ヒドロキシエチルセルロースとは…成分効果と毒性を解説

増粘 分散
ヒドロキシエチルセルロース
[化粧品成分表示名称]
・ヒドロキシエチルセルロース

[医薬部外品表示名称]
・ヒドロキシエチルセルロース

植物の細胞膜の主成分であるセルロースに酸化エチレン(エチレンオキシド)を結合して水溶性をもたせたノニオン(非イオン)性多糖類(セルロース誘導体:セルロース系半合成高分子)です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、シート&マスク製品、ヘアケア製品、ヘアカラー剤などに使用されています(文献1:2009)

増粘

増粘に関しては、水によく溶け、幅広い粘度領域で粘稠な液が得られ、なおかつ非イオン性なので塩類(アルカリ)があっても粘度が低下しない特徴を有しているため、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗浄製品などに汎用されています(文献2:2015;文献3:2015)

分散・懸濁安定化

分散・懸濁安定化に関しては、pHに対して安定しており、幅広い粘度領域で粘稠な液が得られるため、粉体・顔料・粘土鉱物・紫外線散乱剤などを分散させた液体化粧料の懸濁安定剤(∗3)として使用されます(文献2:2015)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ヒドロキシエチルセルロースの配合製品数と配合量の調査(2009年)

ヒドロキシエチルセルロースの安全性(刺激性・アレルギー)について

ヒドロキシエチルセルロースの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2009)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に100%および5%ヒドロキシエチルセルロースを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性は認められなかった
  • [ヒト試験] 54人の被検者に1%ヒドロキシエチルセルロースを含むヘアリンス製剤の5%水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性は認められなかった
  • [ヒト試験] 99人の被検者に0.75%および0.5%ヒドロキシエチルセルロースを含むヘアコンディショナーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を誘導期間においては50%水溶液で、チャレンジ期間においては25%水溶液で閉塞パッチにて実施したところ、軽微の皮膚刺激が観察されたが、皮膚感作反応は示さなかった
  • [ヒト試験] 15人の被検者に0.5%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラを対象に21日間累積刺激性試験を実施したところ、非刺激剤であった
  • [ヒト試験] 25人の被検者に0.5%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラを対象にMaximization皮膚感作試験を実施したところ、非感作剤であった
  • [ヒト試験] 10人の被検者に0.4%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラを対象に21日間累積刺激性試験を実施したところ、皮膚累積刺激スコア(0-630)は32.73であり、実質的に非刺激性であった
  • [ヒト試験] 107人の被検者に0.4%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、感作反応は観察されなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されていることから、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2009)によると、

  • [動物試験] 8匹のウサギの片眼に100%ヒドロキシエチルセルロース100mgを注入し、4匹は眼をすすぎ、残りの4匹は眼をすすがず、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、非刺激であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1975)
  • [動物試験] 8匹のウサギの片眼に2%ヒドロキシエチルセルロース水溶液を滴下し、4匹は眼をすすぎ、残りの4匹は眼をすすがず、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、非刺激だと結論づけられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1975)
  • [動物試験] 6匹のウサギを用いて2%ヒドロキシエチルセルロース水溶液の眼刺激性をフランス標準方法に基づいて評価したところ、わずかな眼刺激性であると結論づけられた(Guillot et al,1981)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激性-わずかな眼刺激性と報告されているため、眼刺激性は非刺激-わずかな眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2009)によると、

  • [ヒト試験] 101人の被検者(半数は敏感な皮膚を有すると分類された)の背中に0.4%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラを誘導期間において週3回合計10回、24時間閉塞パッチ適用し、2週間の休息期間の後に48時間チャレンジパッチを適用した。また、誘導期間の1,4,7および10回目とチャレンジパッチの直後にUVA(360nm)を皮膚から約30cmの距離で1分間照射し、各UVA照射48時間後に照射部位を評価したところ、いずれの被検者においても皮膚反応は観察されなかった(RTL,1978)
  • [動物試験] 6匹のウサギの剃毛した皮膚に0.4%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラ0.25mLを塗布し、陽性対照は8-メトキシソラレンを適用した。次いでウサギの皮膚から約20cmの距離でUVライトを照射し評価したところ、照射した部位または照射していない部位のいずれにおいても皮膚反応は生じなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

∗∗∗

ヒドロキシエチルセルロースは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

参考文献:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2009)「Amended Safety Assessment of Cellulose and Related Polymers as used in Cosmetics」Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel.
  2. 住友精化株式会社(2105)「ノニオン性のセルロース系増粘剤」技術資料.
  3. 宇山 侊男, 他(2015)「ヒドロキシエチルセルロース」化粧品成分ガイド 第6版,153.

TOPへ