したところ、眼刺激性は非刺激性-最小限と予測された(MB Research Laboratories,2009)
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に0.49%フィチン酸Naを含むクリームを処理し、眼粘膜刺激性を評価したところ、眼刺激性はないと予測された(Anonymous,2018)
  • [in vitro試験] 畜牛の眼球から摘出した角膜を用いて、角膜表面に2%フィチン酸Na水溶液を処理した後、角膜の濁度ならびに透過性の変化量を定量的に測定したところ(BCOP法)、角膜への影響は観察されず、試験物質は非腐食性および非刺激性であると予測された(Laus GmbH,2018)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、2%フィチン酸Naを含む試験物質を処理したところ(HET-CAM法)、刺激値は0であり、非刺激性であると予測された(L Labor,2018)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 25人の健康な被検者に1%フィチン酸Naを含む製品0.05mLを対象にMaximization皮膚感作性試験を閉塞パッチにて実施したところ、チャレンジパッチ適用48および72時間後でアレルギー性接触性皮膚感作の兆候はみられず、この製品は検出可能な接触感作性をもっていませんでした(KGL Inc,2009)
  • [ヒト試験] 106人の被検者に0.19%フィチン酸Naを含む口紅を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、製品の連用において重大な皮膚刺激はみられず、チャレンジパッチにおいても皮膚感作性はみられなかった (Anonymous,2012)
  • [ヒト試験] 112人の被検者に0.1%フィチン酸Naを含むリーブオン製品0.02mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性は陰性であった (Personal Care Products Council,2018)
  • [ヒト試験] 111人の被検者に0.0005%フィチン酸Naを含むリンスオフ製品0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において2人の被検者に±のわずかな反応が観察されたが、チャレンジ期間では皮膚反応は観察されず、皮膚感作性は陰性であった (Personal Care Products Council,2018)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

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フィチン酸Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Polyol Phosphates as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「金属イオン封鎖剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,476-480.

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