ヒノキチオールとは…成分効果と毒性を解説

防腐剤 抗菌成分
ヒノキチオール
[化粧品成分表示名称]
・ヒノキチオール

[医薬部外品表示名称]
・ヒノキチオール

ヒノキ科植物タイワンヒノキや青森ヒバの樹皮などから抽出、精製して得られるアルコール類に溶けやすくヒバ特有の香気をもつ白色~黄色の結晶または結晶性の粉末です。

抗菌力が強く、防腐剤として皮膚細胞や毛母細胞への刺激も強いので、ニキビケア化粧品やフケ、かゆみの防止、育毛目的でヘアケア製品などに使用されます。

抗菌力と抗菌の範囲は以下の図で明らかにされています(文献1:2011)

菌の種類 最小発育阻止濃度
(mg/ml)
黄色ブドウ球菌 0.1
連鎖球菌 0.1
大腸菌 0.1
緑膿菌 0.2
霊菌 0.1
プロテウス菌 0.1
枯草菌 0.05
黄コウジカビ 0.025
リンゴ腐乱病菌 0.05
紫紋羽病菌 0.05
灰色ブドウカビ菌 0.1
カワラタケ 0.025

ヒノキチオールは医薬品成分のため配合上限があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 配合上限なし
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 0.1g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 0.05g/100g

現在は、シミの元となるチロシナーゼ活性を阻害する作用が明らかになっており、今後は美白成分として美白化粧品への配合が増えていくかもしれません。

スポンサーリンク

ヒノキチオールの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ヒノキチオールの現時点での安全性は、化粧品の配合範囲内において、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

安全性データが公開されておらず試験結果もみあたりませんが、配合上限が定められている以上、配合上限範囲内では健康な皮膚において皮膚刺激が起こる可能性は低いと考えるのが妥当なため、化粧品配合範囲内において皮膚刺激が起こる可能性は低いと考えられます。

また、ヒノキチオールはアトピー性皮膚炎の重症度や掻痒を改善する効果が明らかになっており(文献2:1994)、実際に医療現場でアトピー性患者の治療に応用されていますが、この事実からヒノキチオールはアトピー性皮膚炎などバリア機能が低下したアレルギー性皮膚炎を有する皮膚でも皮膚刺激を起こすことなく使用できると考えられます。

眼刺激性について

安全性データが公開されておらず試験結果もみあたりませんが、配合上限が定められている以上、配合上限範囲内では眼刺激が起こる可能性は低いと考えるのが妥当なため、化粧品配合範囲内において眼刺激が起こる可能性は低いと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

安全性データが公開されておらず試験結果もみあたりませんが、アトピー性皮膚炎などアレルギー性皮膚炎の治療薬としても使用されており、国内では重大なアレルギーの報告はないため、アレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

安全性についての捕捉

ヒノキチオールには、催奇性の可能性を示唆する学術発表があります(文献3:1998)が、結論からいうと、化粧品としての配合規制範囲内での使用においては安全に使用できると結論付けられています。

催奇性というのは生まれてくる子供の奇形を誘発することですが、これはラットにヒノキチオールを投与した実験で、学術発表の中では、

全胚培養でみられた胚子の顔部形成不全および尾部水胞形成は、妊娠母体にヒノキチオールを投与した時にみられた口唇裂や短尾を持つ胎児と相関性があり、スクリーニングテストとしての全胚培養法の有用性が示唆された。

また、in vivo試験の結果からヒノキチオールにはマウスに催奇形性作用のあることが確認された。

しかし、推計学的に算出したED1値が190mg/kgと比較的大きく、その回帰式の直線の勾配が急であることや、これまで食品中への使用実態がほとんど見られないことに加え、現在検討中のヒノキチオールの母体血液中濃度の経時的変化でみられる排泄の速さ等を考慮すれば、添加物として使用する場合には催奇形性はほとんど問題ないと考える

と考察されているように、奇形が起こりうる最小量は190mg/kgで、これは人間でたとえるなら50kgの人間にヒノキチオール9.5kgを投与して奇形の可能性があると結論づけているということです。

つけっぱなし化粧品への配合上限は0.1g/100gなので、通常使用において心配する必要がない量であると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ヒノキチオール

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ヒノキチオールの毒性は■(∗1)となっていますが、これはおそらくポジティブリストとして配合上限があるからだと思います。

ポジティブリストは、配合規制の量を超えて配合されると刺激になったり、影響がでてくる可能性もありますが、言い換えれば配合規制範囲内においては安全性が実証されており、とくにヒノキチオールは防腐剤目的で微量の配合であることがほとんどなので、毒性はほとんどないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ヒノキチオールは 安定化成分 にカテゴライズされています。

他の安定化成分など安定化成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “森林研究所”(2011)「ヒノキチオール今昔物語」, <http://www.forest.rd.pref.gifu.jp/rd/rinsan/0009gr.html> 2017年11月4日アクセス.
  2. 日本化学療法学会(1994)「アトピー性皮膚炎に対する自家製ヒノキチオール軟膏の使用経験」, <https://www.jstage.jst.go.jp/article/chemotherapy1953/42/10/42_10_1202/_article/-char/ja/> 2017年11月4日アクセス.
  3. “日本食品化学研究振興財団”(1998)「天然添加物ヒノキチオールの催奇性について」, <http://www.ffcr.or.jp/zaidan/Ronbun.nsf/876757280c46e65e4925659f000b0cc0/38e1d395bf2f1b364925661600055c97> 2017年11月4日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