デヒドロ酢酸Naとは…成分効果と毒性を解説

防腐剤
デヒドロ酢酸Na
[化粧品成分表示名称]
・デヒドロ酢酸Na

[医薬部外品表示名称]
・デヒドロ酢酸ナトリウム

デヒドロ酢酸のナトリウム塩で水溶性防腐剤です。

水やグリコールに溶け、エタノールにはわずかに溶ける性質です。

防腐剤ですが、殺菌作用はなく微生物の発育を抑制する静菌効果で、カビ、酵母、グラム陽性菌に一様な効力がありますが、乳酸菌、偏性嫌気性菌、グラム陰性菌に対しての作用は弱いです。

化粧品に配合される場合は、主にメイクアップ製品、化粧下地に幅広く使用されています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

デヒドロ酢酸Naの配合製品数と配合量の調査結果(2007-2008年)

デヒドロ酢酸Naはポジティブリストに分類されているため配合上限があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 0.50g/100g
(デヒドロ酢酸およびその塩類の合計)
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 0.50g/100g
(デヒドロ酢酸およびその塩類の合計)
粘膜に使用されることがある化粧品 0.50g/100g
(デヒドロ酢酸およびその塩類の合計)

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デヒドロ酢酸Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

デヒドロ酢酸Naの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)、光感作性および光毒性の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Dehydroacetate and Dehydroacetic Acid」(文献1:1985)によると、

  • [ヒト試験] デヒドロ酢酸Naの刺激性および感作性を100人の男性および100人の女性で評価した。デヒドロ酢酸Naは食塩水の60%ペーストによって浸透した閉塞パッチをそれぞれの無傷の背中に直接適用し、5日後にパッチを除去して反応を評価した。2回目の適用は15日目に48時間適用し、パッチ除去3および8日後にスコアリングしたところ、200人の被検者のいずれも1回目および2回目の適用後に皮膚反応は観察されなかった。デヒドロ酢酸Naは皮膚刺激剤でも皮膚感作剤でもないと結論づけられた(SPENCER,H.C, et al.,1950)
  • [ヒト試験] 19人の被検者の前腕または上腕の手のひら側に0.4%デヒドロ酢酸Na水溶液0.1mLを24時間閉塞適用したところ、16人の被検者は皮膚反応がなく、2人はほとんど知覚できない紅斑を有し、1人は著しい紅斑がみられたが、試験した他の物質でも同様の反応がみられたため、重要な反応ではないと考えられた。デヒドロ酢酸Naは最小限の紅斑を生じた(CTFA,1973)
  • [ヒト試験] 20人の被検者に0.2%デヒドロ酢酸Naを含む口紅およびペーストマスクの刺激性を評価した。各製品0.1mLを含むパッチを被検者の前腕または上腕のてのひら側に24時間閉塞適用したところ、口紅製品の適用を受けた2人の被検者に軽度の紅斑が観察され、18人には皮膚反応はみられなかった。またペーストマスク製品の適用を受けた1人の被検者にほとんど知覚できない紅斑がみられ、19人には皮膚反応はみられなかった。同時に試験していた対照製品と試験製品との間に刺激性の有意差はなかったため、デヒドロ酢酸Naは非刺激剤だと結論づけられた(CTFA,1973,1978)
  • [ヒト試験] 0.2%デヒドロ酢酸Naを含む口紅およびペーストマスクの累積刺激性および感作性をDraize法に従って128人の被検者で評価した。誘導期間において各被検者の背中に口紅を48時間パッチ適用し、この初期パッチに対する反応をパッチ除去20分および48および120時間で採点した。2回目のパッチは未処置部位に24時間適用し、その後週3回3週間にわたって合計9回適用した。チャレンジパッチは6週目に未処置部位に48時間適用し、パッチ除去20分および48時間および120時間で採点しました。最初の誘導パッチのあと1人の被検者がパッチ除去20分で最小限の紅斑および48時間で明確な紅斑が生じたが、それ以上の刺激反応はその後の3週間では観察されなかったため、この口紅はこれらの条件下で刺激をほとんどまたはまったく誘発せず、感作を起こさないと考えられた。一方、ペーストマスクは、112人の被検者の腕に24時間週に3日、3週間にわたって適用され、2週間の無処置期間を経て、24時間チャレンジパッチ適用し、パッチ除去24および72時間で反応を記録したところ、誘導期間において15人の被検者で22箇所の最小限の紅斑と5箇所の明確な紅斑が認められ、チャレンジ期間では3人の被検者に最小限の紅斑がみられたが、チャレンジ時の反応は感作ではなく、原発性の炎症と考えられ、このペーストマスクは本質的に非刺激性であると結論付けられた(Hill Top Research,1975)

