デキストランとは…成分効果と毒性を解説

安定化成分 賦形 保湿成分
デキストラン
[化粧品成分表示名称]
・デキストラン

[医薬部外品表示名称]
・デキストラン、デキストラン40

スクロース(ショ糖)を乳酸球菌の一種であるロイコノストック属菌(学名:Leuconostoc meseteroides)(∗1)で醗酵して得られる、化学構造的にグルコースを唯一の構成成分とし、α-1,6-グリコシド結合を多く含む構成となっている水溶性の多糖類(産生粘質物:微生物系水溶性高分子)です。

∗1 ロイコノストック属はリューコノストックと記載されることもあります。

1874年に化学構造的にデキストリンやデンプンと近縁の物質であることが明らかとなったことでデキストランと命名されています(文献2:1967)

発酵による生産されるデキストランは分子量数百万-数千万ですが、通常はこれを加水分解して必要な分子量にして使用しますが、化粧品および医薬部外品においてはデキストランと表示・記載されるため、分子量まではかわりません。

ただし、医薬部外品では分子量4万の低分子デキストランのものは「デキストラン40」として収載されており、これに限っては「デキストラン40」と表示・記載されます。

一般的に、医療分野では血漿増量剤として、工業分野では写真フィルム乳剤・安定剤として用いられています(文献5:1986)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、日焼け止め製品、洗浄製品、ヘアケア製品、頭皮ケア製品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:2016)

ペプチド類の安定化

ペプチド類の安定化に関しては、化粧品原料においてペプチド類は安定化剤としてデキストランを一緒に配合しているものが多いため、製品にペプチドを処方する際にデキストランも混ざることからペプチドと一緒に成分表示一覧に表示・記載されることになります(文献6:2009)

そのため、ペプチド類と一緒にデキストランが表示・記載されている場合は、ペプチドの安定化剤としての配合であると考えられます。

賦形

賦形(ふけい)とは、”形状を賦(あた)える”という意味であり、大きさや濃度を一定(均一)にするために用いられる成分です。

たとえば錠剤や丸剤は、製造過程で有効成分量にバラツキがあることも多いですが、そういった場合に濃度や大きさを一定にするために乳糖やデンプンなどの賦形剤を添加し、全体量を増して混和して均一の濃度・量・大きさにすることで有効成分量を均一にすることができます。

このような背景から有効成分をパウダー化し、全体量・濃度を均一にするために化粧品原料にデキストランが配合されることがあり、化粧品処方の際にそれらのパウダー系有効成分を配合する場合にデキストランも混入するため、化粧品成分一覧に表示されます。

水分量増加による保湿作用

水分量増加による保湿作用に関しては、デキストランは湿度の変化による影響を受けにくく、低湿度下でも適度な保湿性を維持するため、相対湿度が高くても低くても大きな差はなく、さわやかな保湿性を発揮します(文献4:2005)

そのような背景からスキンケア化粧品、ヘアケア製品、リキッド系アイメイクアップ化粧品、まつげ美容液などに配合されます。

デキストランは医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。(∗2)

∗2 デキストラン40には配合上限はありません。

種類 配合量
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 12
育毛剤 配合不可
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 配合不可
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 配合不可

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011-2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

デキストランの配合製品数と配合量の調査結果(2011-2012年)

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デキストランの安全性(刺激性・アレルギー)について

デキストランの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載(デキストラン40のみ)
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬品として古い使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

デキストランは安定化成分、その他、保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:安定化成分 その他 保湿成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2016)「Safety Assessment of Microbial Polysaccharide Gums as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(35)(1),5S-49S.
  2. 藤原 脩雄, 他(1967)「デキストラン」高分子(16)(11),1192-1196.
  3. 瓜生 敏之(1989)「分枝多糖の合成とその応用」高分子(38)(2),142-145.
  4. 加藤 一郎(2005)「デキストランの化粧品分野への応用」Fragrance Journal(33)(3),59-64.
  5. 北国 秀三郎(1986)「バイオポリマーとしてのデキストランの機能と応用」Fragrance Journal(14)(3),79-82.
  6. 青山 典仁, 他(2009)「生体試料中のペプチドの安定化方法 」再表2007-010995.

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