ヒドロキシエチルセルロースとは…成分効果と毒性を解説

増粘剤 分散剤
ヒドロキシエチルセルロース
[化粧品成分表示名称]
・ヒドロキシエチルセルロース

食物繊維から得られる多糖や酢酸セルロースを加水分解して得られるセルロースに酸化エチレンを付加させることで水溶性とした高分子化合物のセルロース誘導体で、粘調な液が得られる無色透明でノニオン性(非イオン性)の増粘剤です。

水によく溶ける安定性の高い高分子で、保護コロイド性や被膜形成能が優れており、非イオン性なので塩類があっても粘度が低下せず、界面活性剤との相溶性にも優れているため、増粘剤、分散剤、結合剤としてスキンケア、メイクアップ製品などに幅広く使用されています。

実際の配合製品数や配合量の範囲は、海外の2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ヒドロキシエチルセルロースの配合製品数と配合量の調査(2009年)

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ヒドロキシエチルセルロースの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ヒドロキシエチルセルロースの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はなく、皮膚感作(アレルギー)の報告もなく、また光毒性および光感作性もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Cellulose and Related Polymers as used in Cosmetics」(文献1:2009)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に100%および5%ヒドロキシエチルセルロースを繰り返しパッチ適用(RIPT)したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性は認められなかった
  • [ヒト試験] 54人の被検者に1%ヒドロキシエチルセルロースを含むヘアリンス製剤の5%水溶液を繰り返しパッチ適用したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性は認められなかった
  • [ヒト試験] 99人の被検者に0.75%および0.5%ヒドロキシエチルセルロースを含むヘアコンディショナーを誘導期間では50%水溶液で、チャレンジ期間では25%水溶液でパッチ適用したところ、閉塞下で軽微の皮膚刺激が観察された。また皮膚感作反応は示されなかった
  • [ヒト試験] 15人の被検者に0.5%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラを21日連続で使用してもらったところ、非刺激剤であった
  • [ヒト試験] 25人の被検者に0.5%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラのMaximization感作試験を実施したところ、非感作剤であった
  • [ヒト試験] 107人の被検者に0.4%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラを反復パッチ適用(RIPT)したところ、感作反応は観察されなかった

と記載されています。

試験結果では、ほとんど共通で皮膚刺激がなく、皮膚感作の報告もないことから、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Methyl Acetate」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者にヒドロキシエチルセルロースを含むまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む3つの目薬の分散作用について試験した。各目薬を5分間隔で4滴結膜嚢に滴下し、1,2および3時間後に観察したところ、この試験では刺激の兆候は認められなかった(Capella and Schaefer,1974)
  • [動物試験] 8匹のウサギの片眼に100%ヒドロキシエチルセルロース100mgを注入し、4匹は眼を洗浄し、残りの4匹は眼を洗浄せず、Draize法に準じて評価したところ、非刺激だと結論づけられた(CTFA,1975a)
  • [動物試験] 8匹のウサギの片眼に2%ヒドロキシエチルセルロース水溶液を滴下し、4匹は眼を洗浄し、残りの4匹は眼を洗浄せず、Draize法に準じて評価したところ、非刺激だと結論づけられた(CTFA,1975b)
  • [動物試験] 8匹のウサギを用いて0.5%および1%ヒドロキシエチルセルロース水溶液の眼刺激性を乾燥組織重量および色素拡散で評価したところ、軽度の刺激性だと判断された(Laillier et al.,1976)
  • [動物試験] 6匹のウサギを用いて2%ヒドロキシエチルセルロース水溶液の眼刺激性をフランスの公的方法に準じて評価したところ、わずかな眼刺激性であると結論づけられた(Guillot et al.,1981)

と記載されています。

試験結果では、非刺激性から軽度の眼刺激性まで報告されているため、眼刺激性は非刺激~軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Methyl Acetate」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 101人の被検者(半数は敏感な皮膚を有すると分類された)の背中に0.4%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラを誘導期間において週3回合計10回、24時間閉塞パッチ適用し、2週間の休息期間の後に48時間チャレンジパッチを適用した。また、誘導期間の1,4,7および10回目とチャレンジパッチの直後にUVA(360nm)を皮膚から約30cmの距離で1分間照射し、各UVA照射48時間後に照射部位を評価したところ、いずれの被検者においても皮膚反応は観察されなかった(RTL,1978)
  • [動物試験] 6匹のウサギの剃毛した皮膚に0.4%ヒドロキシエチルセルロースを含むマスカラ0.25mLを塗布し、陽性対照は8-メトキシソラレンを適用した。次いでウサギの皮膚から約20cmの距離でUVライトを照射し評価したところ、照射した部位または照射していない部位のいずれにおいても刺激は生じなかった(CTFA,1979)

と記載されています。

試験結果では光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ヒドロキシエチルセルロース

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ヒドロキシエチルセルロースは■(∗2)となっていますが、これは合成ポリマー共通の判定であり、安全性試験結果をみるかぎり、安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ヒドロキシエチルセルロースは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2009)「Amended Safety Assessment of Cellulose and Related Polymers as used in Cosmetics」,<https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR508.pdf> 2018年2月20日アクセス.

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