と記載されています。

試験結果では共通して非刺激性および非感作性であると結論づけられているため、皮膚一次刺激性、皮膚累積刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Dehydroacetate and Dehydroacetic Acid」(文献1:1985)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢に100%デヒドロ酢酸Na0.1mLを15cmの距離から48秒間噴射し、その後Draize法に従って1,2,3,4および7日目に眼刺激性を採点したところ、最大刺激スコア110のうち1,2,3および4日目の平均刺激スコアが5,1,2および0であった。眼刺激性は最小限に抑えられており、また対照と同等であるため、眼刺激剤ではないと結論付けられた(CTFA,1973)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢に0.2%デヒドロ酢酸Naを含む口紅およびペーストマスク0.1mL量を点滴注入し、Draize法に従って1,2,3,4および7日目で採点したところ、平均刺激スコア110のうち口紅は1,2および3日目で平均刺激スコアが1,1,0で、ペーストマスクは1および2日目で平均刺激スコアが1および0であった。この結果からこれらの両方の製品は実質的に非刺激性であると結論付けられた(CTFA,1979)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢に0.1%デヒドロ酢酸Naを含む口紅を注入し、24,48および72時間で検査したところ、結膜の発赤、角膜炎および虹彩炎は確認されず、非刺激性であった(CTFA,1978)

と記載されています。

試験結果では共通して非刺激性および非感作性であると結論づけられているため、眼刺激性はないと考えられます。

光毒性および光感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Dehydroacetate and Dehydroacetic Acid」(文献1:1985)によると、

  • [ヒト試験] 反復傷害パッチ試験(RIPT)において0.1%デヒドロ酢酸Na水溶液の光感作性および光毒性について試験した。誘導期間において23人の被検者の背中にデヒドロ酢酸Na水溶液0.1mLを24時間閉塞パッチで週3回3週間連続で適用し、2週間の無処置期間を設けた後でチャレンジパッチを試験部位と未処置部位の両方に適用し、23人のうち9人がUVAおよびUVB両方の照射を受け、14人がUVAのみを受けた。誘導期間の各火曜と土曜のパッチ除去後に試験部位を5分間照射し、さらに150Wキセノンアークソーラーシミュレーターを使用してUVA照射後に指定された被検者にUVBの最小紅斑線量(MED)の2倍量を照射した。チャレンジ時にはすべての部位でUVAライトのみ照射された。試験部位は誘導期間の最後のパッチ除去72時間後にスコアリングし、チャレンジ部位は24,48,72および96時間後にスコアリングしたところ、UVAおよびUVBの両方を照射した被検者は9人すべてに紅斑反応がみられた。誘導期間およびチャレンジ期間の間にいずれの被検者にも他の皮膚反応はみられなかった。9人の被検者にみられた紅斑は2MEDのUVBにのみ起こるため、デヒドロ酢酸Naは光毒性も光感作性もないと結論づけられた(Food and Drug Human Clinical Labs,1983)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、光毒性および光感作性なしと結論づけられているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
デヒドロ酢酸Na

参考までに化粧品毒性判定事典によると、デヒドロ酢酸Naの毒性は■(∗2)となっていますが、安全性データをみるかぎり、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

デヒドロ酢酸Naは安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1985)「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Dehydroacetate and Dehydroacetic Acid」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818509078671> 2018年1月1日アクセス.

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